CMというとテレビで流れる動画をイメージしがちですが、最近はWebCMを制作するケースが増えました。その理由としては、YouTubeなどの動画サイトの利用者が増加したことで、マーケティングの施策として動画を活用するケースが増えたことが挙げられます。
WebCMを制作するにあたって、従来のテレビCMとの違いや期待できる効果などを理解することが大切です。そこで今回は、WebCMとテレビCMの違い、制作するメリットやコツなどを解説します。成功事例もご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
WebCM(ウェブCM)とはどういうもの?
WebCMは、自社サイトや動画サイトなどインターネット上で配信されることを目的に制作される広告動画です。例えば、YouTubeであれば、動画を視聴する前や途中に流れる動画がWebCMに該当します。
インターネットやスマートフォンの普及に合わせて、ユーザーの動画視聴時間が増加傾向している一方で、テレビの平均視聴時間は若年層を中心に低下傾向にあります。つまりテレビCMを見てもらえる機会が減っていることから、WebCMの活用を考える企業は増えているのです。
テレビCMとの違い
WebCMをテレビCMと同じ感覚で制作企画を立ててしまうと、最大限の効果が発揮されない可能性があります。ここで、WebCMとテレビCMの違いを見ていきましょう。
視聴する媒体
WebCMとテレビCMの大きな違いは、動画広告を視聴する媒体です。テレビCMはテレビ番組枠内で放映されるため、番組の視聴者だけが動画を視聴できます。一方、WebCMは動画の配信が可能であれば、WebサイトやSNSなどあらゆる媒体から視聴することが可能です。
そのため、普段からあまりテレビを見ていない人をはじめ、特定分野のメディアを見ている人など幅広い人に向けて動画広告を配信できます。また、動画の再生中や再生終了後など配信の仕方が様々あるので、視聴者の興味・関心に合わせた配信ができるのもWebCMの特徴です。
ターゲティング
WebCMとテレビCMでは、ターゲティングにも違いがあります。テレビCMはラジオ広告や新聞広告などと同じマス広告に該当し、不特定多数にアプローチすることが可能です。
それに対して、WebCMは年齢や性別、興味関心などを分析して細かいターゲティングができるので、動画広告を見てもらいたい相手に向けて配信することができます。実際にWebCMを配信する際は、ターゲット層や配信する媒体に合わせて表現や演出を取り入れることで、高い訴求効果が発揮されるでしょう。
動画の尺(長さ)
テレビCMは番組の放送時間枠に放映されるため、動画の長さが15~30秒ほどの制限があります。限られた尺の中で商品・サービスの内容や魅力をすべて伝えるのは難しいため、何パターンも用意することが多いです。
一方、WebCMは基本的に尺に制限がありません。5秒程の短い動画から数分程の長めの動画にもでき、自由度が高いです。1本の動画で商品・サービスの魅力を伝えきることもできます。
しかし、たくさんの情報を盛り込んだ結果、動画の尺が長くなると途中で離脱される可能性があるでしょう。あくまでも広告であることを意識して、ユーザーがストレスを感じない長さで制作する必要があります。
拡散性
テレビCMはテレビの視聴者しか見ることができないため、拡散性は番組の視聴率で左右します。視聴率の高い番組枠で放映されない限り拡散性は低く、宣伝効果も減少してしまうでしょう。
しかし、WebCMはインターネット上で配信しているため、拡散性が高いという特徴があります。SNSなどで話題になればユーザーが独自に拡散してくれるので、潜在層にもアピールする可能性が高いです。そのため、拡散のされやすさを意識した動画制作が求められます。
制作コスト
WebCMとテレビCMは制作コストにも違いが出やすいです。一般的にテレビCMの場合、不特定多数の視聴者の記憶に残るように、有名なタレントの出演や凝ったセットでの撮影、CG・特殊効果の多用など、豪華な動画となっているケースが多いです。そのため、制作コストが数千万円以上の高額になるケースは珍しくありません。
一方、WebCMはターゲットに合わせて効果的な動画を制作すれば良いので、無理に芸能人の起用や凝った美術セットの制作などを必要としません。クオリティによって費用は変動しますが、数十万円から数百万円程に抑えることが可能です。コスト面のハードルを下げられるので、多くの企業で導入できます。
WebCMの制作効果・メリット
WebCMを制作して活用することには、様々な効果とメリットがあります。具体的に得られる効果・メリットは以下のとおりです。
ターゲットに向けてニーズに合った動画を配信できる
WebCMであれば、特定のターゲットに向けて訴求できる動画の配信が可能です。不特定多数に向けたテレビCMは、広く認知する上では効果的でしょう。しかし、一番に訴求したい相手に動画を見てもらえなければ、達成したい成果につながりません。
しかし、WebCMは細かくターゲティングができるので、ターゲット層に動画広告を配信でき、商品やサービスなどに興味・関心を持ってもらうきっかけを与えられます。また、訴求力の高い動画であれば、サイトへのアクセスや購入・利用などの成果につながる確率が高いです。
テレビCMよりもたくさんの情報を伝えられる
Web動画が尺の自由度が高く、テレビCMよりも少し長い尺の動画の制作・配信が可能です。尺が長くなればそれだけ多くの情報を持ち込むことができるので、商品やサービスなどの特徴・魅力が伝わりやすくなります。
映像や文字、音などの要素から、短時間でもたくさんの情報をわかりやすく伝えられることが動画の魅力です。情報が充実した動画は視聴者の興味を引いたり、疑問や関心が解消されたりするので、ユーザーの満足度も高くなるので成果にもつながりやすいでしょう。
購入や利用などの行動を促進できる
WebCMは、商品・サービスの購入や利用、お店への来店などの行動を促進できることもメリットになります。動画内や説明文などの自社サイトや購入ページなどのリンクを掲載すれば、アクセスを誘導することが可能です。視聴者の購買意欲が高いうちに誘導できるので、購入や利用といった行動につながりやすいでしょう。
また、動画内で視聴者限定の割引クーポンの提供が可能です。お得な特典をつけることも、商品の購入や来店につながる可能性があります。
動画広告の効果の検証・分析がしやすい
テレビCMと比べて動画の効果検証や分析がしやすいこともメリットです。WebCMの場合、視聴回数やクリック数、コンバージョン率など様々な指標を把握することが可能です。SNSでは「いいね」の数やコメント数、リポストの数などの情報から動画の反響を把握できます。
テレビ番組の視聴率は、テレビを持っている世帯のうち、どれだけの世帯や個人が番組を見たのかという割合を示す数値です。どのくらいの割合で自社のCMが視聴されているのかは把握しやすいものの、正確な効果は検証するのは困難と言えます。その点、WebCMは効果を測定しやすいので、収集したデータを分析すれば、さらに効果的な動画広告の制作やその他のマーケティング施策に反映させることが可能です。
低予算で動画広告の制作・出稿が可能
低予算で動画の制作や広告の出稿ができることもメリットです。先に述べたとおり、テレビCMは制作から配信まで膨大なコストがかかりやすい傾向にあります。しかし、WebCMはコストを大幅に押さえて動画の制作が可能です。
また、動画広告の出稿は数百円から可能なため、毎月の広告費を数万円程度に抑えることができます。少額から始めることができるので、試験的に動画広告を出稿してみたい企業や少ない予算で施策を講じたい中小企業・個人も参入しやすいです。
WebCMの効果やメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
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WebCMの主な種類
一口にWebCMといっても様々な広告形式があります。広告形式によって特徴が異なるため、使い分けることが大切です。それでは、各広告形式の特徴をご紹介します。
①インストリーム広告
動画の再生中に流れるタイプの広告です。YouTubeなど動画サイトでは主流であるため、Web広告というとこのタイプを連想する人が多いでしょう。広告が流れるタイミングは動画を再生時や途中、動画が終わった後の3パターンがあります。
動画の視聴中に表示されることから、自然な流れで視聴してもらえるのがメリットです。一般的に再生時間が一定を超えないと広告費が発生しないため、無駄な広告費がかからない特徴もあります。
②インバナー広告
検索エンジンやWebメディアなどのWebサイトのバナー広告枠に表示される広告です。Webサイトへの表示であれば、動画やSNSを見ていない時もWebCMを見てもらうことが可能です。
DSP(デマンドサイドプラットフォーム)というシステムによって、WebCMと相性の良いサイトに表示することができます。アクセス数が多いメディアに掲載されれば、短期間で認知してもらえるでしょう。
インバナー広告は、基本的にクリックやカーソルを合わせないと再生されなかったり、無音で自動再生されたりします。ユーザーの意思で視聴してもらえるので、見込み客の集客に効果的です。
③インリード広告
コラムやニュース記事などのコンテンツの中に表示される広告です。スマートフォン向けの広告としてよく活用されています。
インリード広告は、コンテンツの閲覧中、広告部分が表示されると動画が再生される仕様になっています。コンテンツを読んでいるユーザーの目に入りやすいので、他の広告形式と比べて最後まで見てもらいやすいことがメリットです。
④インフィード広告
SNSのタイムラインやフィードに表示される広告です。媒体ごとに適したデザインやフォーマットでWebCMを出稿でき、通常の投稿と馴染むかたちで表示されます。そのため、SNSをチェックする中で自然と動画を見てもらえることが多いです。
ユーザーにとって面白い、有益と感じられた動画は、広告であっても拡散されやすい傾向があります。拡散したユーザーのフォロワーを通じて、多くの人にWebCMを見てもらえるでしょう。その結果、潜在客にも効果的にアプローチできる可能性があります。
動画広告のフォーマットについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
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WebCMを出稿する媒体の例
WebCMを出稿できる媒体例は以下のとおりです。
- Yahoo!
- YouTube
- LINE
- X(旧Twitter)
- TikTok
GoogleやYahoo!では、ディスプレイ広告としてWebCMを掲載することが可能です。また、Googleに出稿した場合、YouTubeやその他の動画パートナーサイト上にWebCMを表示することもできます。
YouTubeやX、InstagramなどのSNSも定番の媒体です。SNSによって利用者層が異なるため、SNSの特徴を理解して、ターゲットに合わせて出稿するSNSを選ぶことが大切です。
目を惹くWebCMの制作のコツ
認知や集客、ブランディングといった効果に期待できるWebCMですが、ユーザーに注目される動画広告を作る必要があります。目を惹くWebCMを制作するコツは以下のとおりです。
目的やターゲットを明確にする
動画広告は何となく効果があるからという理由ではなく、明確な目的を持って配信する必要があります。着地点を決めておくことで、動画制作の方向性が決まり、目的を達成するための広告作りが可能です。
また、WebCMは細かくターゲティングして配信を行うことになります。そのため、誰に見てもらいたいのか、ターゲットを明確にすることも重要です。ターゲットがはっきりすれば、視聴者の注目を浴びる動画を作成できるようになります。また、WebCMを出稿する媒体も選びやすくなります。性別や年代、興味・関心など細かくターゲティングすることがポイントです。
興味を持たせるストーリーを考える
最後までWebCMを視聴してもらえるためには、冒頭から視聴者の興味を引くストーリー展開が求められます。視聴者の感情に訴えかけるストーリーであれば、途中で離脱される確率が低く、記憶にも残りやすいでしょう。
ストーリーの構成だけではなく、映像や音楽などを活用して注意を引く工夫が必要です。冒頭に強いインパクトを与える映像や音楽を使い、中間で没入感のあるストーリーを展開していきます。そして、終盤は視聴者に印象付けるようなメッセージを残すという流れを意識すると、興味を持たせやすいWebCMになります。
商品・サービスの特徴や魅力をわかりやすく説明する
WebCMで紹介したい商品やサービスの特徴・魅力は、わかりやすく伝えることがポイントです。動画の場合、動きや音を用いてわかりやすく情報を伝えられます。例えば、商品の動画であれば、機能や使い方、使用例などを視聴者の視点に合わせて紹介することで特徴や魅力が伝わるでしょう。
映像と音声だけで解説を行うだけではなく、重要なポイントはテロップを入れて強調すると理解してもらいやすくなります。情報量も増えるので、コンテンツの内容を濃くできるのもメリットです。
また、WebCMは、短い時間で情報を発信していかなければなりません。そのため、ターゲットの興味・関心に合わせて、伝えるべき内容を絞り込むようにしましょう。
広告媒体に合わせた尺やフォーマットにする
WebCMの尺やフォーマットは配信する広告媒体に合わせることも大切です。例えば、YouTubeやSNSの場合、ユーザーは動画や投稿を見ることをメインとしています。そのため、尺の長い動画広告はストレスを与えやすいので、15~30秒など短尺がマストです。
配信先が自社サイトやメディアなどのWebサイトであれば、多少長い尺でも問題ありません。長尺なら商品やサービスなどより詳しく紹介できる動画の制作が可能です。媒体ごとに出稿可能な最大再生時間が異なるので、チェックした上で動画の長さを決めましょう。
尺だけではなく、動画の見やすさに考慮して縦横比も媒体ごとに合わせる必要があります。例えば、YouTubeでは、パソコンやテレビなどの大画面で視聴されるケースも多いため、「16:9」の縦横比が定番です。TikTokであれば、「9:16」の縦撮りが主流となっています。
WebCMの効果測定をして改善する
WebCMは配信して終わりではありません。事前に決めた目的を達成できているのか、効果測定をすることも大切です。効果測定を行うことで、動画の改善点が見えてきます。
より効果の高いWebCMを展開していくためには、効果測定の結果に基づいて改善を繰り返していく必要があります。精度の高いWebCMを配信できるように、出稿前にしっかりKPIを設定して、計測と改善に努めましょう。
WebCMの配信成功事例
WebCMを配信によって成功した企業は多数存在します。ここで、WebCMの活用や制作の参考として、成功事例をご紹介しましょう。
Micoworks株式会社のサービス紹介動画
Micoworks株式会社が、展示会用に制作したWebCMです。約1分間の短い動画ですが、通行人の興味を引く構成とテンポが特徴となっています。こちらの動画では、LINEの公式アカウントから集客からファン化までをサポートするツールを宣伝しています。
1枚のスライドに1つのメッセージを伝えるテイストで、ツールでできることや導入実績をわかりやすく説明することで、認知拡大を実現しています。テキストを大きめにしているので、視認性が高いことも展示会場で注目されやすいポイントになっています。
東洋学園大学の入試広報動画
東洋学園大学が入試広報用として制作したWebCMです。わずか5秒の動画であるため、「特待生制度で寮費無料」や「一般選抜の出願を受付中」といったアピールしたいところだけをまとめたシンプルな動画になっています。
YouTubeに出稿する場合、5秒以内の動画であればスキップができません。そのため、確実に最後まで見てもらえるWebCMとなっており、多くの大学受験生に広報できます。
松井証券株式会社のサービス紹介動画
松井証券株式会社が「投信残高ポイントサービス」のPRを目的に制作したWebCMです。こちらの動画は、ビジュアルから直感的に情報を伝えるデザインが特徴となっています。テロップとイラストを使ったアニメーションによって、わかりやすくサービスの特徴やメリットを伝える動画となっています。
松井証券株式会社のコーポレートカラーであるグリーンをベースにしているのも特徴です。また、「投資信託なら松井証券」という印象を強く与えるメッセージを残しています。
株式会社リクルートのサービス紹介動画
株式会社リクルートは、退職者情報管理システムのPRとしてWebCMを制作しました。サービスの利用を促すと同時に、カムバック採用の認知を高める効果に期待できる動画となっています。
動画の冒頭では、採用担当者の関心を引くために企業が抱える課題について触れられています。そして、カムバック採用の必要性や課題解決に向けた提案をわかりやすく解説する流れとなっているのが特徴です。システム導入までの工数や費用も紹介し、心理的なハードルを下げて導入を促す工夫もされています。
豊橋ケーブルネットワーク株式会社のサービス紹介動画
豊橋ケーブルネットワーク株式会社は、インターネット接続サービスのPRにWebCMを制作しました。冒頭で通信費の負担や乗り換えのハードルの高さといった問題を述べ、視聴者の共感に呼びかけています。
視聴者の興味を集めたところで、「初期工事費用0円」や「解約費用全額保証」など乗り換えのメリットを伝える流れとなっているのが特徴です。視聴者の不安を解消するようなサービス紹介となっており、前向きに乗り換えを検討したくなる動画に仕上がっています。
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まとめ
今回はWebCMとテレビCMの違いやメリット、動画制作のコツなどをご紹介しました。WebCMはテレビCMとは配信される媒体が異なるだけではなく、細かなターゲティングができる、尺の自由度など様々な部分で違いがあります。特定のターゲット層に自社や商品・サービスをアピールできる動画を配信できるので、購入や集客といった成果につなげやすいことがメリットです。
WebCMを活用して成果を上げていくためには、ターゲット層に合わせた動画を制作する必要があります。そのため、動画広告の制作実績が豊富で、高品質な動画制作・映像制作が可能な会社に依頼するのがおすすめです。