自社でECサイトを運営しているものの、なかなか売上につながっていないというケースもあるでしょう。より商品の売上につなげていくためには様々な工夫が必要となりますが、その中でも特に「動画EC」の活用がおすすめです。
今回は、動画ECがどういったものか、特徴や動画広告との違い、導入するメリット・デメリットなどを解説します。動画ECの事例もご紹介しているので、興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
動画EC(動画コマース)とは何か
動画ECとは、ECサイトに動画を取り入れる販促活動の一種です。動画ECと動画コマースは同義語として用いられることもありますが、基本的には動画ECがECサイト内に動画を埋め込んで活用することを指し、動画コマースは動画の中に商品リンクが埋め込まれており、動画を視聴しながら商品を購入できる手法を指します。
それぞれ厳密に定義されているわけではありませんが、いずれも動画コンテンツを活用した販促活動と言えるでしょう。
動画広告とは何が違うのか
動画ECと同じく動画を活用した販促手法として「動画広告」もあります。動画ECは動画広告の一種と感じてしまうかもしれませんが、目的が大きく異なっています。
動画ECや動画コマースを取り入れる目的は、視聴者の購買意欲を高めて直接コンバージョンを促していくことになります。一方、動画広告の目的は最終的にはコンバージョンにつながるものの、基本的には認知拡大と見込み顧客の獲得が中心です。
また、動画ECや動画コマースは自社のECサイトやSNSに掲載するため、掲載時の費用は発生しません。一方、動画広告はペイドメディアに対して費用を支払った上で掲載することになるため、広告費がかかってしまう点も異なります。
動画広告についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
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動画ECが注目される背景
動画ECが注目されるようになった背景には、国や年齢を問わず多くのユーザーが動画を視聴できる環境にあることや、データ容量の大きい動画でもスムーズに視聴できる高速通信環境が整備されていることなどが挙げられます。安定した通信環境によって動画を見るユーザーも増え、現在は多くの人がスマホやPC、タブレットから動画を見る機会が増えました。そのため、テキストよりも多くの情報を伝えられる動画ECが注目されるようになったのです。
また、ECサイトは自宅に居ながら手軽に買い物をできることがメリットとなりますが、その一方で商品を手に取って確認できない点がデメリットでした。しかし、動画ECで実際に商品を使用する映像を取り入れることで、どのような商品か具体的にイメージしやすくなり、消費者の不安を取り除くことも可能です。
動画ECを導入するメリット
動画ECを実際に導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?ここからは、動画ECを取り入れた場合のメリットをご紹介します。
商品の特徴や魅力を伝えやすい
動画ECを導入するメリットとして、テキストや静止画よりも商品の特徴や魅力を伝えやすい点が挙げられます。一般的なECサイトでは商品に関する文章と画像のみで特徴を紹介していますが、これだけでは具体的にどのような商品なのか、いまいち理解できない場合も多いです。しかし、動画なら視覚と聴覚から多くの情報を伝えられるため、商品に対する理解度が深まります。
また、動画であれば商品の映像に加え、BGMやエフェクト、ナレーションなどの効果によって、さらに商品を魅力的に見せることも可能です。
商品に対する不安や疑問を払拭できる
商品に対して興味を持つユーザーは多くいても、実際の購入までなかなかつなげられないケースもあります。これは、ユーザーが商品に対して不安や疑問を抱いているためです。この不安や疑問が払拭されないと、購入まで至りません。
先ほどもご紹介したように、動画はテキストや静止画に比べてより多くの情報を伝えられます。情報量の多さから、ユーザーも商品に対する不安や疑問も払拭しやすいでしょう。
ECサイトの滞在時間を伸ばせる
ECサイト内に動画を埋め込むことで、ユーザーがサイトに滞在する時間を伸ばすこともできます。この滞在時間を「セッション時間」と呼び、SEOでも評価されやすい部分です。SEOで評価されると検索エンジンを使ってユーザーがキーワード検索した際に、該当するページが検索結果の上位に表示されやすくなります。
検索結果の上位に表示されるようになると、よりアクセス数を増やすことができ、さらなるSEO評価につながります。
他の媒体にも活用できる
制作した動画はECサイトに埋め込むだけでなく、他の媒体にも活用することが可能です。例えば自社のYouTubeチャンネルやSNSアカウントに投稿することで、動画を介してより多くのユーザーに自社の商品との接点を増やすことができます。
特にSNSに動画を掲載することで、直接ユーザーからの反応をもらえるほか、拡散によってこれまで自社の商品を知らなかったユーザーにも認知してもらえる可能性があります。ただし、媒体ごとに動画のファイルサイズや最適な再生時間などが異なるため注意が必要です。
競合サイトとの差別化につながる
競合サイトと差別化を図りたい場合にも、動画ECは有効です。動画は伝えられる情報がより多くなることから、他社と異なる点を強調できたり、独自の世界観・コンセプトを伝えたりすることもできます。
特に競合サイトが動画ECを導入していない場合には、より差別化が図りやすくなるのでおすすめです。
動画ECを導入するデメリット
動画ECを導入すると様々なメリットを得られますが、その一方でデメリットに感じてしまう部分もあります。どのような課題や注意点があるのか、導入前に確認しておきましょう。
動画制作のノウハウ・スキルが必要
動画ECを導入するためには、ECサイト内に埋め込むための動画が必要です。この動画を制作するためには、ある程度のノウハウとスキルが必要となってきます。
近年はスマートフォンで気軽に撮影でき、編集アプリを使えば誰でも簡単に動画を制作できるようになりました。このように、動画制作自体のハードルは下がっているものの、消費者の購買意欲を促すためには見やすく、内容も伝わりやすい高品質な動画を制作しなくてはなりません。
自社内に動画制作のノウハウやスキルがない場合、新たに動画制作のノウハウやスキルを持った人材を採用するか、プロの動画制作会社に依頼する必要があります。
動画を制作するのに時間とコストがかかる
商品の魅力が最大限伝わる動画を制作するためには、時間とコストがそれなりにかかってきます。例えば自社だけで動画を制作する場合、まずは動画を制作するチームの人材を揃え、動画制作に必要な機材とツールを用意しなくてはなりません。編集ソフトなどには無料で使えるものもありますが、ロゴのウォーターマークが入っていたり編集機能が制限されていたりする場合が多いです。
さらに、従業員は通常業務をこなしながら動画制作も行うことになるため、制作に携われる時間も限られてしまい、時間がかかってしまいます。作り込みによっては数十秒の動画を制作するのに、数日~1週間以上かかることもあるでしょう。動画制作には時間とコストがかかることを念頭に置きつつ、予算とスケジュールを調整することが重要です。
サイトの読み込みに影響が出る可能性もある
動画はテキストや静止画よりも多くの情報を伝えられる反面、データ容量が大きくなってしまい、ユーザーがECサイトへアクセスした際の読み込みに影響が出てしまう可能性があります。サイトの読み込みが動画によって遅れてしまうと、ユーザーはストレスを感じて離脱してしまいがちです。
また、ページの表示速度はSEOにも関係しており、サイト自体の評価が落ちてしまう可能性もあります。ECサイトに動画を掲載したものの、読み込みが遅くなる場合は動画の画質を落としたりファイルの容量を軽減したりするなど、動画側の修正を行う必要があるでしょう。
動画ECの使いどころ
動画ECの効果を最大限に引き出すためには、動画ECの使いどころについても理解しておくことが大切です。ここでは、動画ECの使いどころについてご紹介します。
商品の使い方の紹介
動画ECは単に動画の特徴や魅力を紹介するだけでなく、使い方を紹介する際にも役立ちます。動画ECなら実際に商品を使っている時の映像を流しながら、テロップやナレーションなどを使って商品の使い方を紹介できます。
商品の使い方に関しては、テキストや静止画だけで説明するよりも動画の方がわかりやすく、ユーザーにとって有益な情報となりやすいです。また、実際に使っている様子を見ることで、視聴者は自分が使うとどうなるのかをイメージしやすく、購入活動につながる可能性が高いです。
商品づくりのストーリーや生産工程
商品づくりにかける想いや開発のきっかけとなったストーリー、実際に生産されていく工程を動画にすることで、視聴者からの信頼度向上が期待できます。商品の熱意や裏側を知ることで、動画を視聴した人は商品に対して「付加価値がある」と認識し、興味を持ってもらうことができます。
また、生産工程を動画にすることでどのように作られているかがわかり、安心感を持って商品を購入することも可能です。
実際に使用した人へのインタビュー
商品に興味はあるものの、購入に至っていない人の中には「実際に商品を購入した人からの声を参考にしたい」と考える人も少なくありません。そのため、実際に使用した人へのインタビュー動画をECサイトに掲載することで、商品に対する信頼度もアップします。
口コミはテキストなどで紹介することも可能ですが、動画にすることで使用した人の表情からも商品に対してどのように思っているかが伝わりやすく、より信頼度の向上が期待できるでしょう。
動画ECの事例5選
現在、実際に動画ECを取り入れている企業は多くあります。そこで、ここからは動画ECの事例をピックアップしてご紹介しましょう。
ニトリ
家具やインテリアなどを幅広く取り扱うニトリは、ECサイトの各商品ページに動画ECを取り入れています。商品説明はもちろん、使い方なども丁寧に説明されていることから、わざわざ店舗まで足を運ばなくても商品を購入しようという気持ちにさせてくれます。
また、ニトリは動画ECだけでなくライブコマースにも積極的に取り組んでおり、1週間に4日間は商品を紹介する配信を行っています。
メーカーズシャツ鎌倉
メーカーズシャツ鎌倉は、1993年に鎌倉で創業したビジネスシャツ・カジュアルシャツを中心に取り扱うアパレル企業です。メーカーズシャツ鎌倉は自社でYouTubeチャンネルを運営しており、またECサイト内でも動画を通して様々な情報を発信しています。
上記の動画は、メーカーズシャツ鎌倉が創業30周年を迎えた際に制作された動画です。昔ながらの製造工程やこだわり、創業から現在に至るまでの歴史を振り返りながら、これからの取り組みや想いを語っています。
ベイクルーズストア
https://baycrews.jp/item/detail/deuxiemeclasse/blouson/24020510000930
ベイクルーズストアはファッションを中心に取り扱うECサイトです。ECサイト内では商品全体の写真に加え、実際に着用した人の動画を視聴することもできます。
スマホでも見やすいように縦長の動画フォーマットになっていて、静止画よりも雰囲気や色味などが伝わりやすいです。また、コーディネートなども参考にできます。
DADWAY
DADWAYは有名育児ブランドの商品からオリジナルのベビー用品まで取り扱うブランドです。実店舗も運営していますが、ECサイトの運営にも注力しています。
そんなDADWAYでは、商品の特徴や魅力を紹介する動画を多数掲載しており、短時間でもどんな商品かわかりやすく伝え、消費者の購買意欲を高めています。また、商品紹介動画だけでなく、ランキング動画や使い方、よくある質問に対する回答動画など、幅広い種類の動画を投稿しているのも特徴です。
enherb
enherbは、ハーブティーやエッセンシャルオイル、アロマなど、ハーブに関連する商品を取り扱う、サントリーグループのハーブ専門ECサイトです。enherbの商品ページにはその商品に関連する動画として、スタッフが撮影・投稿した動画をチェックできるようになっています。
商品の紹介動画はもちろん、機能を紹介する動画や使い方について解説する動画なども掲載されています。また、動画と合わせてInstagramの投稿写真も紹介されており、商品に関連する画像・動画をまとめて確認することが可能です。
動画制作・映像制作ならGJCへお任せください
動画EC・動画コマースをうまく活用すれば、直接的な売上の増加につながるだけでなく、ファンやリピーターの増加、SEOによる検索結果の上位表示なども期待できます。しかし、動画ECの効果を引き出すためには、投稿する動画のクオリティを上げることも重要です。
動画ECを目的とした動画制作を外注したい場合には、GJCにお任せください。弊社は大手企業から中小・零細企業まで、幅広い業種の動画制作・映像制作を手掛けてきました。制作実績は4,000社以上にも上っています。
独自の制作体制によって業界相場の半額という圧倒的なコストパフォーマンスも実現しています。無料で見積もりから企画・構成・画コンテの作成まで行えるので、初めて動画制作会社に依頼するという方も安心してご利用いただけます。ぜひお気軽にGJCまでご相談ください。
まとめ
今回は、動画ECの特徴やメリット・デメリット、使いどころなどをご紹介してきました。ECサイトを運営する上で、より商品の魅力を伝えていくためにはたくさんの情報を伝えられる動画の活用がおすすめです。
ただし、動画をECサイトで活用する際には、見やすさやわかりやすさを意識した動画づくりが必要となります。自社で高品質な動画を制作するのが難しい場合は、豊富な実績を持つプロの動画制作会社に相談してみましょう。