著作権の関係上なかなか、2次利用を無料で扱える商品が少ないのが現状です。
そんな中、2次利用をフリーにして、売り上げを上げている作品があります。
それは、漫画「ブラックジャックによろしく」です。
漫画家の佐藤秀峰さんは、昨年9月に「ブラックジャックによろしく」を2次利用フリー化しました。
その結果、9月15日から4月末までの7ヶ月半の合計額は43,867,437円。
自身ブログで、作品の電子書籍売り上げからのロイヤリティ収入が約3700万円に上ったと明らかにしていました。
無料公開された同作品を読んだ人が「新ブラックジャックによろしく」など佐藤さんのほかの作品に興味を持った結果、電子書籍の売り上げが飛躍的に伸びたとようです。
2次利用に関連してイラストの依頼などもあり、これをプラスすると月額平均650万円前後の利益が発生。「漫画単行本の印税に置き換えると80万部のヒットを飛ばしたのと同程度の金額」だそうです。
現在、「ブラックジャックによろしく」を無料配信しているサイトは、事後報告だけで161サイト。
30近い電子書籍サイトで無料配信され、20近くのWEBサイトでイラストが利用されたほか、新聞広告にも活用。
同作品をモチーフにしたゲームなど、スマートフォンアプリも複数登場し、全巻無料で読めるiPhoneアプリは、App Storeの無料アプリランキングで総合1位を獲得。
公開から1週間で36万ダウンロードを超えたようです。
今後は60~70サイトまで販売サイトが増える予定で、さらにロイヤリティが増えることが期待されています。
また、ソフトバンクモバイルの広告「ホワイトジャックによろしく」にパロディ漫画が使われるなど、2次利用も活発に行われており、これまで200件以上の利用があるようです。
広告に利用するために「ブラよろ」新作を描き下ろしてほしいという依頼も増えるなど、2次利用フリーをきっかけに読者もビジネスも拡大しています。
佐藤さんは、
出版業界の一部の人たちは「佐藤秀峰は例外だ」と思いたいようですが、僕と同じことをすれば儲かる漫画家さんがいっぱいいるのになぁ、と思うのです。
とブログで語っています。
2次利用フリー化は、「著作権にとらわれずに著作で利益を得るための実験」としてスタート。
「もし実験が成功すれば、後に続く人も出るかもしれない」と、売り上げなどの数字をできるだけ公開するようにしているということです。
もともと紙媒体であった漫画を2次利用フリーにすることで、サイトなどでデジタル化され、成功した良い事例ではないでしょうか?