商品やサービスの認知度を上げたり、購入者や利用者を増やしたりするために動画でアプローチする企業が増えています。
ネットで動画を視聴する人が増えたことで動画マーケティングは有効となっていますが、それでもまだまだたくさんの課題を抱えているのが現状です。
その課題クリアに人工知能が活躍する可能性があります。
今回は動画マーケティングの課題と人工知能の活用でどう変革していくのかご紹介していきましょう。
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動画マーケティングが抱える課題
ユーザーに効率良くアプローチでき、関心や認知度を上げる上で動画マーケティングはとても有効な方法です。
しかし、検索性が低い課題があります。ネットでの検索はテキストが一般的であり、言語データがない動画はダイレクトでの検索が困難と言えるでしょう。
最近は動画が検索上位にあることもありますが、全ての動画を上位にあげることが困難です。
検索性をアップさせるため方法として、動画のタイトルや説明文を工夫するのが一般的です。
しかし、限られた文字数で動画の情報を全て盛り込むことはできません。
必要な情報を全てテキスト化してしまえば、そもそも動画をつくった意味がなくなります。
この課題を解消するためには、動画を言語化して検索性を高める必要があるでしょう。
動画マーケティングの課題は検索性だけではありません。企画段階から作成フェーズ、配信の最適化など様々な課題があるのです。
それでは、他にはどんな問題があるのか、みてみましょう。
ターゲットニーズや目的に適したシナリオプロット
動画をつくるためには、どんな動画にするかシナリオプロットを計画する必要があります。
そのシナリオを作成する前にしなければならないのが、動画マーケティングの目的やどんなターゲットにアプローチしたいか明確にすることです。
目的を明確にさせるには、自社の課題から考えましょう。
まずは認知や興味関心、比較検討、コンバージョン、顧客化などの項目から目標と現状を分析し、何に重点を置きたいのか目標を明確にします。
次にアプローチしたいターゲットを整理し、それに適したアプローチを考える必要があるでしょう。
目的やターゲットが明確になったら、アプローチしたい要素に適したシナリオプロットを作成しなければなりません。
しかし、動画マーケティングが主流の現在は似たような動画がたくさんあるので、オリジナリティのある動画制作はたくさんの動画を分析して類似性の低いものを作成しなければならないでしょう。
動画制作・映像制作の手間やマーケティングの最適化の課題
シナリオプロットが完成したら動画制作のフェーズとなります。
インパクトのある動画となれば撮影技術はもちろん、編集技術も必要です。
しかし、質の良い動画ほど制作工程に手間がかかり、完成まで長い道のりです。
その間にも競合商品は認知度が上がり、コンバージョンや集客率も上がっているでしょう。高品質な動画をどう効率良く制作できるかが制作では大きな課題と言えます。
動画が完成したらただアップするだけではなく、再生数を増やす工夫も必要です。戦略としてはLPに動画を導入する方法があります。
しかし、ただ導入しただけでは正しい戦略とは言えません。
集客率を上げるLPづくりも簡単なものではないので、動画が完成した後のマーケティングをどう最適化していくことも1つの課題でしょう。
人工知能は動画マーケティングの課題をクリアできるのか?
ここまで動画マーケティングの課題についてまとめてみましたが、課題をクリアするために試行錯誤が繰り返されるでしょう。
しかし、人為的な作業だけでは限界が生じることもあります。
そこで、進化し続けている人工知能を活用することで、今まで実現が難しかった動画を作成でき、さらに工程の簡素にすることができるでしょう。
とは言っても、具体的にどう活用するか理解できなければ課題をクリアすることはできません。
では、一体どんな活用方法があるのかご紹介していきます。
動画コンテンツを言語化させて検索性をアップ
文字を使わない動画の検索性を上げるためには、動画コンテンツを言語化させる必要があります。
そこで有効なのは音声認識・言語処理、もしくは画像認識によるアプローチです。
音声認識は高難易度の課題とされていましたが、人工機能の発達により認識精度もかなり向上しています。
Microsoft社の研究チームが2016年に開発したシステムでは、誤認識率が5.9%に達しました。
数値ではピンとこないかもしれませんが、これは人の耳と同じレベル、もしくはそれ以上のレベルであり、音声認識システムの精度が向上したことをあらわしているのです。
音声認識システムの向上により、近年は動画から流れる音声から特定の単語を検索できるサービスが登場しています。
このようなサービスが増えていけば、動画からの言語処理も簡単になり検索性を高める効果に期待できるでしょう。
画像認識も技術が発展しており、その技術を動画に活かす応用も研究されています。
今までの動画分析は動画による監視や保守管理が一般的でしたが、動画からの画像認識できればどんな情報が含まれるか言語化することが可能です。
実際に、アメリカで動画からメタタグやグラフにより可視化させる企業向けサービスが登場しています。
動画を言語化できればコンテンツにタグ付けができ、動画の整理分類も可能です。分類が分かればユーザーの利便性も高まるでしょう。
人工知能でシナリオプロットをつくる
動画を作成するにあたり、動画のストーリーを考えなくてはなりません。
似たり寄ったりする動画をオリジナリティな動画にするためには、シナリオプロットが要です。
最近は人工知能がシナリオを考えた映画のトレーラーやテレビCMがあることはご存じですか?AIがテーマの「Morgan」という映画のトレーラーはIBMの「Watson」により作成されています。
クロレッツミントタブのWEB用CMでは「AI-CDβ」を活用し、CMのコンセプトがつくられました。
これらの動画は過去の動画を人工知能が分析し、動画プロットや方向性を導きだしています。詳しいストーリーや演出まで再現することはまだできず、詳細設計に関しては人為的に行わなければなりません。
しかし、もっと発展していけばデータを元にロジカルな戦略が立てられる可能性があるでしょう。
今は動画を細かく分けて人工知能に学習させる必要がありますが、認識技術が高まれば学習効率も比例して向上されることに期待できます。
そうなれば、人工知能のみで動画が作成できるようになる時代に到達するかもしれません。
今後も動画コンテンツは拡大しつづけると予測されており、大量の動画分析を行わなければなりません。
認識技術の向上は大量のデータの学習や分析も容易になり、オリジナリティ溢れる動画作成ができるでしょう。
動画制作・映像制作のサポートで工程が簡素に
動画は撮影や編集など様々な工程が行われ、簡単に完成するものではありません。
また、人間の知能だけではクリエイティブにも限界があるでしょう。
そこで人工知能を制作フェーズで活用することにより、クリエイティブな動画も簡素化が可能となります。
すでに人工知能を活用した編集技術は存在しています。画像処理に関してはモノクロ画像をカラー画像に変換することは可能です。
さらに、作品を学習することで作風を近付けたり、対象範囲を認識して加工したりする技術などが活用されています。
マサチューセッツ工科大学では読み取った静止画をまるで動画撮影をしたように動かす技術を研究しています。
実用化には不十分ですが、それでも違和感なく動く作品もあるので今後の研究に期待です。
人工知能の画像処理技術の向上は今まで手間や時間がかかる工程の効率化を果たす可能性もあります。
例えば、アニメーションでキャラクターが話す際、唇の動きを意識する必要があります。
Adobeの「Character Animator」には「Adobe Sensei」という人工知能があり、その顔認識技術を活用すると唇の動きをリアルタイムで認識し、すぐにリップシンクさせることが可能です。
画像編集アプリの「Magisto」は編集したいクリップを選択するだけで、音楽に応じたカットの編集やトランスジョンといった編集が自動的にされます。
他にもアップロードしたがファイルやURLのテキストからスクリプトを作成し、それに関連した動画を作成するサービスなども登場しています。
これらの人工知能を活用することで作業効率がアップし、手間のかかる制作フェーズも簡素化することが可能です。
これからも作業を簡略化させる技術がつくられ、ますます便利になるかもしれません。
マーケティングや広告を最適化できる
人工知能は制作フェーズだけではなく、マーケティングや広告を最適化する効果もあります。
マーケティングを最適化するためにはターゲットの分析が必要であり、ターゲットの動向に応じて適したサイトや広告を作成することが大切です。
例えば、「The Grid」ではカラーを決めてテキストや画像をアップロードするだけで、それに適したサイトを作成してくれるサービスがあります。
ただ作成するだけではなく、ユーザーのアクセス動向に応じて最適化される機能も搭載されているのです。
ユーザーが惹かれるLPの作成にも手間が必要なので、このような最適化ツールがあると快適なマーケティングが行えるでしょう。
人工知能が生み出した動画・映像や楽曲
人工知能は日々進化しており、人工知能がより浸透すれば日本では約50%の仕事が人工知能化して職が失われるとも言われています。
しかし、感情が大きく反映するクリエイティブ業界では活用が難しいとされていました。
ただ、人工知能も技術発展と共に、クリエイティブ業界でも活用されつつあります。実際に人工知能が動画や音楽を作成した事例があります。
上記でも紹介したホラー映画「Morgan」のトレーラーもBIMの人工知能「Watson」で作成されているのです。
実際の動画を見る限り、人為的なクオリティとほとんど変わりません。
Morganのトレーラーは人工知能にホラー映画の予告を100本ほどスキャンさせ、そこから構成などの情報を学習し、どのようなシーンがトレーラーにぴったりなのか分析して制作されています。
人の手でつくられた場合、通常は早くて10日で最大30日もかかると言われているので、効率的とは言いにくいです。
一方、人工知能であればたった1日で魅力的なトレーラーが完成しています。
また、人工知能は楽曲制作も実現しています。大阪大学と東京都市大学は人工知能で人間の脳波調べ、気分を高める楽曲をつくるシステムの開発に成功しました。
実際に曲を聞いた人は明るい気分になったと話しています。
人工知能がどうやって感情に反映した音楽をつくりだしたかというと、あらかじめ参加者に音楽を何曲か聞かせ、音楽の感想をアンケートに回答してもらいました。
その回答を人工知能が分析し、その結果から気分を高める音楽が生み出されたのです。
今までは人間が細かく設定しないと人工知能による楽曲制作は不可能でした。
しかし、この研究により感情に反映される音楽が人工知能でつくれると実証されたと言えるでしょう。
短時間で楽曲が作成できるシステム
アメリカで開発されや「Jukedeck」は自動で楽曲が作成できるサービスです。
音楽のジャンルやムード、長さを指定入力することで、オリジナル楽曲を作成できます。自動作成でありながらクオリティが高いところが魅力でしょう。
さらに、作成時間は1曲あたり30秒ほどです。
人間であれば作曲に何時間もかかり、音声収録や打ち込みもかなりの時間がかかります。
まさに人工知能だから成し得る技術でしょう。
ただ、音楽は体感や視覚的要素もあるので、パフォーマンスに関しては人間の方が上です。
それで制作工程を簡易化させられるツールとして、今後の発展に期待されます。
動画により様々なターゲットにアプローチできるようになりましたが、検索性の低さや制作の手間、動画マーケティングの最適化などの課題が残ります。
しかし、それらの課題も人工知能により緩和しつつあるようです。
とは言っても、まだまだ発展途上なので完全なクリアとはいきません。
それでも人工知能にはたくさんの可能性が秘められているので、今後の発展により動画マーケティングもより行いやすくなると言えます。
実現されている技術もたくさんあるので、今は使える範囲で人工知能を活用し、動画マーケティングの課題を少しずつクリアしていきましょう。