近年ドローン技術は年々進化を遂げており、様々な分野での活躍が目立ち始めてきました。
各分野から注目を集めているドローンですが、実は一見あまり関わりがなさそうな建設現場においてもドローン活用が既に始まってきているのです。
ドローンは建設現場においてどのような活躍を見せるのでしょうか?
今回は建設現場における未来のドローン活用事例と、今後の可能性についてご紹介していきます。
ドローンに注目している企業の方もぜひチェックしてみてください。
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建設現場でのドローン活用事例
ドローンを活用する企業は少しずつ増えてきていますが、そんな中で建設現場に導入する企業も増えてきています。
現在どのような活用事例が見られているのか、確認してみましょう。
治山工事での活用事例
地盤を安定させるために行われる治山工事では、地すべりの危険性がある土地や地盤が不安定な斜面に対して補助を行い自然災害の発生を予防する作業を言います。
そんな治山工事にもドローンが活用されました。
どのようなものだったかというと、「谷止工(荒廃した沢に設置し土砂の流出を防いだり、森林・水源の涵養を行なったりする際に用いられる)」の上に土留めを施すための作業をする上で、人力では危険の大きい場所を確認する際の作業でドローンが用いられています。
ドローンで撮影された映像を基にどのような状態になっているのかを作業員が確認、その後適切な作業に移れるように準備していきます。
ドローンを用いた企業では、ドローンで撮影した写真は鮮明で確認しやすかったことや、今後活用できる現場では積極的に使っていきたいそうです。
工事現場での作業効率化
工事現場での作業効率をアップさせるため、情報化施工技術の導入を行い、その際にドローンが活用されました。
盛土工事における三次元データの活用とそのデータに基づきICTブルドーザーを導入することで作業効率をアップさせています。
ドローンは事前に測量を行い、そのデータによって三次元データが作られます。
5万9000㎡もある敷地を5区画に分けて測量を行い、約1時間でドローンによる作業は完了となりました。
人間の測量に比べて誤差もなく、さらに素早く測量を行えることや安全性の向上にもつながるということで、企業側でも今後の施工への導入も検討しているとのことです。
炭鉱の測量に用いられたドローン
大手建設会社でもドローン活用の事例が増えてきています。
特に大手企業ではドローンの開発企業と連携した測量サービスの提供を既に実施しているのです。
例えば北海道にある2つの炭鉱の測量を実施しました。
最大高低差は190m、敷地面積約60haを約2日間で測量しています。
人間が行えば所要時間はその5倍にもなってしまうということで、範囲が広ければ広いほど、ドローンを使った測量が適していると言えるでしょう。
ちなみに、時間短縮だけではなくコストも約3分の1に抑えられることが分かっています。
空中写真を使った測量の実施
新しい放水路建設のための測量を、ドローンで撮影した空中写真を基に行われた事例もあります。
約5haある放水路河口部を、バームが再形成される状況を確認するためにドローンによる空中撮影が実施されました。
これによって測量だけではなく状況の観察も可能となります。
いくつかドローンの活用事例をご紹介しましたが、現在では測量面における活用がほとんどです。
測量は全て人が行なっていましたが、今後特に建設現場などの様々な危険性のある場所での測量にはドローンが広く活用されていく可能性が高いと言えるでしょう。
ドローンや映像解析により何ができるようになるのか?
ドローンというと「撮影」をイメージされる方が多いかと思います。
ドローンによる空中からの撮影は実際に建設現場でも役立っています。
例えばリスクを伴わないと行けないようなダムや橋梁、トンネル、高層ビルなどは、点検を実施するためにクレーンを導入したり、足場を組んだりする必要があります。
しかし、足場を作るのにも時間はかかりますし、大型のクレーンを導入すればその分のコストも必要となってくるのです。
しかしドローンであれば高いところでも安全に撮影することができ、人間がリスクを伴うこともほとんどありません。
また、最近では映像もデジタル化されており、コンピュータに取り込んで解析・編集が行えるようになりました。
ドローンで撮影した映像にCGを同期させるといったことも可能です。
例えば建設現場におけるCADの図面と、ドローンで撮影した映像を組み合わせることで、より正確な位置でリアルに図面をチェックすることができます。
他にも、施工管理にドローンは役立ちます。
施主側としては本当に高い品質の基で作業が進んでいるのか分からない時もあります。
場合によっては報告の改ざんなどが行われている可能性も否定できません。
しかし、ドローンを使って施工現場を常に撮影していれば、現在どのような状況に置かれていてどれくらいの進捗が見られるのかチェックすることができます。
以前構造計算書が偽装された問題や、杭打ちデータの改ざん問題などが明らかとなり、世間的にもかなり大きな注目を集めていました。
ドローン撮影はこれらの偽装・改ざん問題をなくし、施工の流れや様子を「見える化」することで、エビデンスに利用することができます。
建築を依頼する施主側としても安心ですが、施工側としてもこういったドローン撮影による施工管理で高品質な施工を実施できることをPRしていけば、契約においても競合他社との比較できる特徴となり、さらに信頼感を得ることも可能です。
ドローンはこのように、建設現場において様々な活用方法ができます。
今は測量が中心ではあるものの、近い将来施工管理を中心としたドローンの活用事例も増えていく可能性は十分に考えられるのです。
最大のメリットはコスト削減
建設現場でドローンをする上で、最も期待されているメリットはコスト削減です。
その理由は、建設現場での無駄を大幅にカットできるからとされています。
現在の世界の建設市場は8兆ドルから9兆ドルの規模を誇ります。
コンサルティング会社のPwCの推計によると、市場は2030年までに85%も成長し、15.5兆ドルに拡大すると見込まれています。
とても有望な市場ですが、現状は無駄の多さが問題となっているのです。
イギリスのGreen Building Councilの報告では、建設資材の調達スケジュールの管理ミスなどが原因で、約15%の資材が無駄になって廃棄されたとあります。
さらに米国建築家協会の推計では、アメリカ全体の固形廃棄物のうち、25%から40%は建築関連の廃材が割合を占めているようです。
ドローンを使って建設現場の無駄を減らすためには、活用方法を理解する必要があります。
建設現場では、進捗状況の把握や測量の効率化にドローンが活躍するでしょう。
工事進捗状況の把握に活用
従来の工事進捗の管理は地上で行われ、あらかじめ決められた場所を撮影して、画像で状況を把握していました。
このやり方は地道な作業が続くので効率が悪く、全体像として細かく把握するのが難しい点があります。
しかし、ドローンは空撮が可能なので、全体的な把握が簡単になり、ドローンのセンサーやカメラで取得したデータを3Dモデリング加工することで、現場のプロジェクトマネージャーも正確に現状を把握できれば、判断が求められるシーンでは正しく判断できるようになります。
また、工事現場では巨大重機が稼働しており、人の手による進捗確認作業は身を危険にさらす恐れがありますが、ドローンを使えば安全にデータを集めることが可能です。
データ収集が頻繁にできれば、計算処理の精度も上がって適切なタイミングと量の資材調達を実現でき、進捗率の変動が激しい時でもスムーズに対応できるでしょう。
工事現場では人員や設備が足りなくて工事に遅れが出ることは少なくなり、追加で人員や設備を導入すると無駄なコストがかかってしまいます。
また、少ないことを懸念してあらかじめ多く設定すると、それも余計なコストに繋がってしまうでしょう。
ドローンを使って効率よく進捗管理ができれば、人員や設備の配置に関するコストカットにも期待できます。
測量の活用
設計・施工計画の前に測量により、土地の形や面積などを測らなければなりません。
通常は地面で測定を行いますが、土地の大きさや形によっては作業時間がかなりかかり、コストも無駄にかかりやすい問題があり、建設業や測量業界にとって効率化の実現は大きな課題でした。
空撮データを解析することで、今まで手作業で1週間近くかかる作業も1日から3日程に短縮することが可能です。
ドローンなら全体を把握できるので正確に距離や角度、高さを計測できます。
さらに、工事が終わった箇所に行うでき形管理では、測定した時のデータと工事した箇所の測定値を比較することで、効率よく計測することが可能です。
測量は人の手か飛行機のどちらかの方法で行えますが、人の手は時間がかかりやすく、飛行機はチャーターにコストがかかってしまいます。
ドローンならどちらの負担も省くことが可能なため、低コストで高効率の測量が行えます。
シーン別ドローン活用
建設現場で実際にドローンを導入する時、どのように活用すべきか悩む方も少なくないでしょう。
現場では複数の作業があり、シーンによってはドローンが活かせないこともあります。
では、どんなシーンで活躍できるのかシーン別の活用法をご紹介しましょう。
進捗確認
上空から進捗を把握する方法は2つあり、1つ目は近くにあるビルやマンションなど高い場所から確認方法です。
高い建物から確認する時は現場近くの建物に依頼する必要があり、また場所によっては確認しにくい位置だったり、そもそも高い建物がなかったりすることもあるでしょう。
2つ目は高所作業車や空中撮影会社に依頼する方法です。こちらは費用が高くつきやすく、確認時期とのタイミングが合わないこともあります。
それぞれのデメリットから考えると、ドローンを用いた進捗確認は好きなタイミングで行え、ベストな位置から確認できるメリットがあります。
また、空撮用なら20万円ぐらいで高性能ドローンを導入可能です。
風量測定
風量測定は建物の空調吹き出し口で行いますが、1mの高さなので足場の設置に時間がかかりやすく、作業は事故が起きる可能性がありました。
ドローンを導入することで足場や危険な作業なく風量測定が行えます。操縦はカメラ画像から場所を指定すれば自動的に近付くため、作業の容易化も実現可能です。
そして、測定の時は風をドローンのダクトに集めて測定することで、プロペラの影響をばくし正確に測ることができます。
今まで5分かかっていた作業が、1分から2分で完了した事例もあります。
老朽インフラの点検
どんな点検でも危険はつきものですが、中でも老朽化しているインフラ設備の点検は特に危険が伴います。
安全第一に作業するために安全確認の時間も確保しなければならず、作業時間は長引くことが珍しくありません。
ドローンなら危険な場所の点検に活用できるので、安全の向上に期待できるでしょう。
安全確認も最小限になるので、作業時間の削減も実現可能です。
橋梁調査
橋は5年に1回、近接目視という点検が義務付けられています。
大きな橋の場合、足場を設けて作下から点検する方法か、上からロープで作業員を吊る方法が行われていました。
しかし、どちらも危険が伴い、足場の組み立てにも時間がかかってしまいます。
さらに小さなひび割れなど問題箇所を見つけるのも容易ではありません。
ドローンなら自由自在に橋の下を行き来することができ、目視困難な部分も確認しやすく、効率よく点検作業が行えます。
今までは主に広告・メディア、映像業界などで用いられていたドローンですが、ご紹介したように建設現場でも様々なシーンで活用することができ、少しずつ導入する会社が増えてきています。
建設現場は多くの危険が伴う場所であり、さらに効率や正確性が重視されるので、ドローンは作業の効率化やコストダウンの面で大きな効果をもたらしてくれると言えるでしょう。
ドローン技術はどんどん進歩していくとみられるので、それに伴い建設現場での活躍も増えていくと考えられます。
ドローンが建設現場でどう活躍していくのか、今後も注目していきましょう。