
動画制作における編集作業は、見る側が受ける印象を大きく変えるための作業になります。撮影した動画自体には手を加えず、場面転換を行ったり、リズム感を付与したりするために活用されるのが「トランジション」です。トランジションを使いこなすことで、動画の印象を大きく変えられます。
そこで今回は、トランジションの概要や役割、よく使われるトランジション、活用事例について解説していきます。
トランジションとは?

トランジションは、動画編集を行う際に使用するエフェクトです。カットとカットのつなぎ目に使用されます。動画はいくつかのカットを組み合わせることで構成されているため、どうしてもつなぎ目ができてしまうものですが、そこを目立たせず動画を飽きさせないためにトランジションが活用されます。
トランジションを有効活用することで、幅広い演出をすることも可能です。カットの変わり目で印象を変えたい時、カット同士を違和感なくつなぎたい時などに効果を発揮します。そんなトランジションには様々な種類があるので、どのような印象の動画に仕上げたいかで取り入れるものが異なります。
動画制作では欠かせない要素となってくるため、理解を深めておくことは重要です。これから動画制作をしようと考えている方、動画制作を依頼したい方もトランジションを知っていると、どのような動画にしたいか明確にしやすくなるでしょう。
トランジションの主な役割

続いては、トランジションの主な役割についてより詳しく説明していきます。
カットとカットのつなぎの違和感をなくす
動画は複数のカットで構成されているので、そのままつなげてしまうと違和感が生じます。自然にカットをつなげるには、トランジションを取り入れてスムーズな場面転換を促す必要があります。カットが変わっても似た雰囲気だと見ている側がその変化に気が付かない場合もあるので、メリハリをつけるためにもトランジションは役立つのです。
動画を見やすいものに仕上げたり、見ている側が受ける印象を良くしたりするためにも、トランジションが重要になってきます。
つなぎ部分に演出効果を与える
トランジションには、つなぎ部分に演出効果を与えるという役割もあります。エフェクトほど強い効果は期待できませんが、前後のカットをつなぐ時にイメージを壊さないような演出効果を与えることも可能です。
トランジションを適用させる場合、BGMと連動させることで演出効果を高められます。BGMの小節に合わせて画面を切り替えれば、違和感なくテンポの良い動画に仕上げられるでしょう。
パラメーター次第で印象を大きく変えられるのもトランジションの特徴です。そのため、演出効果を与える際に活用されるケースは多くみられます。
【初心者必見】よく使用されるトランジション12選

動画制作で使用されるトランジションにはいくつもの種類があります。続いては、数あるトランジションの中で、初心者が押さえておきたい基本的なものをピックアップしてご紹介します。
なお、トランジション以外の動画編集方法やテクニックについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
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ディゾルブ
ディゾルブ(dissolve)は日本語に直訳すると、「溶かす」という意味になります。動画編集では、動画と動画をつなぐ時に使われるテクニックです。
前後のカットを重ね合わせ、徐々に後のカットへと移行していきます。前後のカットが溶け合うようにシーンの転換が行われるため、ディゾルブと呼ばれているのです。
ディゾルブは主に時間経過の表現や回想シーンなどに用いるケースが多いです。優しくシーンが移り変わっていくので、テレビや映画、ウェディングなど、様々なジャンルで活用されています。
ホワイトアウト・ブラックアウト
ホワイトアウトとブラックアウトも、多くの場面で用いられているトランジションです。画面を徐々に白くして次の場面に移るのがホワイトアウト、画面が徐々に暗転して次の場面に移るのがブラックアウトです。
エピソードが変わったり、シーンの切り替えを明確にしたりする場合に用いられます。メリハリのある動画に仕上がるという点が、ホワイトアウト・ブラックアウトの大きな特徴です。
ホワイトイン・ブラックイン
ホワイトイン・ブラックインは、ホワイトアウト・ブラックアウトとは逆の演出となるトランジションです。ホワイトインは、画面全体が白い状態になっていて、映像が浮かび上がっていきます。ブラックインは、画面全体が暗い状態から映像が浮かび上がっていくという演出になります。
ホワイトインとホワイトアウト、ブラックインとブラックアウトはそれぞれセットで使われるケースも多いです。スムーズな画面切り替えをするには、徐々に映像を浮かび上がらせることがポイントとなります。
スライド・押し出し
スライドは、次のカットがスライドして前のカットに重なるように場面が切り替わるトランジションです。押し出しは、前のカットを次のカットが押し出すようにシーンが切り替わります。
映画やドラマでは見かけることが少ないですが、アニメやYouTubeにアップされている動画では目にする機会が多いです。場面の切り替わりがはっきりするので、場面転換でシーンがガラッと変わる際に有効な効果と言えます。短い時間で複数の場面を見せたい場合にも効果的です。
ワイプ
ワイプ(wipe)は日本語だと「拭き取る」という意味になるトランジションです。画面が拭き取られたようになってからカットが切り替わります。
まっすぐな1本線がさっと画面内を横切るような効果が印象的で、車のワイパーを想像するとイメージしやすいでしょう。上下に動くタイプや円を描きながら動くタイプなどもあります。ワイプを使うと懐かしい印象になるため、回想シーンで使われることが多いです。
テレビ番組でメイン画面の隅に小窓を表示させ、異なる映像を同時に流す「ワイプ
とは別物なので混同しないように注意しましょう。
回転
回転はその名のとおり、ぐるりと回転しながらシーンが切り替わるトランジションで、「スピン
と呼ばれることもあります。ダイナミックな動きが特徴で、短時間の動画で活用すると勢いを感じやすくなります。
SNS広告で用いられるケースも多いです。変化を付けたい時に効果的なので、ミュージックビデオで使われることもあります。スピードの緩急をつければおしゃれな印象になるのも、このトランジションならではの特徴です。
ズーム
ズームもトランジションの一種です。カメラがズームアップした後、ズームアウトしながら次の場面に切り替わります。
ズームアップしながらカットをつなげることも可能です。ズームアップの最中に画面を切り替えていくと、躍動感のある映像に仕上がります。
躍動感のある演出を取り入れたいのであれば、ズームはおすすめのトランジションです。映像自体の動きを増やすためにも効果的です。
アイリス
アイリスは、カメラの絞りのことを指します。前のカットの画面中央から円や正方形の図形が広がりながら次のカットへ移行していくトランジションです。古い映画やドラマで多く活用されている手法なので、目にしたことがある人も多いでしょう。
アニメのエンディングで用いられていたこともあり、以前までは様々な映像で用いられていました。最近はあまり見かけなくなりましたが、全く使われていないわけではありません。
リップル
リップルは、小石を水の中に落とした時にできる波紋を模したトランジションです。動画編集ソフトによりますが、画面の上から下、左から右、などのように移動の仕方を選択できます。水面のような演出になるので、おしゃれな雰囲気の動画におすすめです。
まるでワイプのような役割を果たすことも可能です。そのため、幅広い場面で活用できる使い勝手の良いトランジションだと言えます。場面に応じてどれが適しているのか、いくつか試してみるのも良いでしょう。
グリッチ
グリッチは、人気のあるトランジションです。扱いが難しいことから以前は使われる場面が限られていましたが、最近は使いやすくなったこともあって多くの場面で活用されるようになってきました。SFや近未来を舞台にした映画などで使われるケースが特に多いです。
プリセットも多く用意されていて、自分だけの理想のグリッチを作ることも可能です。動画編集ソフトを使って簡単にグリッチを付与することができるため、試してみてください。
幾何学模様
幾何学模様は、その名のとおり幾何学的な模様のトランジションです。このトランジションを使うと、動画がおしゃれな印象に仕上がります。そのため、カフェや雑貨店などを紹介するYouTube動画などで取り入れられるケースも多く見られます。
また、幾何学模様のトランジションには見ている人を飽きさせないという効果も期待できるでしょう。ただし、主張は強めなので動画のつなぎ目をなくしたり、テンポの良い動画を作ったりしたい場合には適さない可能性があります。
蒸発
蒸発は、煙のように消えていく演出ができるトランジションです。インクを水面に落とすとまるで煙のように広がり薄まっていきますが、そのような演出を加えるのが蒸発です。
演出方法は多岐にわたり、中央から周りに広がっていったり、真ん中から上下に広がっていたりと、様々なテイストに仕上げられます。動画のイメージに合わせてどのようにこのトランジションを取り入れるのが効果的なのか検討してみてください。
ここまでよく使用されるトランジションをご紹介しましたが、動画制作ツール・ソフトによって使えるものが若干異なります。以下の記事では無料で使えるWebブラウザ版のおすすめ動画制作ツールを紹介しているので、こちらもぜひチェックしてみてください。
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企業の動画制作・編集のトランジション活用例

企業の動画制作・編集でトランジションを活用した事例はいくつもあります。ここでは、いくつかピックアップしてご紹介します。
・分煙装置の紹介動画
この動画では、ズームやリップルなどのトランジションが使われています。説明する項目が変わるたびにトランジションを取り入れ、スムーズかつ印象的な場面転換になっている点が大きな特徴です。
・資産形成サポート企業の紹介動画
シーンの切り替わりで、ズームアウトや軽めのホワイトアウト・ホワイトインなどを取り入れています。どのような企業なのかイメージしやすい仕上がりになっています。トランジションを取り入れることで、動画自体の流れも非常にスムーズです。
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まとめ

トランジションは、動画制作において重要な役割を担います。動画編集ソフトの中には無料で付与できるものもありますが、効果を最大限発揮するためには知識が必要になります。より効果的な演出を動画に付与させたい場合は、動画制作・映像制作のプロに依頼するのがおすすめです。
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