スノーボード映像の世界 〜 映像で一攫千金が狙えたバブル時代 | 動画制作・映像制作会社のグローバル・ジャパン・コーポレーション

スノーボード映像の世界 〜 映像で一攫千金が狙えたバブル時代

鬼塚智己
鬼塚智己

エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター

GJCプロデューサーの鬼塚です。

今年の冬は雪が多いですね。
スノースポーツを楽しむ人にとっては良いシーズンではないでしょうか。

今回は、私が以前10年ほど関わっていた、スノーボード映像制作の仕事についてお話しします。
2000年代に巻き起こったスノーボードブームは映像バブルを産んだという話です。

17才からスノーボードを始めた私(現在46才)は、その魅力にどハマり。一時は長野県や北海道のスキー場の近くに住み、年間120日以上滑る生活を数年間していました。
(完全に遊び人に見えますが本人は真剣でした)

そんな経験もあり、カメラを持って滑れるスタッフを探していた制作会社に声をかけてもらったのがきっかけで、スノーボード映像の世界へ。
というか映像の世界へ入ったきっかけでもあります。

2003年、まだYoutubeなどの動画配信プラットフォームもない当時、ビジネスとして成立しているスノーボード映像には、主に下記の分野がありました。

・地上波やケーブル局などで放送されるテレビ番組系
・DVDなどでリリースされるビデオパッケージ系

私は、北海道と東北のローカルテレビ局で放送される30分の番組と、年に1度リリースされるビデオパッケージ制作の両方を制作。
(構成・撮影・編集を1人で担当してました)

中でもビデオパッケージは結構な市場規模のビジネスになっていました。
ここで言うビデオパッケージ とは、主に1シーズン撮りためたライディング映像をカッコよく編集して、VHSやDVDでリリースするものです。
(業界では滑ることをライディング、滑り手をライダーと言います。バイク乗りみたいですよね)

「レジャー白書2021」によると、2020年時点でのスノーボード人口は160万人ですが、最盛期の2002年はなんと540万人。
当時のスノーボード用品の市場規模も1,000億超という、まさにバブル時代でした。

スノーボード映像が大金をもたらす時代

1960年代にアメリカで誕生したとされるスノーボード。日本では1990年ぐらいから、若者を中心に爆発的なブームとなりました。
その大きな理由は「ファッション性」。

これまでゲレンデを支配していたスキーヤーのウェア といえば、ピタピタのスリムなシルエットと蛍光色が定番。そこへ、スケートボードのファッションや技(トリック)を取り入れたスノーボードが登場。「かっこいい!」と瞬く間に若者を虜にしました。

かく言う私も17才の時、長野県の栂池高原スキー場でピタピタの蛍光色ウェアでスキーをしている時に、ネルシャツとダボダボパンツにチェーンじゃらじゃらと、超イケてるスタイルの女性スノーボーダーに遭遇。「これはやるしかない!」と超ミーハー的に始めました。
(真冬のスキー場でネルシャツ!?という疑問は持ちませんでした)

さらに、このブームの牽引に大きな役目を果たしたのが、スノーボードビデオやDVDなどの映像作品でした。
優れたライダーたちが雪山で繰り広げるスタイリッシュでトリッキーなライディングに、キャッチーなBGMを合わせた映像作品は飛ぶように売れていきます。
3,000本売上げれば大ヒットと言われていたスポーツ映像の世界で、数万本が売れていた時代でした。

さらに映像市場の盛り上がりを支えたのが、安価で高性能な小型デジタルビデオカメラの登場と、パソコンによる映像編集の普及。
プロ、アマチュア問わず、ライダーが仲間とプロダクションを設立し、カメラを持って雪山でライディングを撮影。それを自分たちで編集し、ビデオテープやDVDに収録して販売。
価格は1本4,000円前後のものが多く、1万本売れれば4千万円の売り上げ。人気作品は数万本売れていたと思います。
そんな映像バブル時代には、多くのプロダクションが乱立し、最盛期には数十種類の作品が売り出されていたシーズンもあったと思います。

こうして、10代や20代の若いスノーボーダーがビデオカメラひとつで大金を手にしていました。

余談ですが、私が一緒に仕事した人気チームを束ねるライダー(当時20代前半)も、
「もう税理士つけないと売上ヤバイんですよね〜」と言ってました。

でも…撮影や編集はラクじゃない!

(経験した範囲内でのお話です)

スノーボード映像の撮影は様々なロケーションで行いますが、主に
・パーク(スキー場内にあるジャンプ台やレールなどのセクションが設置されているエリア)
・バックカントリー(自然の雪山)
・ストリート(街の中)
の3つがあります

この中でもバックカントリーでの撮影は大変です。
まず山を登らないといけない。もちろんリフトなどありません。
カメラマンの背中のリュックには、スノーボードの板を初め、シャベル・ゾンデ・水や食料といった冬山登山に必要な道具、そしてカメラ・三脚・レンズ・バッテリーとった機材がパンパンに詰まっています。(この時点で大変さが想像できますよね)

足場が不安定な雪の斜面を登り、撮影できそうなポイントを目指します。
撮影ポイントが決まれば、ライダーが自分の滑るラインやジャンプする場所などを決めます。
カメラマンはそのプランに応じ、最適なアングルで撮影できるポイントを探して移動します。
ここで重要なのが、ライダーが滑る斜面の真っ新な新雪に跡をつけないということ。
なので、木が密集する林の中を枝にムチ打たれながら回り込んだり、腰まで雪に埋まりながら歩いて移動したりと、超裏方に徹します。
これはヘビーな運動量なので、ウェアの中は汗だくの蒸し風呂状態。
マイナス温度の雪山なのに暑さとの戦いです。

必死の思いで撮影ポイントにたどり着いても、急に吹雪いて視界が無くなったり、ライダーがミスったりで、その日の収穫(撮れ高)がゼロということもあります。
スノーボード映像は、数秒のパフォーマンスを積み重ねて20〜30分程度の作品にするので、大量のライディング映像が必要です。
なのでビデオパッケージの制作をメインに活動しているチームは、シーズンを通して常に撮影を行っています。
もちろん活動費は自腹が多く、あるチームのプロデューサーはシーズン終盤に撮影資金が底を付き、ひたすら複数のクレジットカードを駆使してお金を工面したそうです。

と、ここまでお金の話が多かったですが、
私の肌感では、ライダーたちが映像を作るモチベーションはお金より、
「カッコイイとこをみんなに見せたい!」という方が圧倒的に大きかったと思います。
(もちろん超ビジネスライクなスタイルの方もいらっしゃいました)

そして月並みですが、ライダーたちは「スノーボードが三度の飯より好き」ということ。
私が接したライダーたちは皆、仕事という感覚は持っておらず、ほぼ遊び感覚。
仕事としてやってた私にとって、時間にルーズだったり、気分で滑るのをやめたりする一部のライダーさんには苦労しましたが笑。

何事も夢中で一生懸命やれば、必要なものは後からついてくる
どこかで聞いたことのあるセリフですが、私が感じたスノーボード映像の世界は、まさにそんな感じでした。

さいごに

2008年以降、DVDやCDなどの物理メディアの売上は急速に落ち込んでいきます。
動画配信プラットフォームの台頭です。
2006年には3,264億あった映像ソフトの市場も、2020年には1,860億に。

そんな時代の変化もあり、スノーボード映像のビデオパッケージも徐々に盛り下がっていきました。

しかし!スノーボードだけでなく、映像と相性の良いスポーツにとって、今はイイ時代です。
Youtubeなどでは高品質なスノーボード映像コンテンツから、滑り方や技のHowtoまで全て無料で見れてしまいます。
配信されるコンテンツ自体に価格は付きませんが、配信により視聴数の上限が無くなった分、コンテンツの影響力は以前よりも増しています。

まさにアイデアと行動次第で、何者にでもなれる時代。
これからもスノーボード映像コンテンツからは目が離せません。

それではまた!

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    代表取締役
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    クリエイティブ・ディレクター
    鬼塚 智己

    顧客の課題解決を第一とし、映像、デザイン、ビジネス視点を組み合わせたアプローチでゴールを目指します。

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    撮影技術責任者
    平原 昌樹

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