動画でマーケティングを行う企業は増加傾向にありますが、自社で動画の制作に取り組んで、オリジナリティー溢れるものにしたいと考える場合もあると思います。その一方で、企画段階で予算を都合に諦めてしまうケースもあり、制作費が大きな壁になったという話があるのも事実です。
高額になりやすい動画制作ですが、実は制作に使った費用を申請できる制度があることはあまり知られていません。ここでは、動画制作を対象とする補助金・助成金についてご紹介します。
動画制作を対象とした助成金と補助金がある
動画制作を対象とした助成金制度は、国が主体となるものと自治体が主体となるものがあります。対象となるのは、何を目的に動画制作を行ったのかという目的に合わせて内容が異なります。
動画制作においての助成金は、主に国や地方団体が行っているものであり、各要項や内容を満たして入れば申請可能です。補助金も交付先は国や地方団体ですが、経済や地域活性化などそれぞれの目的、要件を満たしているのが申請条件です。
また補助金の場合、審査が行われてから補助金が受けられるかどうかが判断されるケースもあります。これらの違いを判断したうえで、動画制作対象の助成金や補助金を探すのが良いでしょう。
動画制作が対象となる助成金
ここでは、動画制作を対象とした各制度の内容を紹介します。対象者やどのような助成が受けられるのかを確認してみてください。
小規模事業者持続化補助金
日本商工会議所が主体となって支援しているのが、小規模事業者持続化補助金制度です。対象者は、昇降会議所の管轄で事業をしている小規模事業者、個人事業主、一定の要件が満たされたNPO法人が対象となります。
商業やサービス業なら常時使用している従業員数5人以下、サービス業内で宿泊、娯楽業なら常時使用している従業員数20人以下、製造業やその他では常時使用している従業員数20人以下です。NPO法人では、認定NPO法人以外、法人税法上の収益事業をしていることが要件となります。
補助額や補助率は、通常枠と特別枠で異なります。どれか1つの枠で申請ができる仕組みです。
通常枠は、補助率が2/3で補助額上限50万円です。特別枠の賃金引上げ枠では、補助率が2/3で補助額上限200万円です。卒業枠、後継者支援枠、創業枠も同じですが、インボイス枠は補助率が2/3ですが補助額上限100万円となります。
さらに加点項目として、パワーアップ型、赤字賃上げ加点、経営力向上計画加点、電子申請加点、事業承継加点、東日本大震災加点、過疎地域加点、災害加点、事業環境変化加点があり、特定の概要対象となると優遇されます。事業を行っている商工会議所や商工会などの支援や承認が必要です。
詳しくは、ホームページの小規模事業者持続化補助金で確認してみると良いでしょう。
参考:https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_gaidobook.pdf
事業再構築補助金
経済産業省の外局であり、中小企業の発展や育成を中心にしているのが中小企業庁です。そこで設けている補助金制度が事業再構築補助金となります。
対象は中小企業ですが、新たな分野への展開や事業再編や規模拡大、業態転換や事業・業種転換など大幅な事業の再構築に取り組む際の支援を行います。これらに企業広告やブランディングなどの広告宣伝として動画制作を行う場合でも申請可能です。
補助対象の要件として、2019~2021年同月と比較して10%以上の売上高減、事業再構築指針に従った事業計画や新しい分野の展開を行うこと、中小企業庁の示す認定経営革新等支援機関と事業計画を策定することが必要です。補助額や補助率は、通常枠、油価格・物価高騰等緊急対策枠(緊急対策枠)、回復・再生応援枠、グリーン成長枠で異なります。
ここで紹介したのは、第7回公募の内容(2022年7月1日)に沿ったものです。要件などの詳細は、募集期によって修正される場合があります。詳しくは、中小企業庁ホームページの事業再構築補助金で確認してみると良いでしょう。
参考:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/#c1
IT導入補助金
IT導入補助金は、独立行政法人中小企業基盤整備機構および中小企業庁が監督のもと、一般社団法人サービスデザイン推進協議会が運用しているものです。対象は中小企業、個人事業主でITツールを導入する時に申請できます。
通常枠A類型、B類型、デジタル化基盤導入類型、複数社連携IT導入類型があります。通常枠A類型、B類型は、業務工程や種別によって分かれているもので、ソフトウェアやクラウドなどの導入関連費用が対象です。
デジタル化基盤導入類型は、対象ソフトウェアとして会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトとなり、ハードウェア購入費用が補助されます。複数社連携IT導入類型は、基盤の導入経費や消費動向の分析経費、事務費や外部専門家への謝礼なども補助の対象です。
通常枠A類型は、補助率が1/2で補助額は30~150万円です。B類型は、補助率が1/2で補助額は150~450万円です。デジタル化基盤導入類型は、補助率3/4で補助額5~50万円と、補助率2/3で補助額50~350万円があります。複数社連携IT導入類型は、属する経費によって補助率や補助額が異なります。
詳しい内容は、IT導入補助金2022で確認してみてください。
「J-LOD」補助金
「J-LOD」は、映像産業振興機構が事務局となって経済産業省の補正予算であるコンテンツ海外展開促進・基盤強化事業費補助金を用いることです。J-LODは、Japan content Localization and Distributionを略したものとなります。
地方の公共団体や企業のブランディングを促進するための映像を制作する際に支援するもので、ブランディング目的でストーリー性がある動画、デジタル配信する映像制作、商品の宣伝用ではないものなどの条件を満たしているものが対象です。申請は法人または地方公共団体が対象で、対象となる経費は映像制作費、映像発信費、効果検証費です。
補助金の対象は、補助率が1/2で補助上限額が1,000万円です。脚本や撮影機材費、制作スタッフの人件費、動画広告の配信に関わる出稿費なども含まれます。2019年から始まった補助金ですが、2020年度には全31件が採択されています。
J-LODで補助を受けたい、詳しい内容を知りたい場合はJ-LOD(5)特設サイトで確認してみてください。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、正式名称がものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金のことです。中小企業などの、生産性向上となる革命的サービスの開発、試作品などを支援する補助金となります。
対象となるのは、小規模事業者から中堅企業者までの企業規模と基本要件に該当するものです。そのため、この2点が満たされていれば、組合や個人事業主、NPO法人も申請できます。
回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠があり、従業員5人以下は750万円、6~20人以下は1,000万円、21人以上は1,250万円までが上限で、補助率はいずれも2/3以内です。回復型賃上げ・雇用拡大枠の申請要件は、前年度の事業年度での課税所得がないこと、常時使用従業員がいること、補助事業完了した年度の翌年3月末時点で、給与支給総額、事業場内最低賃金の増加目標達成が必要です。
デジタル枠は、DXに関して役立つ革新的な商品やサービスの開発、デジタル技術を用いたサービスなどの提供方法の改善や、推進に向けて現状の課題などの認識、独立行政法人情報処理推進機構が実施しているSECURITY ACTIONで★ 一つ星、★★ 二つ星いずれかの宣言を行っているかが要件です。
グリーン枠は、従業員5人以下は1,000万円、6~20人以下は1,500万円、21人以上は2,000万円までが上限で、補助率はいずれも2/3以内です。申請要件は、温室効果ガスの排出削減などが可能な革新的製品やサービスの開発、3~5年の事業計画期間中に事業場の単位で炭素生産性年率平均1%以上の増加、自社で実施してきた温室効果ガスの排出削減の取り組みの有無などが必要です。
グローバル展開型では、補助金上限額1,000~3,000万円、実施期間12ヶ月、海外事業の拡大や強化を目的とした支援もあります。ものづくり補助金の詳しい内容はものづくり補助金総合サイトで確認してください。
参考URL:https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/11th/gaiyou_20220519.pdf
関連リンク
各自治体でも補助金制度を設けている
ここまで、動画制作が対象の補助金制度を紹介してきました。各助成金や補助金によって対象者や項目が異なりますが、いずれも動画制作を用いた取り組みで助成が受けられます。
他にも、各地方によって動画制作を対象とした助成金制度があるので紹介していきます。
企業PR用動画作成補助事業
福島県会津若松市では、工業部会員限定として企業PR用動画作成補助事業を行っています。会津若松商工会議所が主体となり、企業PR動画の作成に対して最大10万円の補助が受けられます。
参考URL:https://www.aizu-cci.or.jp/support/other/sub2021-11/
魅力発信動画制作補助金
東京都荒川区では、中小企業が自社の魅力や強みなどを紹介する動画制作をした場合、一部の政策経費を補助する制度です。中小企業基本法で定められた中小企業が対象で、申請完了直近の事業年度分法人都民税、個人事業者なら前年度分の個人住民税を滞納していないこと、年度内で同じ補助金を受けていない場合が対象です。
新たな販路の開拓や事業の連携を目的としたPR動画の制作費において、補助対象経費の1/2、補助金上限額10万円までとなります。テレビコマーシャルや自主制作は補助の対象外です。
参考URL:https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a021/jigyousha/jigyouunei/dogahojyo.html
助成金で動画制作するメリット
現在は、様々な助成金を申請して動画制作を行うことができます。国や自治体で補助金や助成金の対象となる幅は異なりますが、動画制作会社への依頼によってメリットも得られます。
地方自治体の補助金対象となる要件に、動画の自主制作を外しているものもあります。そのため、動画制作会社での依頼が必要な場合もあるでしょう。
動画制作は、多くの情報を映像でインパクトを与えながら伝えられるのが大きなメリットです。ここでは、助成金で動画制作するメリットについて解説していきます。
クオリティの高さが期待できる
動画制作会社への依頼で、自主制作に比べて高いクオリティの動画が期待できます。動画制作をフリーランスで行っている方もいますが、個人での作業となってしまうため、動画の仕上がりやテイストが似たものになる可能性もあります。
しかし、動画制作会社であればチームでの制作を基本としているので、一定の品質は保証されているだけでなく、プロの技が詰まったクオリティが感じられるのも特徴です。制作費もフリーランスより高額になってしまいますが、それ以上の品質が期待できます。
プロの視点でアドバイスが得られる
自主制作には、自主制作の良さや初々しさを感じられますが、動画にした以上限られた映像の時間内に伝えたいことを分かりやすく表現しなければなりません。動画制作会社への依頼によって、自主制作らしさを表現できるだけでなく、プロのアドバイスによって新たな視点で考えることができます。
企画の時点でアドバイスが受けられるだけでなく、プロの経験や実績から培ったものを含めた作品に仕上がっていきます。マーケティング重視ならマーケティング経験の豊富な動画制作会社への依頼によって、大きなメリットが得られるでしょう。
動画・映像制作会社に依頼するメリットやおすすめの会社については、以下の記事をご参照ください。
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助成金に考慮した動画が作れる
動画制作で気になってしまうのが制作費用です。自主制作では、大掛かりなことをすれば映像に迫力を与えることができますが、それ以上に予算も必要です。
しかし、動画制作会社へ依頼する際には事前に予算や目的を伝えることで、それに添える内容や動画を制作してくれます。目的を明確にすることで、伝えたいことをアプローチできる動画になります。
商品やサービスの紹介、売上げアップ、ブランド力の向上、企業イメージの一新、人材採用など、どのような目的で助成金を含めた予算を伝えることで、これらに考慮した動画が作れます。
補助金の採択率
動画制作を対象とする補助金をご紹介してきましたが、残念ながら申請した企業がすべて補助金を受けられるわけではありません。例えば小規模事業者持続化補助金だと、第16回(2024年5月27日実施)の公募では申請件数が7,371件ありましたが、採択件数は2,741件で、採択率は37.2%となっています。
採択率を少しでも上げるためには、各補助金の要綱に合わせて正当性を証明する書類の準備や将来を見据えた具体的な事業計画の作成、実施期間の厳守は必須です。また、採択された後も報告が必要な場合が多いことから、動画活用や報告を想定した上で準備を進めていきましょう。
よくある質問
動画制作に関する補助金・助成金に関して、よくある質問をご紹介します。気になっている疑問は早めに解消しておきましょう。
動画制作に使える補助金にはどんな種類がある?
動画制作にも使える補助金は、以下のとおりです。
・小規模事業者持続化補助金
・事業再構築補助金
・IT導入補助金
・「J-LOD」補助金
・ものづくり補助金
また、各自治体でも動画制作に使える補助金制度を設けている場合もあります。
採択率を高めるにはどんな対策をすべき?
採択率を高めるには、以下のポイントを押さえることが大切です。
・各補助金の要綱に合わせて正当性を証明する書類を準備する
・将来を見据えた具体的な事業計画を作成する
・スケジュールを確認し、提出期限を守る
まとめ
ここまで、動画制作を対象とした助成金の内容や対象となる条件や内容について紹介してきました。
動画や配信でのマーケティングを行う企業が増えていき、今では当たり前になっている方法です。その一方で、高額になることが予想されているため、この時点で諦めている企業も少なくありません。このような場合には、各自治体や国での助成金制度を積極的に申請するのがおすすめです。
特に新規事業や開発など、新たな業種への応援や再構築に対して補助金を出すものもあります。申請内容などは各助成金で異なりますが、主に売上高減や事業所人数などでの決まりがあるので、確認してから助成金を申請するのが良いでしょう。
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