動画ではよくBGMがつけられていますが、音には映像を引き立てる効果があります。
映像の雰囲気を出したり、印象付けたりするためにはBGMの挿入が欠かせません。
ただ、BGMには著作権が絡むので動画制作の際は扱いに注意が必要です。
著作権を侵害せず動画制作をするために、一度動画BGMの著作権について確認することが大切です。
今回は著作権の扱いや対応、さらにYou Tubeでも使用可能なおすすめ動画BGMをご紹介しましょう。
動画制作でBGMを活用するメリット
動画制作において、BGMを活用することで様々なメリットがあります。
具体的にどのようなメリットを得られるのか解説していきましょう。
視聴者を飽きさせない
動画広告で新規顧客を獲得したい場合、ユーザーに対して様々な情報を提供しようと考えます。
しかし、この情報がユーザー側にとって煩わしく感じられてしまうケースも少なくありません。
そこで、なるべく視聴者を飽きさせないためにも短い時間でインパクトのある動画制作が重要となってきます。
BGMは短時間でもユーザーにインパクトや必要な情報を伝えるのに適しています。
飽きさせずに最後まで見てもらうためにも、BGMの活用は必須と言えます。
必要な情報を伝えられる
動画で情報を伝えようとした時、映像や字幕、セリフなどが重視されますが、BGMからも情報を伝えることが可能です。
むしろ映像や字幕、セリフだけで情報を伝えようとするとユーザーは多くの情報を受け取ってしまい、見にくさを感じてしまう恐れがあります。
しかし、内容を絞り過ぎると伝えたい情報が不足する可能性も否定できません。
BGMを活用すれば商品・サービスの印象やイメージ、雰囲気を効果的に伝えられます。
動画のBGMが与える効果
動画にBGMをつけることで様々な効果を付与できます。
どのような効果が得られるのか、それぞれの特徴を解説していきましょう。
①マスキング効果
マスキング効果とは、周波数が同じ音が重なることでもう一方の音が聞こえにくくなることを言います。
例えばエアコンをつけた後でこれまで聞こえていた時計の音が聞こえなくなったなどの経験をしたことはありますか?
これは単にエアコンの音がうるさくて時計の音が聞こえなくなったのではなく、同じ周波数だった場合にマスキング効果によって時計の音が聞こえにくくなっている可能性が高いです。
マスキング効果は動画制作にも応用できます。
例えば動画内にあまり適さない音が入っていた場合、BGMを流すことで聞こえづらくできます。
動画内の不要な音を消すことで、ユーザーが視聴する際のストレスを軽減し、動画に集中してもらえるでしょう。
注意点としては、マスキング効果を狙ってつけたBGMがかえって動画の邪魔になってしまうことです。
BGM自体が動画の邪魔になってしまっては意味がありません。
きちんと動画の内容に集中できるBGMかどうかチェックする必要があります。
②イメージ誘導効果
BGMをつけていない動画の場合、そのシーンの雰囲気が伝わりづらい場合もあります。
例えば話している本人は明るく話しているつもりでも、情報を受け取るユーザーによってはそのように感じられない場合もあるでしょう。
映像だけで動画を制作するよりも、BGMを挿入することで伝えたいイメージに誘導できるのです。
例えば子ども向けのおもちゃを紹介する場合、明るく楽しい雰囲気のBGMを流すことで「紹介しているおもちゃで遊ぶと楽しい気分になれる」ことを印象付けられます。
結婚式場のイメージ映像には、落ち着いた曲調でありながら豪華なBGMを流すことで「華やかな結婚式場」をイメージさせることも可能です。
また、複数の動画に同じBGMを挿入することで「この企業の動画にはこの音楽」と印象付け、ブランディング効果につなげられます。
③感情誘導効果
動画の中でユーザーの感情を揺さぶるようなシーンがある場合、BGMを挿入することで感情誘導効果が期待できます。
人間は、BGMの曲調やテンポによって感情の変化が見られることがわかっています。
例えば青春時代によく聴いていた音楽を聴くと当時の楽しかった思い出が蘇り、心が明るくなることもあるでしょう。
また、恋愛ドラマでデートに行く準備をしている時に明るい曲調のBGMを流れることで、デート前のワクワク・ドキドキ感が伝わってきやすくなります。
一方で相手に振られてしまう場面で悲しいBGMが流れると、その人の悲しい感情が伝わり涙を流してしまう人もいるかもしれません。
このように、BGMは共感性を生み出すことも可能です。
この感情誘導効果を動画に活かすことで、ユーザーの感情と音楽によるつながりによって記憶にも残りやすくなります。
動画BGMに使用する音楽の著作権の扱いについて
著作権というと、元を作った人に権利があるというイメージがあります。
しかし、音楽の場合は1曲に対して複数の権利者が存在することがあります。
例えば、アーティストの名前や人物画像は所属事務所の著作権となり、音源に関してはレコード会社やレーベル、歌詞と曲は出版社やJASRACに権利があります。
ミュージックプロモーションビデオがある場合は、映像制作会社も著作権を持つことになります。
このように、音楽は権利管理が細かく分けられています。
もし好きなアーティストの楽曲を自作動画で使う場合、許可なく使ってYou Tubeなどに投稿すれば著作権侵害にあたるので注意してください。
権利者から損害賠償請求を訴訟されることがあります。
事案によっては懲役や罰金を科せられることもあります。
パターン別の著作権への対応・考え方について
動画BGMを安全に使うためにも、著作権を守ることが重要です。
では、動画にBGMを付けたい場合は、どのように対応すれば良いのでしょうか?
パターン別に著作権への対応や考え方についてご紹介します。
個人的に動画サイトに公開する場合
CD音源の場合、経済的な利益を損失しない程度の私的利用なら著作権の侵害にあたらないとされています。
例えば、音源を第三者に配布する目的の動画はCDや音源が売れなくなるので、著作権を侵害する行為です。
利益を得ることを目的にしないのであれば、動画BGMの使用も私的利用に該当する可能性がありますが、法律の解釈に応じて認められる範囲が変わるのでCD音源の使用は望ましくありません。
著作権者の許可があれば使用できますが、個人で許可を得ることは非常に困難なので、著作権使用料がフリーのBGMを使用することをおすすめします。
ネットでは著作権フリーでBGM素材を配布しているサイトがあるので、そこから動画に合う好みの音源を確保しましょう。
規約に関してはサイトごとに異なりますが、個人の場合は借用を示す表記や報告を必須にしている場合があるので、規約を守り許可している範囲で使用しましょう。
動画BGMを最も安全に使用する方法があるとすれば、自分でオリジナル楽曲を作ってしまうのが一番理想的です。
しかし、作曲や演奏、音源化する技術や知識がないと難しいので、著作権フリーの動画BGMを探した方が良いでしょう。
商用利用を目的とした動画(映像)の場合
企業の場合、個人と比べてCD音源の使用許可が取りやすいという利点があります。
CD音源を使用する際はJASRACなどの著作権管理団体への申請や支払いといった手続きを済ませることで使用可能です。
レコード会社やレーベルによって申請先が変わるので、利用規約と共に確認してください。
フリー素材を使用する場合は商用利用が可能かどうか確認する必要があります。
個人サイトの場合、商用利用を認めていないことが多いです。
認めている場合は個人利用と同じく規約があるので、クレジット表記の有無や使用報告が必要かどうか確認しましょう。
この他にも著作権フリーのBGM用CD音源が販売されており、ネット上で配布されている素材と同じく、JASRACなどに申請することなくすぐに使用できます。
プロが制作しているので、個人サイトよりもクオリティの高い動画BGMに出会うことができるでしょう。
動画制作会社で動画を制作する場合、すでにBGMを用意していることが多いです。
会社によっては数百曲の音源を持っているので、自ら用意しなくても動画に合ったBGMを付けることができます。
著作権を理解しているプロに任せるので、著作権を侵害することなくBGMのついた動画を商用利用できます。
動画制作でBGMを扱う際のポイント
実際に、動画内でBGMを挿入する場合はどのようなポイントに注意すべきなのでしょうか?
続いては、動画制作でBGMを扱う際のポイントを3つ解説します。
こだわりすぎない
動画制作の中でBGM選びも重要な工程の1つと言えます。
しかし、BGMは無料のコンテンツだけでもかなりの数が存在するため、こだわりすぎてしまうと時間だけがかかってしまいます。
重要なのは動画のクオリティを高めることです。
スムーズな動画制作を行うためにもBGMはこだわりすぎないように注意しましょう。
使いやすいよう整理する
あらゆるBGMの素材が存在する中で、どこにどのBGMを収納したか忘れてしまう方も多いでしょう。
そのため、動画制作に活用するためにダウンロードした段階で整理しておくことが大切です。
フォルダ分けをするだけでも使いやすくなりますが、欲しい音楽をすぐに検索できるようその音楽の特徴など情報を記載し、ラベル分けしておく方法もおすすめです。
全体の音量バランスを意識する
動画内では映像自体の音や効果音、BGMなど様々な音が同時に発せられる場合も少なくありません。
この時に注意したいのが、全体の音量バランスです。
例えば映像自体の音が小さく、BGMが大きかった場合、映像の音が聞こえないため視聴するユーザーは不快に感じてしまう可能性があります。
全体的に音量のバランスが崩れていないか、必ずチェックしておきましょう。
有料の動画BGMサービス3選
動画BGMを提供するサービスの中には有料で洋楽を提供するサービスがあります。
有料サービスは基本的に業務用BGMになるので、商用利用ができるケースがほとんどです。
BGMのクオリティも高いので、中でもおすすめの動画BGMサービスをご紹介しましょう。
Epidemic Sound
海外のクリエイターも利用する有料BGMサイトで、月15ドルで利用できます。
30日間の無料トライアルがあるので、まずはお試しで利用しても良いでしょう。
毎月利用料金を支払うことになるので、著作権侵害や使用料の請求は一切ありません。
こちらのサイトは気分別に音楽を選択できます。
例えば、動画の雰囲気を気分に例えて、BGMを挿入したいシーンに合ったBGMを探すことが可能です。
Audio Network
400名の作曲家による15万曲のオリジナルBGMを提供しています。
サイト内は9ヶ国に対応しており、日本語表示ができるので利用しやすいでしょう。
BGMはYou Tubeでの配信やテレビ放送まで、様々な用途で利用可能です。
支払いは利用が決まった音源のみで、個人か商用かによって料金が変わります。
また、支払い方法はUSドル、ポンド、ユーロのいずれかになるので注意しましょう。
Jamendo
ルクセンブルクの有料BGMサイトです。
個人的に視聴するだけなら無料ですが、ライセンスを購入することで動画BGMとして音源を利用できます。
ライセンスの利用料金は曲や用途に応じて異なりますが、個人なら9.99ドル、商用利用だと49ドルからとなっています。
20万曲以上用意しており、音源のジャンルやテーマ・気分、楽器、言語、目的別などカテゴリーが細かいので、BGMが探しやすいサイトです。
無料の動画BGMサービス3選
著作権フリーのBGMは無料で利用できるものがたくさんあります。
できれば無料で使いたいという方に、You Tubeでも使用できるおすすめ動画BGMサービスをご紹介しましょう。
You Tubeオーディオライブラリー
You Tube公式のサービスで、動画に使用できるBGMを無料で提供しています。
ジャズやポップ、クラシックなど14種類のジャンルから、好きなBGMを選んでダウロードできます。
使用にはYou Tubeの規約を守る必要があり、動画BGM以外の用途には使えないので注意しましょう。
こちらのサービスは商用利用も可能となっています。
ただ、BGMによっては動画内にトラック名やURL、アーティストなどを表記しないと使用を認めない場合があります。
また、音源は自分自身が制作した動画だけに使えるので、第三者に音源を渡すことは禁止です。
HARD RECORD
100人以上のクリエイターが在籍している著作権フリーBGMサイトで、2000曲近くのBGMと効果音を無料で利用できます。
クレジットの記載等は任意ですが、商用利用の際は事前に利用内容の報告が必要です。
BGMの制作依頼も行っているので、オリジナル楽曲を動画に使用することも可能です。
DOVA SYNDROME
約1万曲のBGMや効果音を著作権フリーで配布しているサイトで、個人・商用共に無料で使用できます。
タグ付けされており、曲の雰囲気や使用している楽器などから選んで曲を探すことが可能です。
こちらも有料になりますが作曲依頼があるので、オリジナルBGMの作成もできます。
動画にBGM・音楽をつけられるアプリ
動画にBGM・音楽をつけたい場合、以下のアプリを用いるのがおすすめです。
ここでは6つのアプリの特徴についてご紹介します。
Windows標準搭載アプリ
Windows11に標準搭載されているアプリの中に「Microsoft Clipchamp」があります。
こちらは有料版も配信されていますが、無料でも編集するための基本的な機能は揃っており、なおかつ動画のテンプレートも用意されているため、動画編集の初心者にもおすすめのアプリです。
Microsoft ClipchampにはAI機能が備わっており、より手軽に動画を編集したい場合にもおすすめです。
AI機能では制作したい動画の種類を選び、使いたい素材を追加します。
さらに作りたい動画のイメージと画面サイズ、動画の長さを選択すると自動的にBGMや動画編集を行ってくれるのです。
本格的な動画編集を行うとなると有料版を利用した方が良いですが、簡単な動画編集機能があれば十分という方はMicrosoft Clipchampから試してみましょう。
TikTok
TikTokはSNSの中でも短時間の動画をシェアすることを目的としたアプリです。
主に動画の視聴やシェアをしたい時に活用されるアプリですが、TikTok内で動画編集も行えます。
TikTokでBGMを追加するには、まず動画のレコーディングとアップロードを行い、画面下にある「楽曲」アイコンをタップします。
次に、使いたい音源素材をライブラリの中から探し、その楽曲を追加したら音符とハサミのアイコンをタップして音楽の挿入場所を決めます。
あとは動画を投稿するだけで完了です。
TikTokではその他にもエフェクトを付けたり、テキストを挿入したりするなどの機能も揃っています。
簡単な編集機能しかない点は注意が必要ですが、手軽にTikTokへ動画を投稿したい方にはおすすめです。
iMovie
iMovieとは、Apple製品に標準搭載されている動画編集アプリです。
現在は4K動画にも対応しており、高画質な状態を保ったまま編集作業を行えます。
Apple製のアプリになるため、WindowsやAndroidでは使用できません。
iMovieには動画編集の初心者向けに複数のテーマが用意されています。
このテーマを使うとBGMの設定やテロップ入れなどを行わなくても良いため、短時間で動画編集を仕上げたい方にも適しています。
ただし、iMovie内に入っているBGMは編集時に自由に使えるようになっていますが、著作権は放棄されていません。
つまり、個人の動画として使用する分には問題ありませんが、YouTubeやSNSに投稿してしまうと著作権侵害になる恐れがあります。
YouTubeやSNSに投稿したい場合は著作権フリーのBGMを別途ダウンロードしておきましょう。
Canva
Canvaとは、ブラウザ上やアプリで利用できるグラフィックデザインソフトです。
Canvaには膨大な数のテンプレートが保存されており、テンプレートを自由に編集して自身が作りたいものに仕上げられます。
無料の動画テンプレートも存在するため、カスタマイズをして商品やサービスに合った動画を制作してみましょう。
Canvaで動画編集を行う場合、まずは新規作成またはTikTokやYouTubeなどどのタイプで制作するかを選びます。
次に、ライブラリの中から取り入れたいテンプレートを見つけます。
そのテンプレートに独自の素材をアップロードするか、ライブラリ内にある写真やロゴ、音楽などを選んでカスタマイズしていきましょう。
CapCut
CapCutとは、TikTokなども手掛けているBytedanceによって提供されている動画編集アプリです。
基本的にはスマホでの使用となりますが、PC用の動画編集ソフトともあまり変わらない編集機能を有しています。
例えば、動画のカットやBGMの挿入、テキスト・スタンプ・ワイプの挿入、エフェクトやフィルターの追加などはもちろん、動画の分割や再生速度、フォーマットサイズ、色調の変更まで行えます。
また、AIを活用したノイズ除去なども行えるため、不要な音を自動的になくしたい時にも最適です。
ただし、CapCutで作成した動画は商用利用が認められていません。
また、CapCut内で使用できる楽曲は著作権フリーではないため、SNSで投稿する際には注意が必要です。
VivaVideo
VivaVideoは、スマホで動画編集を簡単に行えるアプリです。
素材のカット・トリミングからBGM・エフェクトの追加など、編集に関する基本的な機能は揃っています。
スマホで撮影した動画をすぐに編集できるため、リアルタイムで素早く動画投稿したい場合にも適しています。
VivaVideoは無料で動画編集ができるアプリで、素材も充実しています。
ただし、より多くの素材を活用したい場合には有料版を選ぶのがおすすめです。
有料版は月額280円から利用できます。
なお、BGMや効果音はVivaVideoの素材を使って挿入できますが、その場で録音した音声をBGMとして動画に取り入れられる「録音」機能も活用できます。
他にもボリューム調整や音声変換機能などもあります。
動画制作・映像制作ならGJCへ
動画制作に欠かせないBGMですが、フリーの音源素材は他の動画でも使われていてインパクトに欠けますし、使いたい音源があっても著作権の関係で投稿できない可能性があります。
こうした問題を解決したい場合、プロの動画制作・映像制作会社に依頼するのがおすすめです。
GJCでは4,000社以上もの映像制作実績があり、業界トップクラスの制作コスパを誇ります。
各媒体に適した動画制作が可能で、さらにプロのサウンドクリエーターによってオリジナル楽曲を制作することも可能です。
他にも、アニメーションや3DCG、VR動画など、様々な動画制作にも対応しているので、動画制作にお悩みの方はぜひGJCへお問い合わせください。
まとめ
魅力的な動画にするためにBGMや効果音は重要なものですが、自分が作った曲以外は著作権が絡んできます。
誰でも簡単にスマホやパソコンで動画制作ができる時代になったからこそ、改めて著作権に関する知識を持つことが大切です。
著作権の侵害にならないよう、動画にBGMをつける場合は著作権フリーのものを選びましょう。
また、商用利用の場合は用途として問題ないのか確認することも必要です。
ご紹介したサービスは個人・商用問わず利用できるので、BGM探しの際に役立ててください。
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