インターネットの利用が増え、様々な業界で動画広告の取り組みがみられます。動画マーケティングの手法の一つとして「インタラクティブ動画」が注目されていますが、どのような動画広告かご存じですか?
日本ではまだ馴染みがないインタラクティブ動画ですが、海外の大手企業で利用が増えており、様々な成果を上げていることから、日本でも少しずつ取り入れる企業が増えているようです。インタラクティブ動画とはどんな効果があるのか、事例や活用シーン、作成の流れと共にご紹介しましょう。
インタラクティブ動画とは?
もともと動画は「見る」ことに特化したコンテンツですが、インタラクティブ動画は仕掛けを動画の中に組み込むことで視聴数や視聴時間といったエンゲージメントを高める手法を指します。
そもそもインタラクティブとは対話や双方向の意味を持ち、画面を見つつ対話するように操作する形をインタラクティブ動画というのです。
例えば、最近はテレビを見ながらアンケートやクイズの回答ができますが、双方向のやり取りが可能なのでインタラクティブに分類されます。
動画もテレビと同じく一方通行なものですが、インタラクティブ動画は情報を配信すると同時に、情報や動画に対するアクションを選択肢、双方向のやり取りが可能です。
動画の場合、youtubeのTrueViewが良い見本でしょう。
動画が再生される前やその途中に無関係な動画が流れ、その動画内に外部サイトのリンクが組み込まれています。アクションとして文字をクリックすればリンク先に誘導される仕組みになっているのです。
視聴者がゲームに参加しているような動画
インタラクティブ動画は様々な種類が存在します。サイトに誘導して商品購入のアクションを喚起するタイプやストーリー性のある動画を流し、視聴者が選択してストーリーが変わっていくタイプ、視聴者と直接コンタクトが可能なコールトゥアクションなどがあります。
まるで参加型ゲームを体験しているような気分になるのがインタラクティブ動画の魅力と言えるでしょう。見るだけではなくアクションが起こせるので情報を得つつ、商品やサービスの価値や関心を共有しやすい動画広告なのです。
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インタラクティブ動画はどんなシーンで活用できるか?
様々な業種の企業でインタラクティブ動画が活用されていますが、活用すべきオススメのシーンはあるのか解説していきましょう。
教育や研修時に活用
企業は新人社員が入社をしたら教育をする必要がありますが、教育をするにも多くの時間とコストが必要になります。
企業によっては人員や仕事上の問題で新人教育に時間を割くことができない場合もあるでしょう。
ですが、インタラクティブ動画を活用して教育を進めていくことも可能なのです。
電話のかけ方や名刺の渡し方など、設問形式でストーリー性のある動画を作成することで、印象に残せる教育を進めていくことができます。
採用で活用
人材獲得などを目的としてインタラクティブ動画を活用している企業も多くあります。
例えば、バーチャルインタビューとして社内の誰と話をしたいかを選びます。質問内容を選択肢の中から選び、クリックをすることで回答してくれるのです。
就職希望先の企業にどんな人材がいるのかを知ることができるだけではなく、どういった環境で仕事ができるのかなど、把握することもできます。
インタラクティブ動画を活用することで、入社後のミスマッチも減少できるでしょう。
通販サイトで活用
オンラインショッピングサイトでも多くのサイトでインタラクティブ動画は活用され始めていますが、動画内のモデルの服をクリックすることで購入することができるサイトに移動したり、気になる服のサイズやカラー、素材など詳細を知ることができるページに移動したりするなど、仕掛けを付けることで購入意欲をアップさせることができます。
不動産業界で活用
不動産業界でもインタラクティブ動画は大いに活用できます。
物件を紹介する動画を制作することで、実際に物件に足を運ぶ必要なく賃貸や分譲住宅を見ることができるのです。物件の内覧画像を動画にし、トイレや浴室、収納など隅々まで紹介していきます。
遠方に住んでいて実際に内覧することができない人にとっては役立つ動画となっているでしょう。
また、分譲住宅であれば動画にストーリー性をもたらすことで、購入後の生活をイメージすることもできます。
インタラクティブ動画で得られるメリットとは?
動画内の仕掛けで双方向のやり取りが特徴的なインタラクティブ動画ですが、導入することで具体的にどのような効果がもたらされるのでしょうか?
期待できる効果は主に5つ、それぞれ詳しく見ていきましょう。
エンゲージメントを高めやすい
まず挙げられるのがエンゲージメントを高めやすいという点です。
動画の再生中にユーザーのアクションによってクリック率が上昇し、その結果に応じてたくさんの情報を深く提供できます。ユーザー的にも詳しい情報を得られることはメリットが大きく、動画の結末に期待感もあるので自然と視聴時間が延び、サービスに対する理解が高めることができます。
その結果、コンバージョンも目標に到達しやすいという効果が期待できるのです。
より印象に残りやすくなる
若年層を中心にスマートフォンで動画を見ながら、何か作業を行う「ながら見」の環境が増えています。
一方通行の動画はながら見の場合、集中して視聴することが難しいので、印象に残りにくい点が欠点です。
しかし、アクションを必要とするインタラクティブ動画は集中して視聴してもらいやすくなり、離脱率を下げられます。集中して見てもらえるのと同時にアクションを起こすことで、ただの情報ではなく記憶されやすい情報になるため、従来の動画広告より強い印象付けができる可能性があるのです。
プロモーション効果に期待できる
操作性があるインタラクティブ動画はユニークでオリジナリティ溢れる企画が行えます。
そのような動画はユーザーに面白さや驚きを与えることができ、SNSでの共有を増やすきっかけになるでしょう。
シェアが増えれば自動的に拡散されていくため、大々的な宣伝を行わなくても、コストを抑えて多くの人に認知してもらうことが可能です。
企画の提案がしやすくなる
仕掛けをプラスしたインタラクティブ動画は、動画プロモーションの企画の引き出しが増えると期待できます。
そうなれば、企画の提案がしやすくなるでしょう。
動画広告は一定予算範囲で制作しますが、お金をかけても一定の効果が得られなければ企画ムダになってしまいます。
インタラクティブは一方通行の動画よりもユーザーの満足度につながるので、低予算でも効率よくプロモーションできるメリットがあります。
成功には工夫が必要ですが、大きな予算をかけて失敗するよりもリスクを軽減できる手法と言えるでしょう。
アクションに応じた解析で動画改善の対策が可能
アクションの変化によりクリック率が増すため、インタラクティブ動画を活かした解析が可能です。
ツールによって解析内容が異なりますが、平均視聴時間やどこから視聴したのか、総アクション数、どこでアクションされやすいのか、離脱しやすい部分などを把握できます。解析結果に応じて対策をとれば、よりクオリティの高い動画広告を作成でき、成果につなげることができるでしょう。
インタラクティブ動画の作成の流れ
作成する目的を決めてターゲットを決める
インタラクティブ動画の効果を最大限発揮させるためには、途中離脱を防止することが大切です。途中離脱を防止するためには、訴求力の高い動画を作成する必要があります。訴求力の高い動画は、誰に何を伝えたいのかを明確にしなければ実現できません。
また、ターゲットによって動画の雰囲気、長さ、専門用語を使うか否かなど細かい部分を変えるとより伝わりやすい動画を作成できるという点も目的・ターゲットを明確にしておきたい理由の1つです。
動画の構成を考える
途中離脱には、動画の構成も大きく関わってきます。情報がバラバラに入ってくる、まとまりがない動画は、よく分からないといった印象を持たれてしまい、最後まで視聴してもらえません。特にインタラクティブ動画は、ストーリー分岐を取り入れることも多いため、構成をよく考える必要があるのです。
ここでしっかりと構成を考えておけば、次の工程である撮影・編集がスムーズに進むため、できるだけ時間をかけていきます。
動画の撮影を行う
動画の構成を考えたら、さっそく動画を作成していきます。実写の場合は動画の撮影から行います。
インタラクティブ動画は、通常の動画とは異なり、視聴者が動画内でアクションを起こす時間が必要です。その時間を確保することも意識しながら撮影に臨むことが求められます。
さらに、ストーリー分岐のある動画では、それぞれの選択肢に合うカットの撮影も欠かせません。視聴者の興味を惹くために、ドローンや360°動画を取り入れるのもおすすめです。
撮影した動画を編集する
通常の編集とインタラクティブ化のための編集が必要です。インタラクティブ化は、専用のツールを使って行います。難しそうに思えますが、素人でもインタラクティブ動画を作成できるツールやサービスがあるため、内製も可能です。
ただし、インタラクティブ動画制作の経験が乏しいと、離脱率の高い動画になってしまう可能性があるため、注意しましょう。インタラクティブ動画は、仕掛けやアクションのデザイン、量なども工夫しなければならないのです。
インタラクティブ動画の事例集
ユーザー参加型のインタラクティブ動画は、広告主の業種を選ばないので様々な企業で取り入れることができます。
日本でも近年インタラクティブ動画を取り入れる企業が増えてきましたが、海外では多くの企業がゲーム形式やストーリー形式のインタラクティブ動画を取り入れています。
そこで、様々な企業が配信しているインタラクティブ動画の事例をご紹介していきましょう。
Franc franc
「100 GIFTS Christmas Story」と題してゲーム感覚で楽しめる動画を作成したのが、家具や雑貨を取り扱っているショップのFranc francです。
クリスマスの時期に行われたキャンペーン動画で、部屋の中に100種類ものプレゼントが飾られているので、それを見つけ出してクリックしていくのです。
動画が終了したら、見つけ出したプレゼントを一覧で確認することができ、気になる商品の詳細を確認することも可能で、欲しい商品があればECサイトに移動して購入することもできます。
また、集めたプレゼントの中から3つの商品を選び誰かにプレゼントできるキャンペーンも同時に開催していました。
2分弱の動画ですが、全てのプレゼントを一度に見つけることは難しいので、何度も挑戦するユーザーも多くいたようです。
TOYOTA
日本の大手自動車メーカーもインタラクティブ動画を配信していました。
TOYOTAのWEBサイトTOYOTOWNにて配信されていた動画で、女優の真木よう子さんとドライブデートを体験できるストーリーとなっています。
首都高をTOYOTAのSAIに乗りドライブをしていくのですが、マウスをドラッグすることで車の中だけでなく外の景色まで360度見ることができるのです。ストーリーは、時間軸を変更することもでき、付き合って最初のドライブ・2年目のドライブ・4年目の最後のドライブと切り替えられ、それぞれ違った表情の彼女を間近で確認できるようになっています。
Hell Pizza
ニュージランドにある人気のピザチェーンショップもインタラクティブ動画を制作しました。
ストーリー形式の動画で引き込まれる内容となっており、選択した内容によってストーリーが変わっていくのです。
ゾンビが徘徊している街で襲われずに女性にピザを届ける内容で、終盤の選択股によって展開が変わり、選択を間違えてしまうとバッドエンドとなるので、ストーリー形式とゲーム形式の両方を兼ね備えた動画です。
引用元:HellPizzaNZ様
大塚製薬
医薬品や食料品の製造・販売をしている日本企業の大塚製薬では、ドラマ仕立ての動画を制作しました。
サプリメントの動画広告で、ロサンゼルスに住んでいる女性4人の性格や趣味、環境を紹介したあとに4人の中の1人を選択して動画の続きを観ることができます。
サプリメントで健康や美容を保っている彼女たちの生活を追体験し、動画終了時にはサプリメントの診断サイトへ足を運ぶこともでき、ユーザーは自分に合った商品を知ることができます。
転職サイト @type
大手転職サイトの@typeでは、「サラリーマン山田健太郎の選択」というストーリー性のある動画を制作しました。
アノテーション機能は使用しない動画で、WEBサイトのボタンをクリックすることでサラリーマンが受けた面接の結果が変わるのです。
面接で行われる質問の模範解答を学ぶこともできるので、転職者にとっても有効的な動画となっています。
引用元:@type・女の転職@type様
ASOS
オンラインショッピングサイトのASOSでは、「 COLOUR CONTROL ft. JUCE! 」と題したプロモーション動画を制作しました。
画面上部にあるボタンをクリックすると服や背景の色を変更することができ、 ASOSで取り扱っているファンションを動くカタログとして見ることができるのです。
インタラクティブ動画を上手く活用する方法
インタラクティブ動画の効果を引き出すためには、活用方法を理解することが大切です。
視聴ターゲットを絞り込む
ユーザーのエンゲージメントを獲得することが成功ポイントなので、効果的にアプローチするためにはユーザーのターゲットを絞りこむことが大切です。
年齢や性別、趣味、価値観、地域など分析してユーザーの領域を絞り込んでいきましょう。
明確なストーリーにする
冒頭からユーザーを視聴に引き込むストーリーにすることで、離脱を押さえエンゲージメントしやすくなります。
特にストーリー性を重視した動画の場合は、最初の15秒が離脱を分けます。
音楽を上手く使うとストーリーの結末にユーザーも満足し、共有されれば動画は拡散され、大きな反響につながりやすくなるでしょう。
アクションをシンプルにする
難しいアクションはウケが悪いので、クリックで簡単にアクションできるものが良いでしょう。
他にも動画コメントや吹き出しの挿入などシンプルで分かりやすく、良いアイデアです。
動画制作でお困りのことはありませんか?
まとめ
インタラクティブ動画は企業商品のアピールを目的とする他、採用や教育などの現場でも使用されている汎用性の高い動画です。インタラクティブ動画に期待できる効果や作成の流れ、活用方法などをおさえておくだけでなく、成功事例なども参考にしながら作成するのがおすすめです。ぜひ今回ご紹介したポイントを参考にして、自社に合ったインタラクティブ動画を作成してみてください。