尺の短い動画で視聴者に大きな印象を残すためには、映像の中身だけではなく音楽や効果音も重要となります。
だからと言って、何も考えずに音楽を入れても印象付けの効果は発揮されません。
聞いただけで何を紹介したものなのか、どんな動画なのか印象付けるためには、サウンドロゴが重要です。
今回はサウンドロゴとは何か、印象に残すための特徴や制作で心掛けることをご紹介していきます。
商品やサービス、企業のサウンドロゴを制作したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
サウンドロゴとは?
動画や音声メディアには「サウンドロゴ
や「ジングル
という用語が出てきます。
どちらも短い音源ですが、実はわずかに違いがあります。
まずはサウンドロゴが何なのか、ジングルとの違いについてご紹介しましょう。
サウンドロゴについて
主に企業名や商品、ブランドなどをアピールする際に使われる音源で、一定の形で再生されています。宣伝効果を高めるために使われることが多く、社名や商品名を歌詞にしているケースが多いです。
ただし、音を聴いただけで企業や商品を特定できるほどの印象が広まっていれば、歌詞に社名などが入っていなくても立派なサウンドロゴになります。
サウンドロゴは企業や商品などを歌詞に入れて宣伝するケースが多いため、動画やCMの冒頭または終わりに導入されています。
音と一緒に流すので、上手く印象を残せられれば名前を覚えてもらいやすくなるでしょう。
ジングルについて
ジングルは主にシーンの切り替えなどを知らせるために使われる音源です。
アイキャッチに使われることが多く、楽曲の立ち位置が強いのでサウンドロゴのような宣伝的な効果は薄いです。
用いる動画も様々ですが、例えばプレゼンテーション用の動画に活用できます。話題を替える際に音を付けることで、見ている人は話題が変わったと認識しやすくなるのです。
サウンドロゴは商標登録が可能
サウンドロゴの使用にも権利性が発生しますが、そこで絡んでくるものが著作権や商標権です。
今まで、音はブランドの一部という概念の認識が薄く、音や音楽の商法登録による保護は難しいとされ対象外でした。
そのため、サウンドロゴの権利権では度々問題が起き、国ごとによって対処法も違ってきました。
音の商標権に関する問題を受け、現在は聴覚で認知される商標に対しては「音商標」
として商標登録が可能となっています。
1946年にアメリカでは色彩と合わせて音の商標登録ができるようになり、次第にイギリスやドイツ、フランスなど各地に広まりました。
そして、日本でも2015年4月に商標法の改正が施工され、音商標登録が可能となっています。
ただ、商標登録ができるようになったからと、権利性を巡る問題がなくなったわけではありません。
過去にはサウンドロゴの作曲家が著作物と主張して裁判が起きたこともあるので、制作を外部に委託する際はトラブルを回避するためにも厳密な契約を行う必要があるでしょう。
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耳に残るサウンドロゴの例
サウンドロゴは誰もが知る企業やサービスの宣伝でも用いられています。
具体的にどのように使われているのか、事例を3つご紹介しましょう。
「はじめてのアコム」
大手消費者金融のアコムのCMでは末尾にリズミカルなテンポの曲に合わせて、「はじめてのアコム」というフレーズが使われています。
フレーズは2000年から使われており、日本では浸透が浅かった個人向けローンの利用者を増やすためにサウンドロゴが作られました。
消費者金融というと手が出しづらい印象がありますが、軽快なメロディはポジティブな印象を与えてくれます。
また、リズム感があるメロディなので、耳に残りやすいのです。
アコムのサウンドロゴは2005年で一度消えますが、それでも「はじめてのアコム」というフレーズは現在も使われており、定番のキャッチコピーとして浸透しています。
なお、アコムのサウンドロゴは鈴木崇さんが制作しており、2001年にはアコムのサウンドロゴをリメイクした「はじめての鈴木くん」という恋愛ソングがリリースされています。
「くらし安心、クラシアン」
クラシアンは水周りのメンテナンスサービスを手掛けている会社です。
CMでは出演者が歌いながらサービスを紹介しており、末尾に「くらし安心、クラシアン」とサウンドロゴを入れています。
ホームページなどでもフレーズを記載しており、クラシアンの定番キャッチコピーとなっています。
クラシアンの場合、社名以外にも電話番号もメロディに乗せて紹介しています。
なかなか覚えてもらいにくい電話番号でも、音に合わせれば社名と合わせて覚えやすくさせることが可能です。
また、歌いながらサービスを紹介する演出も記憶に残りやすく、メロディ自体も明るく親しみを感じる曲なので全体的に頭に残りやすいCMとなっています。
「ビックカメラ」
大手家電量販店のビックカメラでは、店舗名を独特なテンポで歌っています。
例に挙げたアコムやクラシアンと比べるとサウンドロゴのテイストが異なりますが、インパクトの大きいものとなっています。
実はビックカメラのサウンドロゴにも原曲が存在します。
創業者である新井隆二氏が作詞しており、メロディは賛美歌の「まもなくかなたの(新聖書475番)」を原曲としているそうです。
「ミラクルショッピング~ドン・キホーテのテーマ~」
大型の総合ディスカウントストアでもあるドン・キホーテでは、店内で軽快なリズムに合わせてドン・キホーテの名前も使われた曲が流れています。
ドン・キホーテの曲として認識している方は多いかと思いますが、正式名称はミラクルショッピング~ドン・キホーテのテーマ~です。
この曲のすごいところは、多くの方が口ずさみたくなるようなサウンドロゴでありながら、実は以前ドン・キホーテで幹部役員を務めていた方が制作した楽曲ということです。
ドン・キホーテに入社する前は元々ミュージシャンとして活躍しており、ドン・キホーテの創業者から直々にテーマソング制作の依頼を受けたと言います。
今では社員が作った曲は多くの方が口ずさめるサウンドロゴとして残っています。
印象的なサウンドロゴの特徴
実際にサウンドロゴを活用している企業は多いので、特定の音声や効果音などを聞いて耳にしたことがあるという方もいるでしょう。
耳に残りやすいサウンドロゴにするには、まず印象的なサウンドロゴにはどのような特徴があるかを理解しておかなければなりません。
具体的に、印象に残るサウンドロゴの特徴を見ていきましょう。
モチーフを繰り返す
モチーフは、メロディや背景音、音声などの2つ以上の音が集まるものを指しています。
動揺の「ぞうさん」や「チューリップ」の歌い出しは、同じメロディを繰り返すことで誰でもすぐに歌えるような工夫がされています。
同じように、商品名の繰り返しで分かりやすいフレーズのオリジナルソングを作っているケースも多いです。
短いメロディに商品名やモチーフとなるような単語を入れ、繰り返すことによって、自然と頭に残るようになるのです。
例えば、キリンレモンや消臭力は、メロディに合わせて商品名が何度も登場します。
キリンレモンのサウンドロゴは、「キリンレモン、キリンレモン」というように、商品名の繰り返しから始まっています。
短いメロディに合わせてモチーフを決めて繰り返すことによって、耳に残りやすいです。
商品の特徴を盛り込む
例えば、弱酸性ビオレやモンダミンなどのサウンドロゴは、「油汚れにジョイ」「お口くちゅくちゅモンダミン」といったように、商品名だけでなくその商品の特徴も短く盛り込んでいます。
サウンドロゴを活用する際には、新商品や新サービスを紹介する動画制作や映像制作を考えている場合が多いでしょう。
そこで商品やサービスがどのようなものなのか分かりやすく表現すれば、特徴も覚えてもらうことができます。
メロディを入れない
AC・日立などは、CMの最後に企業名のサウンドロゴを取り入れています。
女性や子どもの声などで特徴的なイントネーションで企業名を読み上げているケースでは、背景音だけでメロディは入れていません。
あえてメロディを入れずに企業名を印象付けているのです。
企業名や商品名を入れるなら短く
企業名や商品名を入れているパターンは非常に多いです。
しかし、上記で紹介したサウンドロゴはどれも短いメロディや背景音に盛り込んでいるという特徴があります。
たくさんの情報を入れようとして長くなってしまうよりも、短いサウンドロゴの方が耳に残りやすくなります。
中には、企業名も商品名も読み上げせず、映像だけで表現しているところもあります。
映像だけで企業名も商品名も分かってしまうような場合もあるので、メロディや背景音も使わずに音だけで制作できるでしょう。
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サウンドロゴ制作で心掛けること
サウンドロゴの歴史は長く、企業や商品・サービスのイメージが印象に残りやすいことからも注目されるマーケティングとなっています。
では、企業がサウンドロゴ制作をする際に心掛けたいポイントはどのようなことでしょうか?
コンセプトを決める
コンセプトの決定は、サウンドロゴ制作だけでなく、動画をマーケティング戦略として取り入れる場合に必要不可欠です。
子どもの可愛らしい声で商品名・サービス名を読み上げてもらったり、映像の動きやメロディを組み合わせたりと、コンセプトを明確にしておきましょう。
制作途中の段階で、コンセプトから逸れていないか確認するためにも重要なポイントとなります。
コンセプトが決まっていれば、サウンドロゴに合わせた映像を考えることもできるので、順序良く制作できるでしょう。
テンポと音を合わせる
例えば、テンポが速い曲は行動もリズミカルに進む印象があり、テンポが遅い曲は動きもゆっくり進む印象を持つでしょう。
サウンドロゴをマーケティングとして活用するなら、動画・映像で流したい内容と曲のテンポがマッチしているかをよく確認しなければなりません。
音は動作のスピードにも影響を与えやすいので、紹介したい商品やサービスに合わせて制作することが大切です。
流れる音に注意する
サウンドロゴは、制作した段階で雑音が入っていないか確認する必要があります。
雑音と言っても、「ザーザー」といったような音ではなく、ここでは単調に音は流れていないか、間違った音を選んでいないかを考えるのです。
サウンドロゴは、商品・サービスや企業の認知度を上げるために制作するものなので、盛り込みたい内容に音が合っていなければ、視聴者にとっては不快に思う方もいるのです。
制作段階で雑音が流れていないかよく確認して、不要な音や不快な音が入らないように注意しましょう。
行き詰まったら方向性を変えてみる
制作段階で行き詰まってしまったら、今一度目的やコンセプトを見直してみることも方法の1つです。
そもそもサウンドロゴを活用するのは、商品やサービスの利用シーンやイメージに付加価値を与えるためになります。
あくまでもブランディングに良い効果をプラスすることが目的なので、メロディや背景音が映像の邪魔をしてしまわないよう心掛けましょう。
音楽のジャンルやアレンジなどは、少し変化を与えるだけで影響も大きくなります。
利用シーンやイメージに合っていないなら、目的やコンセプトを再確認したり、場合によっては方向性を変えてみたりすることも大切です。
制作会社に依頼する
商品やサービス紹介のためにサウンドロゴを活用したくても、専門知識や具体的な方法がわかっていければ、制作が困難な場合もあります。
そんな時は、制作会社にサウンドロゴ制作を依頼してみると良いでしょう。
目的やコンセプトが決まっていれば、それにマッチするサウンドロゴを制作してくれます。
曲のテンポと動作、雑音などのポイントを踏まえて制作してくれるので、イメージや方向性が間違っていないかを確認するだけで済みます。
全てお任せすることもできるため、制作会社に依頼してオリジナルソングを作ってもらった方がクオリティの高いサウンドロゴに仕上がるでしょう。
今回は、歴史のあるサウンドロゴやジングルとの違い、印象に残りやすいサウンドロゴを制作するポイントなどについてご紹介してきました。
CMで馴染みのある曲や音などは全て、サウンドロゴとして活用されたものです。
サウンドロゴは、企業のマーケティングやブランディング等で有効であり、ポイントを踏まえればオリジナルソングや耳に残るものを制作することも可能です。
オリジナルのサウンドロゴを制作して、商品・サービス訴求につなげてみてはいかがでしょうか?