「動画を使って自社のサービスや商品をアピールしたい」「話題のfacebookやyoutubeの動画広告を使ってみたい」等、最近では動画広告の認知が高まり、様々な企業で動画マーケティングが行われてきています。
テレビCMでは、もちろん従来より動画が広告として使われてきたものの、昨今流行を見せている動画広告は、掲載するプラットフォームが異なり、テレビではなくfacebookなどのSNSやyoutubeなどの動画サイトに掲載をするものとなっています。
マーケティング用の動画を「どこに載せるか?」というのも大変重要ですが、一方で「どのような動画を作るのか?」というのは、これまで動画マーケティングを行ってこなかった企業にとってはなかなか決めるのが難しいものです。
そこで今回は、動画マーケティングを行う際に、よく使われる動画の種類とその手法をご紹介させていただきましょう。
まず、動画マーケティングに使われる動画の種類として、大きく分けて「実写」か「アニメーション」かという分け方があります。
まずはそれぞれの手法についてご紹介していきましょう。
動画の種類と特徴
動画の種類は大きく分けて「実写」と「アニメーション」、さらにそれらを組み合わせた「実写+アニメーション」があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
動画の種類 | 特徴 |
実写動画 | 実際の人物や商品の映像を用いて作られる動画。 信ぴょう性・信頼性を重視する動画に向いている。 |
アニメーション動画 | 実写では再現するのが難しい表現がしたい時に用いられる。 サービスの紹介動画や企業理念・コンセプトを伝えるイメージ動画などに活用されることが多い。 |
実写+アニメーション | 実写とアニメーションの両方を組み合わせた動画。 自由に表現できるのが魅力。 商品の紹介動画やブランディング動画など、幅広い用途で活用できる。 |
動画の種類ごとのメリット・デメリット
「実写」「アニメーション」「実写+アニメーション」は、それぞれ特徴が異なるように、メリット・デメリットにも違いがあります。なお、それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | おすすめのジャンル | |
実写 | ・リアルな状況を伝えられる ・実際の映像なので、信頼性が高い | ・キャストやスタジオの用意など撮影に手間がかかる。 ・制作コストが高い | ・企業や学校などの紹介動画 ・採用動画 |
アニメーション | ・比較的低コストで制作できる ・表現の幅が広く、実写ではできない表現も可能 | ・高クオリティを求めるとコストがかかる ・実情を紹介するのには不向き | ・無形サービスの紹介動画 ・企業のブランディング動画 |
実写+アニメーション | ・実写とアニメーションのそれぞれ良い部分を活かした動画を作ることができる | ・実写とアニメーションに比べてコストがかかる | ・商品やサービスの紹介動画 ・企業のブランディング動画 |
実写動画に適したジャンル
実写によるマーケティング動画・映像
実写とは文字通り、現実の人物や風景を利用した映像になります。実写動画のメリットとしては、東京在住者に向けて作る動画であれば、ユーザの見慣れた街の風景を使うことで、共感を呼びやすいという点が上げられます。
もちろん、動画内で使用する役者の年齢層やファッションをターゲットユーザに近いものにすることで、共感度を向上させることにもつながるでしょう。
①インタビュー動画
企業や商品、サービスの認知度向上や、消費者へ機能以外のメッセージを伝えるための方法として有効なのが、インタビュー動画です。
例えば、企業の採用サイト等では、実際にその企業で働く社員へのインタビュー動画を掲載することで、テキストだけでは伝えることのできない企業の社員の生の声や雰囲気を伝えることができます。
実際にどのような現場で、どのような人が働いているのか、どのような思いを持って働いているのか、自分がその企業に合うのかといったことを、視聴者に疑似体験
させることができます。
また、商品やサービスの開発者へのインタビュー動画を掲載すれば、その商品やサービスの機能面だけではなく、どのような思いでその商品やサービスを開発したのかといった面をアピールすることができます。企業や商品に対する愛着を深める効果があると言えます。
②イメージ広告動画・ブランド広告動画
テレビCMなどでもよくあるように、商品やサービスの機能、価格をアピールするのではなく、視聴者の感情や感覚に訴えかける表現で、その企業のブランディング向上、ブランド・商品のイメージアップを狙うための動画です。
その動画を見たことによって、直接すぐに商品やサービスの勾配に繋げることを目的とするのではなく、特定のキーワードでの第一想起を狙ったり、企業やブランドとユーザの関係性を深めることを目的とした動画です。
③ドキュメンタリー動画
できるだけ広告色を排し、商品やサービスを使って、実際に起こったことをあまり編集せずに、「リアル」に伝えるためには、実写のドキュメンタリー動画という手法が向いています。
ごてごてと装飾されたいかにも「広告的」な動画よりも、本当の良さが伝わり、視聴者から好感を得られる場合があります。
④ドラマ動画
一方で、完全に架空のストーリーを作り、ドラマ仕立てで商品やサービスを紹介する手法も当然あります。
ストーリー構成とキャスティングを練り、ターゲットとなるユーザの心を震わせるような動画を制作することで、ストーリーの中に含まれる商品やサービスの良さを伝えます。
⑤ハウツー動画・マニュアル動画
実際に人を使って、商品やサービスの使い方、活用方法を紹介する動画です。このジャンルの動画は、どちらかと言うと、商品やサービスへの不安を取り除き、購入へのあとひと押しをするという意味合いが強いでしょう。
長文のテキストによる説明よりも、動画で実際に商品やサービスを使って伝えるほうがユーザにとって手軽でわかりやすい場合が多いため、有効な手段であると言えるでしょう。
アニメーション動画に適したジャンル
CG(コンピュータグラフィックス)やアニメーションを用いた動画のメリットとしては、表現の豊富さがあげられるでしょう。
世界中を飛び回ったり、多くの登場人物を登場させたりなど、実写では予算上難しいような表現ももちろん可能になります。
また、アニメーション動画には、極端なキャラクターデザインや演出を排せば、誰にでも受け入れられる親しみやすさもあります。
コスト面や表現の自由さという面で、有効な手段と言えるでしょう。
①キャラクターアニメーション動画
アニメーションを用いた動画として、人気が高いのがキャラクターを使ったアニメーション動画です。
サービスの利用シーンや、ユーザが日常生活で抱えている課題を、動かすキャラクターに体験させ、サービスや商品を利用することでそれらの課題が解決され、より良い生活・人生を送ることができるようになるといったストーリー仕立ての表現が人気です。
②モーショングラフィックス動画
いわゆる「アニメ番組」のように、全てをアニメーションによって動かすのではなく、写真やテクスチャ、ロゴや文字等の素材を組み合わせて動かす方法です。
こちらは、パワーポイントでのプレゼンテーションのように、数値やグラフを効果的に見せたり、複雑な説明をわかりやすく伝えることができるという特徴があります。
また、他のアニメーション動画の手法に比べて、製作工数を抑えることができるため、低コストでの作成が可能です。toB向けのツールや、ウェブサービスの紹介動画としてよく見られるマーケティング動画の手法になります。
いわゆる固い商品やサービスほど、こうしたアニメーションを用いた動画を使うことで、ユーザや視聴者への心理的ハードルを下げ、これまでアクションを起こしてこなかったユーザの問い合わせや購買を促進させる働きがあります。
③手書き風アニメーション動画
手書き風の線、配色によって作られたアニメーションは、どこか温かみを感じさせるものとなり、他とは一線を画した表現が可能になります。
キャラクターアニメーションと同様に、ストーリー仕立てでの表現が多く見られます。一方で、しっかりとターゲットに狙いを定め、表現にこだわった動画制作を進めないと、ターゲットユーザに刺さらない動画になってしまう場合もあるため、注意が必要です。
実写動画とアニメーション動画を組み合わせる手法
これまでご紹介してきた実写動画とアニメーション動画の手法ですが、もちろんこれらは組み合わせることも可能です。
途中まで実写動画で、ある場面からアニメーションに切り替わったり、背景に実写動画があり、ところどころ画面上にアニメーションによる補足の説明が入る、といった動画表現もあります。
ただし、中途半端に実写とアニメを組み合わせると、その動画の世界観がぶれてしまう場合もあるため、動画の構成を考える時点で、しっかりと取りうる表現を列挙し、取捨選択しておくことが大切です。
実写動画の事例紹介
インタビュー動画の事例紹介
インタビュー動画は実在する人物の声を使って伝えられるため、高い説得力があるのが特徴です。また、生の声を伝えることは、共感を呼ぶことにもつながります。
會澤高圧コンクリート様の動画では、ドローン開発中のドラマをドキュメンタリー風に伝えることで説得力が増し、多くの人の興味をそそる内容となっています。
イメージ広告動画・ブランド広告動画の事例紹介
イメージ広告動画は、企業や商品・サービスのイメージを視覚化しわかりやすく伝えることのできる動画です。言葉だけでは伝わりにくいものもビジュアルで共有することで、世界観をわかりやすく伝えることが可能です。
株式会社AIRDO様の動画では、従事するスタッフ様の仕事シーンを美しいBGMに乗せて見せることで、熱い想いをもって業務に臨んでいることをわかりやすく伝えています。
ドキュメンタリー動画の事例紹介
ドキュメンタリー動画は、リアリティを追求した動画です。広告的な動画とは違い、脚色していないリアルを映すことで、好感度を上げることが可能です。
鮨屋小野様の動画では、高級寿司店ということもあり、妥協を許さない食へのこだわりや熱い想いが伝わるよう、下手な演出をしないドキュメンタリー風の構成で制作しています。仕事に真摯に向き合うリアルな姿を映すことで、お店や職人の魅力を伝えています。
ドラマ動画の事例紹介
ドラマ動画は、架空のストーリーを作ることで、心に訴えかけるような表現ができる動画です。
伊藤忠エネクス様の動画では、営業スタッフと顧客の会話シーンを再現ドラマのように演出することで、動画の目的をわかりやすくターゲットに伝えられる内容になっています。
ハウツー動画・マニュアル動画の事例紹介
ハウツー・マニュアル動画は、説明書や資料を見ただけではわかりにくい商品やサービスの使い方を説明する動画です。消費者に対し、使い方を説明できるだけでなく、購入後の姿を想像してもらうことができるため、購買意欲を高めることが可能です。
こちらの動画では、靴の正しい手入れ方法をわかりやすく伝えています。実際に目で見ることができるため、どのようにやればいいのか迷う心配がありません。
アニメーション動画の事例紹介
アニメーション動画について詳しく知りたい方は、下記のページもぜひチェックしてみてください。
関連リンク
キャラクターアニメーション動画の事例紹介
キャラクターアニメーション動画は、現実では難しい表現も可能にできる動画です。魅力的なキャラクターを制作すれば、より視聴者に興味を持ってもらうこともできるほか、実写映像に比べて比較的コストを抑えられる点がメリットです。
株式会社エクサブレイン様の動画では、アニメーションを活用することで、サービスの優位性やメリットをわかりやすく伝えることに成功しています。
モーショングラフィックス動画の事例紹介
モーショングラフィックス動画は、イラストや画像、テロップに動きや音といった要素を追加して作られる動画です。動きを付けることで、数値やグラフ、複雑な説明をわかりやすく伝えることが可能です。
株式会社サルース様の動画ではサービス内容やメリットを、イラストを使ってわかりやすく解説しています。あえてリアルな表現を避けることで、シンプルで受け入れやすい動画に仕上がっています。
手書き風アニメーション動画の事例紹介
手書き風アニメーション動画は、手書き調のイラストを使った表現方法を取り入れた動画です。楽しそうな雰囲気を出し、わかりやすく内容を訴求することが可能です。
YKK AP株式会社様の動画では、網戸の選び方や使い方を手書き風のイラストやフォント、アニメーションを使って、わかりやすく説明しています。学校のノートに板書していくような流れにすることで、親しみやすさを演出しています。
動画をマーケティングに取り入れる方法
動画広告の種類やメリットをより詳しく知りたい方は、下記のリンク先をチェックしてください。
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広告
動画をマーケティングに取り入れたいなら、広告出稿するのも1つの方法です。広告は不特定多数の人が見るため、売上アップや認知度向上が期待できます。とはいえ、いくら不特定多数といっても広告の出す媒体によって、利用する層は異なります。
そのため、広告へ出稿するなら、商材に合ったユーザー層のいる媒体やコンテンツ、を選ぶことが重要になります。また、広告動画を最後まで見てほしいなら、ストーリー性など内容にこだわるなど、工夫することも必要です。
WEBサイト
映像を使ったマーケティングとして、WEBサイトを活用する方法もあります。WEBサイトに掲載すれば、サイトへ訪れたユーザーに自動的にアピールできるからです。サイトに訪れるユーザーは、そもそも企業に興味を持っているのが前提にあります。
そのため、新商品や新サービスの紹介よりも、採用動画の方が高い効果を得られやすいでしょう。既に興味を持っている人に効果的にアプローチできれば、問い合わせや成約率アップにつながります。
SNS
SNSの活用も効果的なマーケティング手法の1つです。SNSでは多くの注目を集める「バズる」という言葉があるように、動画の内容によっては拡散され、高い宣伝効果を得られる可能性があります。
そのため、最近ではYouTubeやTikTokなどの各種SNSを利用し、動画を配信する企業も増えています。今や情報ツールの1つとして利用している人が多いからこそ、どう活用するかが今後のマーケティングにおけるポイントとなるでしょう。
動画制作する場合の仕事のジャンル
制作担当
映画や動画の制作スタッフには、様々な種類があります。以下では、制作スタッフの種類や仕事内容について紹介します。
制作担当の種類 | 仕事内容 |
プロデューサー | 映像制作の総責任者。企画や予算管理からスポンサーの手配など、すべての決定権を持つ。 |
総合演出 | 演出の総責任者。撮影・編集した作品を確認し、修正の指示や最終的な判断をする。 |
ディレクター | 制作が円滑に進むよう、現場を統括する役割。スタッフのまとめ役。 |
アシスタントディレクター(AD) | 撮影やディレクターの業務が円滑に進むようサポートする役割。 |
構成担当
構成担当は、放送作家とも呼ばれ、映像の企画や構成から台本の作成まで担当しています。視聴者の印象に残るような動画を制作するには、制作スタッフの意向を汲んだ上で、キャストや映像を活かす構成や企画を考えることが求められます。
どんなに映像が素晴らしくても、構成や台本が良くなければ動画の魅力は半減するため、映像制作における構成担当の役割は非常に重要です。
技術担当
主な技術担当に分類される仕事は以下のとおりです。
技術担当の種類 | 仕事内容 |
カメラマン | 撮影を担当。アングルや動きなど最適な撮り方を提案する。 |
カメラアシスタント | カメラマンのサポートをするのが主な役割。機材運搬やケーブル管理などを手掛ける。 |
音声 | 撮影時に音を収録する。現場に合わせて音の調整も行う。 |
スイッチャー | 複数のカメラを使って撮影している場合に、場面ごとに適切な映像に切り替える。 |
照明 | 映像や現場に合わせて光を調整したり、光による演出を担当したりする。 |
タイムキーパー | 撮影時間の管理・チェックを担う役割。ADが兼ねている場合もある。 |
特殊効果 | 現場で紙吹雪やスモークなどの演出が欲しい時に活躍。 |
編集担当 | 撮影した映像素材を使って編集作業を行う。 |
CGスタッフ | 動画に使用するロゴやCGを制作。 |
美術担当
動画制作において、美術担当も重要な役割を果たしています。
美術担当の種類 | 仕事内容 |
デザイナー | 動画内での様々なデザインを担当。 |
衣装スタッフ | 演出に合わせて最適な衣装を用意。 |
小道具 | 撮影に使用する小道具を選定・制作。 |
大道具 | 美術セットの制作や設置、撤収を行う。 |
まとめ:マーケティング動画制作の種類・ジャンル
今回は、動画制作のジャンルをはじめ、事例や仕事内容などを詳しく解説しました。動画制作には様々な種類があり、1つの動画を作り上げるために、多くのスタッフが関わっています。
動画は自分で作ることもできますが、マーケティングの目的を達成したいならノウハウと実績のある制作会社に依頼することをおすすめします。目的に合わせて適切な種類・手法の動画を選択することで、より高いマーケティング効果が得られるでしょう。
動画の種類や制作ポイントをもっと詳しく知りたい方は、ぜひ下記リンク先の記事もチェックしてください。
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