皆さんは「タイムラプス動画」というのをご存知でしょうか?数年前から話題になっている動画で、最近ではスマートフォンからでも手軽に撮れると注目されています。
ただ風景を撮っているだけなのにクオリティの高い動画に仕上がるタイムラプス動画は、より一層うまく撮影するためにどんな点に注意すれば良いのでしょうか?
今回はタイムラプス動画の特徴と作成方法、さらにおすすめシーンと動画事例をご紹介していきます。
タイムラプス動画・映像とは?
そもそもタイムラプス動画とはどんなものなのか、ご紹介していきます。
タイムラプス(Time lapse)は、「時間の経過」という意味を持っていて、主に同じ場所から撮影している動画を指します。
ただ、ずっとただ単にその風景を撮影した動画というわけではありません。
例えば、道路の様子を3時間ほど撮影し続け、視聴する時に10分で見せられるよう早回しにしたものがタイムラプス動画となります。
別の呼び方でインターバル動画、微速度撮影と呼ばれることもあるようです。
タイムラプス動画の特徴は、間隔を空けて静止画を撮影し、その静止画をつないでコマ送りに作っているという点が特徴的です。通常の映像であれば録画中はずっと流れるように撮影されていますが、間隔が少し空くことによって通常の動画とは異なる質感を出せます。
そのため、タイムラプス動画を撮影する場合は、タイムラプス動画が撮影できるモードで行う必要があります。
ただ、タイムラプス動画が撮影できるモードがなくても撮影することは可能です。
撮影間隔を設定し、それに合わせて同じ位置から撮影し、後で動画編集アプリやソフトを使って時間通りにつなぎ合わせればタイムラプス動画はでき上がります。
この方法はどうしても大変になってしまうので、できればタイムラプス用の機能を使った方が良いでしょう。
タイムラプス動画を撮影するメリット
静止画を繋げて動画にするのがタイムラプスの良さですが、この撮影方法で得られるメリットについてご紹介します。
最後まで見てもらいやすい
リアルタイムだと長時間に及んでしまう映像も、タイムラプスを使うことで
飽きることなく最後まで見続けてもらいやすいです。
スマホでは、動画のデバイスなどがデバイスのストレージを圧迫させてしまいますが、タイプラプスであれば問題ないでしょう。
また、タイムラプスは動画編集の時間をかけることなく、そのままでも立派なコンテンツとして成立するのがメリットです。
データ量が軽く高画質にしやすい
長時間録画したものを、短時間に収めることができたら編集作業は最小限になってきます。
例えば、空の雲の動きや天気の移り変わりなどを撮影した場合、長時間撮影した動画をそのままにすれば、膨大な動画の再生となるでしょう。
しかし、タイムラプスであれば不要な部分を簡単にカットでき、動画を短時間にまとめやすいです。
元のデータ量も少なくなるため、1枚ごとの画質も大きなデータ量になることがないので高画質にしやすくなります。
時間経過を表現できる
ドラマなどでは、よく見かけるシーンの切り替え時にもタイムラプス動画が用いられています。
タイムラプスの使用によって、視聴者は直感的に「あれから1週間経過したのか」「翌日になったのか」と時間の流れを直感的に感じやすいです。
ドラマなどでもよく見かける手法ですが、時間の経過を表現する際に向いているのがメリットでしょう。
非日常を演出できる
タイムラプスの良さは「非日常的な映像を撮影できる」という点です。
例えば、青空に白い雲が流れていく動きや新しい草木の芽が生えていく様子、花のつぼみがパッと咲く瞬間などもタイムラプスならではの良さを感じることができます。
普段その瞬間を目にする機会は少なく、簡単にこれらが映像として見られると日常感があるだけでなく、特別な演出さえも感じられるでしょう。
タイムラプスでの演出は、様々なテレビCMや企業のムービーなどでも登場しています。
タイムラプス動画・映像のおすすめシーンと動画の例
そもそも、タイムラプス動画はどのようなシーンを撮影するのが適しているのでしょうか?
実際にタイムラプス動画が活用されているのは、特定の場所において人が行き交う流れや製品のメイキングなどが多いです。
人の流れ
交差点でどれだけの人が行き交っているのか、また交通量がどれほどなのかを把握できます。
ある特別なスポットにおいて、人がどれだけ集まっているのかも撮影できます。
メイキング
製品の製造工程やメイキングは、初めて動画を視聴した人にとっても分かりやすく見せられます。
例えば、1日以上かけて完成する製品であっても、タイムラプス動画であれば1分程度の動画に収められるのです。
特にメイキングとして使う場合、企業の製品に対するこだわりや強みをアピールできるでしょう。
自然の美しさ
タイムラプス動画では、移り変わる自然の美しさを撮影する例もあります。
夜空を撮影しながら、短時間で星の流れを観察する動画も作成可能です。
また、日の出から日没までのシーンであれば、昼と夜の境界線をドラマチックに撮影できます。
タイムラプス動画は、視聴者に短時間で分かりやすく見せるために最適なので、企業でも多く活用されています。
では、実際にタイムラプス動画を撮影した例もご紹介しましょう。
LEGO
子どもから大人まで、幅広い世代に親しまれているLEGOでもタイムラプス動画を撮影しています。
LEGOではオーストラリアで巨大クリスマスツリーを制作していますが、制作から設置までをタイムラプス動画として公開しています。細部まで人の手で組み立てられているシーンは、見応えがありLEGOならではの動画です。
Moleskine
Moleskineはイタリアの有名文房具ブランドです。
動画は、昔から親しまれている伝統的なペンの製造過程を撮影したもので、デザイナーのスケッチ・組み立て・手元の届くまでのプロセスが視聴できます。長い時間をかけて1本のペンが完成し、購入者の手元に届くまでを1分の動画に収めているので、ファンにも嬉しい内容になっています。
フェンダー社
有名なギターメーカーのフェンダー社では、エレキギターの製造工程を紹介するためにタイムラプス動画を公開しています。フェンダー社のエレキギターを愛用していても、製造工程までは知らないという人がほとんどでしょう。
エレキギターの製造工程を公開することで、フェンダー社のギターづくりのこだわりが感じられる動画となっています。
東京ディズニーランド
東京ディズニーランドでは、2014年にタイムラプス動画を公開しています。
タイムラプス動画ではパーク内の1日の様子が収められており、人の動きやアクティビティの特徴が理解しやすい内容になっています。
タイムラプス動画にしたことで、視聴者がパーク内で遊んでいるイメージを膨らませやすくしているのが特徴です。
ANA
ANAでは、飛行機からでしか見られないタイムラプス動画を公開しています。
上空からの初日の出や富士山を撮影したタイムラプス動画を、SNSを通じてシリーズ化しており、公開を待ち望むファンもたくさんいます。
積極的にタイムラプス動画を公開しており、多くの人々に上空からの絶景を楽しんでもらおうと取り組んでいるのです。
また、公開先をSNSにすることで、顧客とのコミュニケーションを図ろうと考えています。
Lowe’sHypermade
アメリカの巨大住宅リフォーム企業でも、タイムラプス動画をシリーズ化して公開しています。
Instagramで15秒ほどの動画を配信しており、DIYの楽しさやノウハウを凝縮した内容となっています。
タイムラプス動画の特徴やメリットを活かしたハウツー動画としても人気です。
岡山県公式観光動画
岡山県が作成したタイムラプス動画は、瀬戸内海や島の様子、有名観光地の様子などを撮影した内容になっています。
印象的な音楽と共に次々と変化する風景が特徴で、実際に現地で見てみたい気持ちにさせられます。
長い時間をかけてゆっくりと変化する自然の様子を短時間で収めると、現地の雰囲気が想像しやすくなるのです。
このように、タイムラプス動画は様々な企業で活用されています。
特に、企業では製造工程を撮影したメイキングが最も多く、企業としてのこだわりを視聴者に示すためのブランディングにしている所が多いです。
タイムラプス動画・映像の作成方法とコツ
まずはタイムラプス動画を作成する具体的な方法からご紹介していきましょう。
必要な機材
タイムラプス動画を作成するには必要な機材があります。本格的でなくても手軽にタイムラプス動画を撮影してみたいという方はスマートフォンを用意しましょう。
iPhoneであればiOS8以降が搭載されているiPhone4s以降のカメラアプリでタイムラプス動画が撮影できます。
Androidの方は専用のアプリが必要です。中には無料でできるものもあるので、そちらを活用してみましょう。
カメラで撮影する場合は三脚と、タイマーレリーズを用意しておきます。
タイマーレリーズとは、カメラ本体に触らなくてもシャッターが押せるというアイテムです。いわばカメラを外から操作できるリモコンになります。
タイムラプス動画では同じ位置からの撮影が重要であり、これが数ミリでもズレてしまうと質の悪い映像になってしまいます。
カメラの場合、シャッターを押した拍子にカメラ位置がズレてしまうこともあるので特に注意が必要です。しかし、タイマーレリーズがあればそのようなリスクも回避することができます。
タイマーレリーズにはメーカー純正のものとそうでないものがあります。純正製品であっても機種や型番によっては対応していないものがあるので購入時には気を付けましょう。
他にも撮影時にあると便利なアイテムがいくつかあります。例えば、日差しがある昼間に撮影する場合、光を均等に吸収してくれるNDフィルターを用意しておくと良いでしょう。
また、屋内から屋外の風景を撮影する場合、窓ガラスの映り込みを防ぐための忍者レフやレンズスカートなどがあると便利です。
他にも、タイムラプス動画を撮影する際にはどうしても時間がかかってしまいます。
カメラのバッテリーが切れてしまうとせっかく撮影してきたものが全て水の泡になってしまうので、バッテリー切れを防ぐためのバッテリーグリップを準備しておきましょう。
屋外で星空を撮影したい時には、気温が低下してきてレンズに結露が発生しないよう、夜露を防止するヒーターを取り付けるのもおすすめです。
作成の手順
作成の手順は、スマートフォンを利用するかカメラを使うかによっても異なります。
ここではカメラで撮影する場合の流れをご紹介します。
カメラで撮影する場合は上記で紹介した機材を準備し、タイムラプス動画を撮影するための設定を行います。
例えば画像保存はRAW形式になるようにしたり、WBはマニュアリにしたりすると良いです。
また、長時間撮影するため手ブレ補正はオフにしておきバッテリーの消耗を少しでも減らしましょう。
カメラの設定が終わればいよいよインターバル撮影を実施します。間隔の秒数や撮影枚数に悩んだら、タイムラプス用の計算機を活用してみてください。
全ての撮影が完了したら、あとは画像をレタッチさせて全ての画像の編集を行い、現像に取り掛かります。
画像の編集が終わったら映像に起こしてタイムラプス動画の完成です。
撮影のコツ
タイムラプス動画をうまく撮影するコツは、やはりできるだけ動かさないようにすることが大切です。
手ブレ補正をオフにする場合は三脚などを使って固定させるようにしましょう。
また、タイムラプス動画は基本的にコマ送りに進めていきますが、美しいシーンは少し時間を長めに撮影しておくと、すぐにコマ送りされず見る人を感動させられます。自分なりにここはとても美しい瞬間だと思ったら、少し長めに撮影してみましょう。
もし夕方から夜にかけて撮影する場合は、露出が大きく変化していくため、シャッターを押すスピードを変化させる必要があります。
前もってスピードを確認しておくことと、インターバル時間がシャッターを押すスピードよりも早まらないように注意してください。
タイムラプス動画撮影のクオリティを上げるためには?
タイムラプス動画は、どこにでもあるような日常の風景でも、非日常的な面白さを感じられる動画に仕上げられます。
ここでは、そんなタイムラプス動画のクオリティをより上げるために大切なポイントをご紹介しましょう。
三脚を使う
タイムラプス動画はカメラだけでなくスマホでも撮影可能です。実際に撮影するときには、被写体の動きがより分かりやすくなるよう、三脚を使いましょう。
カメラやスマホを固定して画面が静止していると、動いている部分はより引き立ちます。
分かりやすいシーンから撮影する
短時間で、いかに時間をかけて変化する過程を見せられるかがタイムラプス動画のポイントです。
日の出から日没のシーンや、 空を流れる雲など、過程を圧縮して見せるわかりやすい動画から撮影してみると、工夫するべき点が見えてきます。
時間をかけて変化する流れを撮影する必要があるので、タイムラプス動画は撮影するだけでも長い時間と労力がかかります。
しかし、その内容を短時間に凝縮すると、もっと工夫すれば良かったと感じる点が見えてくるでしょう。
撮影日や撮影場所も考慮して、タイムラプス動画を作成しましょう。
インターバルを調節する
タイムラプスをただ使うだけでは、メリットのある動画になりにくいです。
気を付けたいのは、タイムラプスでどのくらいの時間撮影予定なのか、主な被写体は何かなどによって時間が変わることです。
1秒~5秒など撮影間隔が短い場合は、動きが滑らかになってゆっくり動いていることからより細かな変化に気が付きやすくなります。
10秒~30秒くらいの撮影間隔では、撮影間隔が長いため対象物の動きが早く感じます。
10秒~30秒くらいの間隔では、撮影対象の大きな変化が感じやすいです。
これによって大幅な変化を映像で感じやすく、ダイナミックな印象になるでしょう。
躍動感があるので、スピードによる変化を感じる映像にしたい場合にもおすすめです。
タイムラプス動画を撮影する際の注意点
被写体や撮影時間を変えることで、より動画の変化を感じやすくなります。
しかし、その前にタイムラプス動画撮影時の注意点を把握しておきましょう。
撮影時間を把握しておく
タイムラプスで動画撮影する際は、事前に撮影時間を把握しておきましょう。
一般的なタイムラプスでは、1秒間に30枚の写真が使われるため、10秒間の動画では300枚が記録される計算になります。
インターバルを5秒に設定したのなら、300枚×5秒=1500秒となって撮影時間が25分間必要ということがわかりました。
この計算から10秒の動画撮影に25分と計算できることから、それぞれの動画の時間について計算するとより分かりやすいです。
天気予報を確認する
屋外での撮影時は、必ず天候の確認をしておきましょう。
撮影を始めた時には晴れでも、次第に天候が変わって雨になる可能性もあるでしょう。
このような天候の変化に振り回されると、カメラが使えなくなる場合もあります。
天気予報などで、事前に天気を確認しておき、雨が降る前に機材を撤収できるようにしてください。
特に天候の変わりやすい山、海岸沿いなどは、常に空でも天候チェックを欠かさないようにしましょう。
三脚を固定している場合は、雨に濡れないように対策を取っておくと安心です。
バッテリー切れに注意する
タイムラプス撮影の際に、バッテリーが切れないように注意しましょう。
一眼レフ、ミラーレス、一眼カメラなどの場合は、バッテリーグリップなどを付けてバッテリー容量を増やす方法もあります。
スマホは撮影時間でも変わりますが、モバイルバッテリーを付けたままでも撮影できます。
ただし、接続したままだとバッテリーもスマホも安定した状態で使えないため、残量を事前に確認しておくのがオスメです。
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タイムラプスは、様々な企業の動画やCMなどでも用いられる撮影方法です。
長時間かけて撮影したことで、普段はかんじにくい変化に気が付くことができるだけでなく、その場の雰囲気なども想像しやすいでしょう。
タイムラプスは、マーケティング戦略としても使われる撮影方法なので、このような動画を採用したい、こだわりを映像にしたいと検討している企業も多いでしょう。
動画制作や映像制作の実績が豊富なGJCでは、タイムラプス動画を用いた動画制作が可能です。
また、マーケティングに合わせた映像制作が可能なので、要望に合わせた品質で制作できます。
動画制作でお悩みの場合は、GJCまでお気軽にご相談ください。
まとめ
人の流れを感じられる動画や自然の風景を撮影したものもあり、企業とタイムラプス動画を上手く組み合わせています。
それだけタイムラプス動画はマーケティング戦略の1つとしてメリットの多い撮影方法なのです。
通常の動画では短時間で見られないものばかりなので、シリーズ化しているタイムラプス動画では公開を待ち望むファンもいるほどです。
タイムラプス動画を活用すれば、印象的なプロモーションとして印象付けるのも難しくはないでしょう。
今回は、タイムラプス動画について紹介してきました。
タイムラプス動画は、膨大な時間の流れを短期間で表現できるという特徴があります。
そのため、企業がブランディングのために活用しているケースも多く、印象的な動画を作れるといった魅力もあります。
映像の時間制限が設けられている動画サイトやSNSでは、短時間でいかに内容の濃い動画にするかがポイントです。
タイムラプス動画は、製造過程や景色の移り変わりなど変化する様子を短時間に収められるので、マーケティング戦略にも適しています。タイムラプス動画を撮影して、他にはない動画を作成してみてはいかがでしょうか?