近年、盛り上がりを見せる動画広告ですが、中でも最先端技術でもある「VR」を取り入れたマーケティングが話題を集めています。
マーケティングにおいてインパクトは宣伝効果を高められることから重要視されていますが、そんなインパクトを容易に生み出すことができるのがVRです。
今までも宣伝のために「ユーザー体験」を行い実際に商品やサービスを使ってもらう事で宣伝・拡散し宣伝へとつなげてきました。
では、VRマーケティングを活用するとユーザー体験はどのように変革していくのでしょう?
今回は、VRマーケティングの効果や変革、そして現在のトレンドなどをご紹介していきます。
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2017年、VRマーケティングはさらに飛躍する
そもそもVRは2016年から様々な企業がマーケティングに活用し始め、現在では家庭用のVR機が発売されるようになりました。
また、スマホからも専用のアプリを利用し、簡易的なビューワーを利用すれば手軽にVR動画を見ることができるのです。
VRが身近になりつつある中で、VRマーケティングを活用しユーザー体験を行っている企業は増加しています。
自社の商品やサービスをVRで疑似体験することによって、具体性の高い宣伝効果が期待できます。
例えば、まだ製品として完成されていないものも、イメージ図などがあれば具現化し、それを見ることもできますし、完成後をしっかりとチェックすることができます。
今まで家が完成されてからでないと、家具の配置が難しかったものが、間取り図さえあればそれをVRで具現化して家具配置をチェックできるようになったのです。
また、自宅にいながらまるで海外の観光スポットにいるような気分に浸れたり、狭い空間でもVRで広く見せたりすることもできます。
このように、VRによってマーケティングにも幅が出て、様々な宣伝ができるようになりました。
まだVRマーケティングが取り入れられてから年数的にはあまり経っていないものの、既に市場規模は速いスピードで上昇してきています。
ゴールドマン・サックスの調査レポートの予測結果を見ると、2025年にはAR/VRの市場規模はハードウェアだけでも497億ドル、日本円で5兆円規模にも及ぶとされており、大手企業はもちろんですが新規で参入する企業も今後はさらに増えると予想できるでしょう。
また、近年はVRマーケティングに関するツールも充実してきています。
例えば、youtubeで気軽にVR動画を楽しめるようになりましたし、Facebookでも360度動画広告を見ることができます。
動画サイトだけではなく、VRを見るために必要なゴーグルも、今まではレンズの違いなどから焦点との距離にズレが生じてしまい、立体的に見えなくなってしまったり、歪みがあることで揺れると酔ってしまったりすることもありました。
しかし、現在ではゴーグルの技術も進んでおり、より高品質なVR動画が見られるようになってきたのです。
周辺機器がさらに充実することでVRマーケティングはより一層飛躍を見せることとなるでしょう。
VRマーケティングでは実際にどのような効果がみられるのか?
まだまだ発展途中とも呼べるVRマーケティングですが、実は既にかなりのマーケティング効果があらわれていると言われています。
アメリカのVR・ARを専門に取り扱っている投資ファンドが作成したVR業界のマップを見てみると、VR元年と呼ばれた2016年に比べて掲載された企業の数が40%も増えました。
では、実際にどのような効果がみられるのでしょう?
まず、VRマーケティングを導入することにより、コンバージョンが今までよりも高くなったという結果が出ています。
これは不動産事業でみられたもので、コンバージョン率が上がっただけではなく、さらに営業マンの人件費削減だったり、VR体験によって内見することで実際に内見する物件数が減ったりと、直接的に顧客サービスの向上につながったと言えるでしょう。
潜在層へのアプローチにも効果的
さらに、VR体験は顕在層へのアプローチだけではなく、潜在層へのアプローチにも効果的です。
顕在層の人は興味を持った状態でVR広告を見ますが、潜在層は元々あまり興味がないと感じていたものであっても、「VR」というコンテンツを試したいという気持ちからVR広告を見ることにつながります。
潜在層へのアプローチはマーケティングにおいてユーザーを増やすためのカギと言えるくらい大切なものです。
今後VRがどんどん広がり、当たり前になってきてしまうと潜在層へのアプローチに対してまた新たな手段を検討しなくてはならないかもしれません。
ですから、VR市場が発展している今だからこそマーケティングを取り入れるべきなのです。
幅広い分野で活用できる
VRのこうしたマーケティング効果は幅広い分野でもみられます。
先程は不動産業界を例に出しましたが、他にも建築設計やデザイン事業において、企業クライアントに対してのプレゼンテーションでVR技術を用いれば、より具体的に建築設計やデザインの説明をすることができます。
また、医療分野においてもVRで認知行動療法のサポートを行ったり、医師が内視鏡や血管カテーテルなど、繊細な技術が必要な手術に対して、事前にVRを使いトレーニングを行ったりすることもできます。
このように、幅広い分野でVRマーケティングは活用することができるのです。
つまり、一つの分野に絞らなくともVRによって様々な可能性が広がっていきます。
疑似体験が可能なVRマーケティング
日本ではまだ発展途上ですが、アメリカでは多くの企業で疑似体験ができるVRマーケティングを行っています。
視覚や聴覚を利用して実際に自分が体験しているかのような感覚になるので、顧客に与えるインパクトは大きいです。
そこで、今まで行われてきたVRマーケティングについて紹介していきます。
ファッション業界で有効的なVRマーケティング
インテル社が開発したのは「Memory Mirror」と呼ばれるVRで、服を試着した顧客が鏡に姿を写すとその姿をメモリとして記録することが可能となるのです。
洋服を購入する場合には様々な服や小物を試着していくでしょう。
ですが、前に着た服に関してはどういった印象だったのか覚えておくことが難しく、何度も試着を繰り返して悩んだ結果、結局買わずに帰ってしまう人も多かったのです。
また、コーディネートをどうしようかと考えた場合に、何着か試着した中でどの服装が自分に合っているのか、1人で買い物に来ていると客観的に見ることができないので、選ぶことにも苦労してしまいます。
こういった苦労を取り除くこともできるMemory Mirrorは、アメリカでも多くのショップが採用しています。
試着をした服でほかの色がある場合には色を変えて見ることもできるので画期的なシステムとなっています。
Memory Mirrorがあることで、納得のいく買い物ができるようになりました。
イメージの湧きにくいリフォーム業界にも進出
リフォームとなると今住んでいる家のイメージは強いので、どういった色味やインテリア、間取りにしたら良いのかと悩んでしまうことも多いでしょう。
アメリカの住宅リフォームメーカーのロウズでは「Holoroom」を採用しています。
VRに対応しているタブレットを使用して、アプリで選んだ壁紙の色や柄、家具の配置や色を目の前に映し出してくれます。
実際に家の中にいるかのような感覚で確認できるので、イメージがしやすくなるのです。
アウトドアを疑似体験することで購入に繋げる
日本でも人気のアウトドアブランド「ノース・フェイス」では、アメリカの一部店舗でVRヘッドギアとヘッドフォンを使用することで、ハイキングやロッククライミング、スカイダイビングなどのアウトドアを疑似体験することができます。
実際に体験しているかのような感覚となり、雄大な自然の中での幸せや喜びを知ることができるので、実際に行ってみたいと感じることができ、購入へと繋げることができるのです。
有名ホテルのVRマーケティング法
多くの国に宿泊施設のあるマリオット・ホテル・グループは、結婚式を挙げたカップルを対象に「Teleporter」を行いました。
ニューヨークの街角で行われたイベントで、VRを装着することで仮想ハネムーンに行くことができるのです。
ハワイやロンドンなどマリオットホテルがある国へ旅行しているかのような体験ができ、SNSでシェアすることもできるのでカップルだけではなく多くの人の目に留まりました。
シェアされたことで、固定客だけではなく新規の顧客も増やすことができ、より多くの人にブランドを知ってもらう結果となったのです。
今後もさらに発展が期待されるVRは、様々なエンターテイメントや企業で使用されることとなるでしょう。
VRマーケティング、現在のトレンドは?
VRは、音響や感度センサー、コンピューターグラフィックスを組み立てて人工的な3D世界を作ることですが、以前までは高性能なコンピュータやハイレベルな表現技術、ノウハウが必須でした。
しかし、高度な技術や多量のコストがネックになり実用化されていたのは、パイロットのフライトシュミレーションまたは軍事訓練のためのシミュレーションなどに限定されていたようです。
それが近年には飛躍的な技術進歩と大幅なコストダウンで、一気にハードルが下がってきています。
これらの環境が整いつつあるので、一般消費者も身近な分野でマーケティングを展開している企業が増えつつあるのです。
Volvoのバーチャルリアリティ・テストドライブ
Volvo XC90のローンチにおいてボルボは、世界で初めてバーチャルリアリティ・テストドライブのマーケティングを実行しました。
GoogleのGoogle Cardboard(ペーパーVRゴーグル)やスマホの専用アプリであるVolvo Realityで実車しなくても試乗体験が手に入る仕組みになっています。
Google CardBoardはスマートフォンを収納すれば頭部に装着してファインダー越しに立体化されたコンテンツを視聴できます。
このゴーグル型デバイスは、段ボールで作られているため1,000~2,000円と激安価格でVR体感できるので魅力的です。身近なスマートフォンを利用することで、かなりハードルを下げることに貢献できています。
ALTAの新築・リフォームシミュレーター
プレゼンツール「ALTA」は住宅の新築やリフォームなどで注目されているツールです。
3Dで作成した新築やリフォームプランを、専用の3Dプロジェクターを通してスクリーンに投影すれば実寸大のバーチャル空間を体感することができます。
リアルタイムでVRシステムとALTAが連動するので、間取り・インテリア・家具・内装・床材・設備機器などの変更もすぐに反映されます。
実寸大の空間をイメージできるので、平面パースではわかりにくい吹き抜けや階段の幅、クローゼットの奥行き、バルコニーの広さなど細かい部分までリアルに体感できるのが魅力です。
完成後のクレームの軽減や契約までの交渉期間を短縮するために非常に有効な利点となります。
観光マーケティングや企業VTRにも
国内では環境協会や企業VTRなどで観光マーケティングが実地されはじめています。
新しい観光マーケティングの一環として、IT企業や大学、旅行代理店などもVRを活用している事例がすでにあります。
立命館大学アート・リサーチセンターではすでに2014年、VR技術を扱って「祇園祭デジタル・ミュージアム展」が開催されたのをご存知でしょうか?他にも運営元ニッポンドットコムが日本のコンテンツを海外に発信する観光紹介に注目が集まりました。
観光客からしてみれば、観光地を疑似体験することでよりリアルな下調べや検討につなげられるのは嬉しいことです。
立体的な疑似体験は文字や写真などの平面的な情報より、優れたマーケティング手法と言えるでしょう。
小売業界においても、VRを導入したプロモーションやマーケティングが増えてきました。
自動車や住宅、旅行などの高額な商品は、VRで表現することでより高級感のある疑似体験がリアル化されます。
VR技術が進歩していくことで今後さらに疑似体験マーケティングが進化していくに違いありません。
いかがでしたか?
VRを活用したマーケティングは世界的にも注目されており、今回紹介された事例のように、様々なユーザー体験ができるようになってきています。今後はどのように変革が起きていくのかはわかりません。
それでも言えることは、VRマーケティングは変革を繰り返しながら、将来的に一般的な広告表現となっていくことが期待できるということです。