マーケティングに3Dを取り入れ、商品やサービスの販促、企業のブランディングなどに活用されることが増えてきています。
特に最先端技術を要する3Dホログラム映像は、まだ取り入れている企業も少なく、強いアイキャッチ効果も期待できます。
そんな3Dホログラムの動画や映像を制作するにはどうすれば良いのでしょうか?今回は3Dホログラムの特徴や動画・映像の作り方についてご紹介していきます。
3Dホログラムとは何か
そもそも3Dホログラムとは、現実空間に立体的な映像を表現できる画像投影技術です。一般的な3D映像だと立体的に見えるものの正面からしか捉えられませんが、3Dホログラムなら側面から背面まで、立体的に映し出せます。
ただし、立体映像はすべて3Dホログラムに分類されるかと言えば、そうではありません。物体からの光を記録・再生できる「ホログラフィ技術」を活用しています。ホログラフィ技術では光の強さや波長、位相を記録することで、映像を立体的に表現できるのです。
なお、2024年7月から新紙幣が発行されていますが、実は新紙幣にも特殊印刷によって3Dホログラムが取り入れられています。
3Dホログラムの仕組みや特徴について、より詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
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3Dホログラムと似た技術
3Dホログラムは光の強さや波長、位相を記録・再生する高度な技術ということもあり、見たことはあってもそれほど普及しているものではありません。しかし、3Dホログラムに似た技術を取り入れているケースは意外と多いです。ここで、3Dホログラムと似た技術を3つご紹介します。
水蒸気型3Dホログラム
水蒸気型3Dホログラムとは、スクリーンを使わずに水蒸気を活用して映像を投影させる方法です。水は光を反射させることから、その反射を利用して立体的な映像を表現できます。
また、水蒸気は実際に触れることができ、その変化を楽しむことも可能です。ただし、屋外で水蒸気型3Dホログラムを行うと風の影響を受けてしまい、スクリーン代わりの水蒸気が飛んでしまい映像が安定しません。こうした理由から、水蒸気型3Dホログラムは屋内での利用を前提に考えた方が良いでしょう。
ブレード型3Dホログラム
ブレード型3Dホログラムとは、光源を取り付けた扇風機に似た形状のブレードを高速回転させることで、立体的な映像を投影させる方法です。ブレードを人の目では追えないほど高速回転させることで光源の残像を生み出し、立体的な映像に見えます。
ブレード自体は軽量かつ小型の種類も多く、壁に設置すればまるで空中に浮かんでいるように見せることも可能です。現実空間に映像が浮かんでいるように見えるものの、光の記録・再生方法が3Dホログラムとは異なるため、別の技術になります。家庭用の3Dホログラムのプロジェクターとしても採用されていますが、仕組み自体が異なっているのです。
ペッパーズ・ゴースト
ペッパーズ・ゴーストとは、角度を45度に調整したガラス板や半透明のスクリーンを使い、光の屈折によって立体的な映像に見せる方法です。光の屈折を利用しているため、見る角度によっては立体的に見えない場合もあります。
ペッパーズ・ゴーストは元々舞台で用いられている視覚トリックです。観客から見えない位置に隠された舞台を用意し、そこに幽霊を模した模型を置いて照明を当てることで、光の強い部分がガラスに反射し、あたかも観客が見ている部隊の上に幽霊が浮かび上がっているように見せます。考案者はヘンリー・ダークスという人物ですが、その後ジョン・ヘンリー・ペッパーによって改良され、ペッパーズ・ゴーストという名称で特許取得がなされています。
この技術が誕生してからすでに150年以上経過していますが、現在も舞台上で使用されている手法です。
3Dホログラムの映像を活用するメリット
3Dホログラムの映像を活用することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか?続いては、3Dホログラムの映像を活用するメリットを3つご紹介します。
高い広告効果が期待できる
1番のメリットとして挙げられるのは、3Dホログラムの映像を活用することで高い広告効果が期待できる点です。3Dホログラムは近年注目されている技術ではあるものの、まだそこまで普及はしていません。そのため、3Dホログラムの映像を採用するだけで話題を集めやすくなります。
実際に2019年渋谷ヒカリエで3Dホログラムを活用した実証実験を行った結果、デジタルサイネージと比較して広告到達率が約11%も高くなるという結果となりました。デジタルではなく一般的な広告と比べた場合、約2倍近い到達率となっています。
新商品のプロモーション映像に3Dホログラムを取り入れれば、消費者に大きなインパクトを与えられ、高い広告効果が期待できるでしょう。
詳細な部分までリアルに伝えられる
3Dホログラムは表面的な広告とは異なり、立体的に商品などを表現することが可能です。この立体映像は正面だけでなく側面や背面なども隅々まで見ることができます。まるで本物の商品がすぐそこにあるように見せられるため、商品の詳細な部分までリアルに伝えられるのは大きなメリットです。
例えば展示会などでスペースに本物の商品を持ってこられなかったとしても、3Dホログラムを活用すればしっかりとアピールすることが可能です。また、高額な商品であれば盗難のリスクも回避できます。
道具がなくても立体映像を楽しめる
これまで立体映像を楽しむためには、3DメガネやVRゴーグルを必要としてきました。立体映像を見てもらうためだけに3Dメガネを配布したり、VRゴーグルを装着してもらったりするのは非常に手間を感じてしまうものです。また、子どもが3DメガネやVRゴーグルを使って立体映像を見ようとすると、目に何らかの影響が出てしまう可能性もあるため、使用制限がかけられていました。
しかし、3Dホログラムであれば3DメガネやVRゴーグルがなくても、肉眼で立体的な映像が楽しめます。肉眼なら3D映像でよく見られる映像酔いなども起こしづらいです。
3Dホログラム動画・映像の作り方
3Dホログラムは、レーザーやホログラム制作用の特殊なフィルム、振動を防止する装置、対物レンズ、そして投影させたい被写体を用意する必要があります。
現段階では3Dホログラム技術はまだ完全に開発されておらず、研究段階にあります。
そのため、マーケティングで本物の3Dホログラム映像を活用するのは困難だと言えるでしょう。
しかし、3Dホログラムと似ている技術で、まるで空中に映像を投影させているような技術は既に完成されており、多くの企業がマーケティングとして取り入れています。
現在有効な3Dホログラム動画・映像の作り方は、種類によっても異なります。
そこで、種類別にその特徴と作る際の注意点についてご紹介していきましょう。
キーフレームアニメーションの特徴
キーフレームアニメーションとは、一般的な手法の一つであり、動きを構成しているポーズをキーフレームとしていくつか設定し、時間軸に沿って並べていくことで動いているように見せる方法です。
2Dのアニメーション制作と変わらないように思えるかもしれませんが、2Dではキーフレーム間の空白をアニメーターが埋めていかなくてはならず、3Dの場合は空白をコンピュータが算定して埋めてくれます。
キーフレーム間を自動的に埋めてくれるため、2Dアニメーションに比べると少ないキーポイントで滑らかな動きを出すことができるのです。
3D技術としては最も基本的なものであり、アニメーション的な動きを動画・映像にしたい場合はキーフレームアニメーションを取り入れるべきでしょう。
微調整等は自ら行う形となるので細かい部分までこだわりのある3D映像を作ることができます。
ただし、いくら3D技術と言っても現在では定番化されている制作方法ですし、動画・映像の企画が優れていなければ3D映像としてのインパクトに欠けてしまう恐れがあります。
また、いくらキーフレーム間をコンピュータが自動で埋めてくれると言ってもほとんどの作業は自身が手掛けなくてはならないため、時間もかかってしまいます。
キーフレームアニメーションを作る時の注意点
キーフレームアニメーションを作るには、アニメーションソフトや統合ソフトを活用して作成していきます。
3D動画・映像を作る際は3Dに対応したキーフレームを作成する必要があります。
これらは3DCGを作ることができるソフトを使い、制作することが可能です。
フリーソフトでも制作することは可能ですが、高価格帯のソフトであれば3D動画・映像をそのまま制作することができるものもあります。
ただ、数十万円以上かかるため、まずはフリーソフトや低価格帯のソフトを活用して作ると良いでしょう。
シミュレーションの特徴
様々なパラメータの数値を入力することで、コンピュータが計算し、動きを算出する3D動画・映像をシミュレーションと言います。
中でも物理演算を活用して、リアリティのある動きを作ることができる「物理シミュレーション」は、炎や爆発、水などのいわゆる流体と呼ばれるものの動きを物理演算にかけることで、動きを予測し3D化させることができます。
シミュレーションはキーフレームアニメーションに比べてかなりリアリティのあるものを作れます。
動きはコンピュータによって決めることができますが、手付けでも動きを付けることができるので、様々なシミュレートも可能となります。
ただ、高度な知識や技術が必要になってくるだけではなく、シミュレーションは何度も繰り返し行わないと理想的な動きを作れない可能性があります。
また、商品やサービスをPRするための動画・映像でシミュレーションを活用することは少なく、商品開発のための研究等で用いられることもあるでしょう。
シミュレーションを作る時の注意点
シミュレーション動画・映像を作るには、専用ソフトが必要となります。
特に、衝突判定や固さを持つもののシミュレーション、布を用いたシミュレーションなどはミドルレンジ(価格と性能のバランスが取れた中堅クラス)以上のソフトでないと制作することができない可能性もあるので気を付けましょう。
モーションキャプチャーの特徴
モーションキャプチャーは、現実で行った動きを、専用機材を用いてデータ化し、コンピュータ上で処理する3D映像を指します。
例えば、映画などでモンスターや実在しないものに対してリアルな動きを付けるためにモーションキャプチャーが用いられることがあります。
以前は映画などで用いられることが多かったモーションキャプチャーですが、現在では個人でも取り入れることができるようになってきました。
例えば「MikuMikuDance(MMD)」は、3Dモデルを使って簡単にアニメーション制作できるツールなのですが、ゲームデバイスのキネクトを応用することでモーションキャプチャーの利用も可能となりました。
他にも近年人気を集めている「バーチャルユーチューバー」もモーションキャプチャーやリップシンクなどの技術を用いているものであり、モーションキャプチャーはより身近なものとなってきています。
リアルの動きに付随する形でCGを組み合わせることができるので、3G映像をよりリアルな動きを持たせたいという場合におすすめの方法となります。
上記で紹介したキーフレームアニメーションよりも現実的な動きを表現させることが可能となるでしょう。
モーションキャプチャーを作る時の注意点
モーションキャプチャーは、高度なCG技術を必要としない代わりに、動きをキャプチャーする元となるアクターが必要となります。
アクターの動きがそのまま投影されてしまうため、アクターの動き方によって理想的な映像となるかどうかが決まってくると言えるでしょう。
数値計算の特徴
数値計算とは、スクリプトやエクスプレッションとも呼ばれる方法であり、数式を使ってデータを動かし3D動画・映像を作成することを指します。
数式を使うとなると行えることが限られるのでは?と思われるかもしれませんが、規則的な動きから様々な動き、変形、各素材との組み合わせなど、比較的自由な3D動画・映像を制作することも可能です。
プログラム技術を持っている方にとっては他の方法よりも、制作しやすい方法と言えるでしょう。
シミュレーションに近い部分もありますが、こちらの方がアニメーション的に動画・映像を制作することができます。
また、計算を入力すればその通りに動いてくれるのでキーフレームアニメーションなどでは無理のある動きやエフェクトなどを付けられるという利点も持ち合わせています。
数値計算を作る時の注意点
計算通りに動かせる反面、逆にキーフレームアニメーションのような手付け作業でしか付けられない動きというものもあります。
そういった場合、数値計算は不向きだと言えるでしょう。
また、数値計算はプログラミング、引いては数学の知識が必要となります。
プログラミングに関する知識を持っていない場合は、まずプログラミングの知識を付けるところから始めましょう。
動画・映像制作業者が行ってくれること
3Dホログラムやそれに近い動画・映像を作るためには、専門的な知識や技術が必要となります。
昔に比べるとソフトもかなり使いやすくなりましたが、それでも初めて動画・映像を制作する人にとって難しい部分も多いでしょう。
より品質の高い動画・映像を求めるのであれば、やはり動画・映像制作業者に依頼した方が良いです。品質の高い動画はコストがかかってしまうものの、代わりに高い広告効果も得られるためマーケティングの費用対効果は高いと言えます。
では、3D動画・映像の制作業者は基本的にどのような部分まで担ってくれるのでしょうか?
モデリング制作
専門業者はキャラクターや背景、オブジェクトなどのモデリングを行うことができます。
例えば自社商品やロゴ、キャラクターなどを3D化するためには立体的にデータを構築する必要があります。
まずはモデリングで素材を作成し、アニメーション・映像制作につなげていくのです。
専門業者であればモデリングをよりリアルなものにするためにテクスチャーや質感の調整を行うこともできます。
リアリティのある背景やキャラクターを求めることができるのです。
カメラワークやカット割りの提案
いわゆる絵コンテのようなものを制作し、カメラワークやカット割りなどの提案を行うこともできます。
企業が動画・映像制作を行う目的などを参考に、デザイン・構成の提案も行える業者もあります。
具体的な案が浮かばないという場合は、こうした提案まで行ってくれる業者を選択すると良いでしょう。
アニメーション制作
モデリングで作成したキャラクターやオブジェクトに動きを持たせる作業を行います。この作業はそれぞれの専門業者によって行えることが違ってきます。
例えばキーフレームアニメーションを中心に作業を進める業者や、モーションキャプチャーを得意とする業者もあります。様々な方法を用いて依頼された企業が希望する動画・映像を制作できる業者もあるので、専門業者を選ぶ際にはどんな方法で3D動画・映像が作られるのかもチェックしておくと良いでしょう。
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VFX
VFXとは、「Visual Effects」の略称で、直訳すると視覚効果という意味になります。
3DCGでは上記にあるように背景からオブジェクト、キャラクターに至るまで、全て3D技術が使われた映像となります。
しかし、VFXの場合、実際の背景やモノに3D技術を組み合わせることで、まるで現実に架空の世界が広がっているような感覚を味わうことができます。
VFXは実際の映像を撮影する必要があり、その分人件費などのコストが発生する可能性もありますが、現実世界との境界線が分からないようなリアリティのある映像を制作したい場合はVFXを提供する業者を選ぶと良いでしょう。
動画制作・映像制作ならGJCへお任せください
3Dホログラムは消費者に対して大きなインパクトを与えられることから、販促活動においても大きなメリットとなります。しかし、3Dホログラムの映像を制作するためには、高度な技術や専用の機器が必要です。そのため、ノウハウがない中で制作するのは難しいと言えるでしょう。
3Dホログラムによる動画制作・映像制作を依頼したいなら、豊富な実績を持つGJCにお任せください。GJCは独自の制作体制と効率的なオペレーションにより、業界相場の半額という驚異のコストパフォーマンスを実現しています。また、実写やアニメーション、3DCGなど、各動画表現のプロフェッショナルが揃っているため、多種多様な動画表現にも対応することが可能です。高品質な映像を制作したい方は、ぜひGJCへご相談ください。
3Dホログラム筐体を提供する業者は、専用動画の制作も可能
近年、3Dホログラム筐体を開発・提供する業者も増えてきています。
例えばペッパーズゴーストや回転型ディスプレイ、ピラミッド型ディスプレイなど、3Dホログラムを表示させてマーケティングに活用できるようになってきました。
厳密に言えばこれらは冒頭で示したように3Dホログラムとは言えないものの、3Dホログラムにかなり近い形で映像を表示させることができ、世界的にも注目されている技術だと言えます。
そんな3Dホログラム筐体を提供する業者の中には、その筐体で使えるように専用動画の制作も担ってくれる業者は多くみられます。
筐体だけを購入もしくはレンタルするとなると、3Dに対応した映像の制作が必要でしたが、筐体に関して深く理解している業者がそれに対応する映像を作ってもらえる場合もあるので、映像制作に不安を感じている場合はそういった業者を利用すると良いでしょう。
業者に映像制作も依頼する場合は、なるべく3D動画・映像を使う目的をはっきりさせ、何を一番にアピールしたいのかを伝えることが大切です。
3Dホログラム映像と言っても全てを表現し、様々な人に効果的に内容を伝えられるわけではありません。
強烈なアイキャッチにはなるものの、目的もない3D動画の広告効果は低くなってしまう恐れがあります。
また、イメージできるものがあれば具体的なものを提示すると良いでしょう。
例えば参考動画などを用意しておくとイメージの共有もしやすく、希望通りの3D動画・映像の制作も行える可能性が高くなります。
ディスプレイによって表現できるものも多少異なってくるので、ディスプレイを提供している企業の参考動画も見て希望に近いものを表現できそうだと思ったところを選んでみましょう。
3Dホログラムの動画や映像を自身で制作することも可能ですが、高度な知識と技術を必要とします。
時間と手間を掛けず、さらに高品質な3Dホログラムの動画・映像を制作するなら専門業者へ依頼した方が良いです。
また、ディスプレイを提供してくれる業者が映像を制作してくれる場合もあります。
高いマーケティング効果を得るためにも、まずは専門業者に相談してみるようにしましょう。
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