一口に動画といっても、様々なジャンルがあります。中でも実写動画は幅広い目的で制作されています。実写動画というと何となくイメージはわかるものの、他の動画との違いや使用されるシーンなどについてあまり詳しくない方もいるでしょう。
この記事では、実写動画の概要や制作手順、メリット・デメリットについて解説します。事例やよくある質問もご紹介しているので、実写動画の活用を検討している方はぜひ参考にしてください。
実写動画とはどういうもの？
そもそも実写動画はどんな動画を指すのでしょうか？まずはアニメーション動画との違いや実写動画が使われる用途をご紹介します。
アニメーション動画との違い
実写動画は、実在する人やものを撮影した素材を使った動画のことです。実在する人やものを映像素材として使っているため、リアリティのある動画を制作できます。
それに対してアニメーションは、写真やイラストなどの静止画に動きをつけた動画です。実写とは異なり、実在しない架空の人物や世界などを表現できます。また、実写では撮影が困難なアングルや部分も再現することが可能です。
コスト面にも違いがあります。実写は実際に人やものを撮影する必要があるので、手間がかかる分、費用が高くなりがちです。一方、アニメーション動画は撮影を行わないため、実写と比べて費用を抑えられる傾向にあります。
アニメーション動画についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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実写動画の使用用途
実写動画がよく使われる用途は以下のとおりです。
・商品・サービス紹介
・会社・事業紹介や社員のインタビューなどの採用動画
・マニュアル
・セミナー・イベント
実写動画であれば、実物の商品を映像の素材として使えます。実物を見せながら特徴や使い方をわかりやすく紹介することが可能です。サービス紹介であれば、利用シーンのイメージを動画にすれば、視聴者はサービス内容の具体的なイメージを持つことができます。
採用動画としても実写動画が用いられることが多いです。実際に働いているシーンや社員のインタビューを動画にすることで、自社の魅力を伝えることや求職者に入社後のイメージを持ってもらうことができます。
他にも業務のやり方や流れをまとめたマニュアルや、セミナー・イベントを撮影した動画を人材育成・研修や自社のPRなどの目的で活用するケースもあります。
実写動画の制作メリット・デメリット
実写動画を制作して活用することには、メリットとデメリットの両方があります。
メリット
実写動画の大きなメリットは、臨場感やリアリティのある動画にできるため、幅広い用途で活用できることです。商品やサービス紹介であれば、使用感や質感などをダイレクトに伝えることが可能です。
企業紹介であれば、職場の雰囲気や働く様子を見てもらうことができます。インタビュー動画なら生の声を届けられるので、利用者からの評判や企業の想い・考えなどを伝えられます。
視聴者から受け入れられやすいのも実写動画のメリットです。実写の場合、実在する人物が演じるため、視聴者がその立場に自分を置き換えて考えたり、感情移入したりしやすい特徴があります。共感されやすい動画であれば、SNSで拡散されて、より多くの人に見てもらえる可能性があります。
また、有名人が出演する商品・サービス紹介動画や自社の社長・社員が出演する採用動画には、信頼性や説得力が高まる効果にも期待できます。そのため、商品・サービスや企業のイメージアップに適しています。
デメリット
実写動画のデメリットは、コストや制作・修正に手間がかかりやすいことです。素材となる映像を撮影する際には、人件費・機材費・出演料・交通費・宿泊費など様々な費用が発生します。そのため、撮影の規模によっては高額な動画制作費がかかるでしょう。
また、一般的な実写動画は完成までに1.5～2ヶ月程かかるとされています。大掛かりな撮影を必要とする場合は、完成までに3ヶ月以上かかるケースも多いです。
完成した動画の修正が必要になった場合、追加修正が難しいこともデメリットです。テロップやBGMの変更など多少の修正であれば、それほど時間はかかりません。しかし、再度撮影が必要になるレベルの修正だと完成まで時間がかかる上に、追加で費用が発生するため、気軽に追加修正を行うことはできないでしょう。
実写動画に人が出演する場合、登場人物によって印象が変わってしまう点にも注意が必要です。商品やサービスのイメージを損ねないために、イメージにマッチしたキャスティングが求められます。
また、プロの俳優をキャスティングする場合、契約で映像の使用期限が決められることがあるので、長期的に使う場合は注意しましょう。自社の社員を起用した動画でも、社員の都合や退職したことで公開停止となってしまうケースがあります。
実写動画の作り方・制作の流れ
実写動画は、完成までにそれなりに長い時間がかかります。そのため、動画制作の流れを把握し、余裕を持ってスケジュールを組むことが大切です。ここで、一般的な実写動画の制作の流れをご紹介します。
実写動画の制作目的やターゲットを明確にする
実写動画に限らず、動画を活用する際は目的やターゲットを明確にすることが大切です。具体的な目的やターゲットが決まっていない状態で動画を制作しても、視聴者の心を掴む動画を作ることができません。
達成したい目標やターゲットによって、ストーリーや演出、伝えたいメッセージなどが異なります。そのため、どんな方向性で実写動画を制作するのか決めるためにも、目的やターゲットを決めることから考えていきましょう。
実写動画の制作するための企画を立てる
実写動画を制作する目的やターゲットの整理ができたら、制作の企画を立てていきます。この段階では、絵コンテやキャスティング、香盤表などを決めていきます。
絵コンテとは、シナリオをもとに絵で映像の内容や動きを表現する設計図や指示書のようなものです。制作する動画のイメージを関係者が共有するために必要です。
人物が登場する実写動画であれば、出演者を決める作業も発生します。動画の内容やターゲット層に合わせて、イメージにマッチした出演者を選出しましょう。出演者の人数が多い場合、予算や納期に考慮してキャスティングを行う必要があります。
香盤表とは、撮影に参加する関係者のスケジュール表のことです。当日、各自スムーズに行動できるように、しっかりスケジュールを組むことが求められます。
撮影の準備を始める
企画がまとまったら、撮影の準備に取りかかります。出演者やエキストラの募集、出演者に対して台本や衣装・服装の指示などを出して、当日までに準備を整えてもらいます。
撮影スタッフは、機材や小道具の手配が必要です。現地撮影が必要なケースでは、ロケハンが行われます。
ロケハンは、撮影場所の下見をして情報収集をすることです。現場に足を運んでカメラの位置やアングルなどを決定するほか、撮影の許可も事前にとっておきます。
現地撮影が不要なケースでは、写真素材や資料の調達、ナレーションの録音などをこの段階で済ませることが多いです。
素材となる映像を撮影する
撮影当日は、台本や香盤表を確認しながら撮影を行っていきます。天候が悪くて撮影が遅延したり、時間内に終わらなかったりすると取り直しが必要です。可能な限り当日に撮影が終わるように、余裕を持ってスケジュールを組むことが求められます。
動画・映像制作会社に撮影を依頼する場合、発注者もロケに参加することをおすすめします。実際に撮影現場に立ち会うことで、制作サイドとイメージを共有しながら撮影できるので、取り直しを防げます。
撮影した映像を編集する
撮影がすべて完了すれば、映像の編集作業が始まります。企画時に作成した絵コンテをもとに、撮影した映像やその他の素材を使って1つの動画を作り上げていきます。映像や素材をつなげるだけではなく、不要なシーンはカットが必要です。他にもテロップやBGMなどを追加し、わかりやすく魅力的な動画に仕上げていきます。
編集した動画は、チーム全体でイメージやクオリティをチェックすることが大切です。高度な技術を持つ編集者であっても、ミスの見落としを防ぐためには複数人でチェックする体制が求められます。
試写した上で修正を行う
編集が完了したら実写動画を実際に見て、修正が必要かどうかを確認します。修正点があれば、速やかに修正依頼を出してください。動画・映像制作会社に編集を依頼する場合、編集の規模によっては追加で修正費用が発生する可能性があるので、事前に確認しておきましょう。
修正も終わって実写動画が完成すれば、納品となります。納品された実写動画を自社サイトやYouTube、広告媒体に配信するなど、目的に合わせて活用してみてください。
実写動画を制作会社に依頼する際のポイント
実写動画の場合、映像の撮影や編集などの作業が発生します。撮影や編集で自社リソースを割くのが厳しい、そもそも高度な撮影・編集技術を持つ社員がいないというケースが多いでしょう。
実写動画はクオリティも重視されるので、動画・映像制作会社に外注するのがおすすめです。ここで、実写動画の制作会社に依頼する際のポイントをご紹介します。
企画から編集まで対応できるか確認する
実写動画を外注するのであれば、企画から編集まで対応できる制作会社がおすすめです。特に初めて動画を制作する場合、右も左もわからない状態で動画制作を企画することになります。しかし、企画から対応できる制作会社であれば、スムーズに企画やスケジュールを組むことが可能です。
また、撮影ができない制作会社の場合、他の業者に撮影を依頼する形になります。そうなると、意思疎通に支障が出たり、中間マージンの発生でコストアップしたりする可能性があります。撮影にも対応している会社であれば、発注者のイメージどおりの動画を適正価格で制作することが可能です。
同業界の制作実績や動画のクオリティを確認する
制作会社を選定する際は、同業者の制作実績や動画のクオリティを確認しましょう。自社と同じ業者の制作実績が多い会社であれば、業界のことを理解した上で適切な実写動画を制作してくれます。
また、動画のクオリティは制作会社によって異なります。会社によっては実績として制作事例を紹介しているので、どんなクオリティの動画を作れるのか確認してみましょう。自社がイメージするクオリティにマッチすれば、安心して依頼できます。
目的やターゲットを決めた上で依頼する
制作会社が決まれば依頼となりますが、事前に目的やターゲットを明確にしておきましょう。目的やターゲットがはっきりしていれば、どんな動画を作ってほしいのか伝えやすく、また制作会社も意図を汲み取った上でシナリオや絵コンテなどを提案できます。
しかし、目的やターゲットが曖昧だと、制作会社もどんな動画を制作すればいいのかイメージを掴めず、クオリティの低い動画ができてしまうでしょう。せっかくお金をかけて制作した実写動画が無駄になってしまうので、依頼する前に社内で目的やターゲットをしっかり整理してください。
実写動画の制作成功事例
実写動画を活用している企業は多いです。動画制作の参考にもなるので、実際の成功事例をご紹介します。
株式会社サテライトオフィスのサービス紹介
クラウドサービスを提供している株式会社サテライトオフィスでは、自社サービスの紹介を目的に実写動画を作成しました。こちらの動画には、モデルやアイドルなどマルチに活躍される篠崎愛さんをキャスティングしています。
バスケットボールをゴールに入れるまでの流れで、クラウドに関する課題を解決できるというメッセージを表現しているのが特徴です。テキストグラフィックを活用して、セキュリティの万全性や導入実績なども強くアピールしています。
テランクリニック
美容皮膚科・外科のテランクリニックでは、自然風景を使うことで癒しのイメージが伝わる実写動画を制作しています。ナレーションやテロップなどは一切なく、終始心地よい音楽を流しているのも、リラックスした雰囲気のアピールにつながっています。
映像では、クリニックの雰囲気やカウンセリングの様子も映っているため、サービスのイメージを掴みやすいです。宣伝感がないため、思わず最後まで見てしまう動画に仕上がっています。
日清紡ブレーキ株式会社
日清紡ブレーキ株式会社は、自動車用ブレーキ摩擦材で世界シェアトップクラスを誇る会社です。世界5か国に7つの拠点を設けて事業を展開しています。
日清紡ブレーキ株式会社の動画は、会社の歴史に加えて今までどのような気持ちや想いを抱いて創業してきたのかを表現する内容になっています。長きに渡って培ってきた技術を解説し、自社の強みが伝わる内容に仕上げています。
実際に現場で働く人の姿を含めることで、暖かみも感じやすいです。
株式会社東京チェンソーズ
林業という仕事の実状に加えて、日本の持つ数少ない再生可能資源の大切さを伝えている会社が株式会社東京チェンソーズです。会社を紹介するうえで欠かせない森林の様子や壮大さを表現しています。
林業として働く人や会社の考えを説明しつつ、普段の様子をナチュラルに伝えている動画です。これによって、林業の奥深さなども幅広くい理解できるのが特徴となります。
freee株式会社
freee株式会社は、小売業をはじめとした個人事業主や法人向けの会社です。事務管理の効率化を考え、SaaS型クラウドサービスなどで労務手続きや給与計算などを行うソフトなどを販売しています。
企業の事例に基づいたコンテンツであり、freee株式会社を社員の目線から見た内容になっています。経営者、現場責任者、現場スタッフがそれぞれの視点で表現していて、インタビューの内容を深く理解するためにグラフィックなども活用しているのが特徴です。
よくある質問
最後に、実写動画におけるよくある質問をご紹介します。
実写動画とアニメーション動画とは何が違うのですか？
実写動画は、実在する人物や風景、商品などを撮影し、それを編集した動画のことです。アニメーションは、写真やイラストといった静止画に動きをつけた動画です。実写のように撮影の工程がなく、動画に使う素材が異なる点が主な違いになります。
実写動画を活用できるシーンは何がありますか？
実写動画を活用できるシーン例は以下のとおりです。
・商品やサービスの紹介動画
・社員や顧客のインタビュー動画
・イベント・セミナー・教材用の動画
・エンタメ動画
実写動画のメリット・デメリットはなんですか？
臨場感やリアリティのある動画になるため、幅広い用途に活用できることがメリットです。視聴者に受け入れられやすく、現場の生の声を届けられるので信頼性や説得力が増すといった効果にも期待できます。
撮影に多大な人員やコストがかかる点が大きなデメリットです。撮影規模が大きくなるほどコストがかさみます。また、一度撮影が完了すると、撮り直しなどが難しいです。再撮影が必要となれば追加費用が発生します。
実写動画の撮影に必要なものは何ですか？
実写動画の撮影では、最低でも以下の機材が必要です。
・カメラ
・三脚
・照明
カメラは映像に特化したビデオカメラから静止画の撮影も可能なデジタルカメラがあります。三脚は撮影時のブレを抑えるために欠かせません。照明は被写体を明るく照らせるものを用意する必要があります。
実写動画の編集に必要なソフトは何ですか？
動画のカットやつなぎ合わせ、効果音・BGM、テロップなどが挿入できる動画編集ソフトを用意してください。編集ソフトには無料で使えるものと有料ソフトがあります。高度な編集が必要な際は有料ソフトを使うのが一般的です。
実写動画を作る流れを教えてください。
実写動画の大まかな制作手順は以下のとおりです。
・制作の目的やターゲットを決める
・企画を立てて、撮影の準備に入る
・素材となる映像を撮影する
・撮影した映像を編集
・試写し、必要に応じて修正を行う
動画制作の詳しい工程は本記事の「実写動画の作り方・制作の流れ」をご覧ください。
実写動画を外注する際に注意するべきことはなんですか？
実写動画を外注する際は、以下のポイントに注意してください。
・企画から編集まで対応できることを確認する
・同業界の制作実績の豊富さやクオリティを確認する
・動画制作の目的やターゲットを明確にして相談する
実写動画の外注について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
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まとめ
今回は、実写動画の特徴やメリット・デメリット、制作方法などをご紹介しました。実写動画は実在する人物やものを撮影した映像で作られるため、リアリティや臨場感を伝えたい時におすすめです。
商品・サービス紹介、採用向け動画、教育動画など様々な用途に使える点も大きなメリットになります。とても訴求力の高い動画になるので、ぜひビジネスに活用してみましょう。
実写動画の制作について知りたい方は、下記の記事もぜひチェックしてみてください。
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