IR動画は企業の広報活動の一環として活用する動画のことです。IR動画を活用すれば、株主や投資家に対し、企業の魅力や強み、特徴をよりわかりやすく伝えられるため、信頼性や透明性、将来への期待感を高めることが可能です。
この記事では、IR動画の種類やメリット、制作する際のポイントをご紹介します。IR動画について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
IR動画とは何か
IR動画とは、企業が投資家や株主に対して行う広報活動のことです。「Investor Relations(インベスター・リレーションズ)」の頭文字からIRと呼ばれています。
IRは自社の経営や財務状況、今後の見通しなどを伝えるもので、消費者に対し商品の魅力や事業について紹介する一般的な広報活動とは目的や趣旨が異なります。
主に公式HPや広報紙などの紙媒体が活用して発信されることが多いIR情報ですが、IR動画ではそれらを映像にまとめて動画コンテンツとして発信します。
IR動画が注目されている背景
IR動画が注目されている背景には、動画ならではのメリットが関係しています。動画はテキストや画像に比べて、より多くの情報を伝えることが可能です。さらに、音声や音楽を使えば、視覚だけでなく聴覚からもアプローチでき、短い時間でも多くの情報をわかりやすく伝えられます。
企業が株主や投資家に対し、経営や財務状況、今後の見通しを伝えるのは、信頼を獲得し今後の資金調達を有利に進めるためです。投資家からすれば、情報の少ない企業よりも、様々な情報をわかりやすく開示している企業のほうが信用できるといった印象を受けます。
もちろん、内容によっては必ずしも好印象になるわけではないものの、株主や投資家は投資判断をする際、会社の現状を知ることのできるIR情報はチェックしておきたいものの1つです。
したがって、企業にとって自社の情報をいかにわかりやすく発信できるかは非常に重要なポイントであり、短時間で情報はもちろん、会社の雰囲気などを伝えられるIR動画は効率的だとして注目を集めているのです。
IR動画の種類
IR動画にはいくつか種類があり、それぞれ伝える内容や目的が異なります。以下では、主なIR動画の種類や特徴をご紹介します。
事業内容や経営方針を伝える動画
どのような事業を行っているのか、他社との違いはどこにあるのか、事業内容や企業としての魅力を紹介し、理解を深めてもらうための動画です。株主や投資家に対し、事業に将来性がある、投資しても良いと評価してもらうことを目的に作られます。
そのため、制作をする際は、難しい内容をいかにわかりやすく伝えられるか、人の興味を惹くことができるかを重視する必要があります。テキストのようにただ文章や数字を並べるのではなく、アニメーションを用いてグラフを効果的に見せるなど、工夫すると良いでしょう。
専門分野や最先端技術の説明など、文章だけではわかりにくいものでも、動画を活用すれば視覚や聴覚から訴えることができます。
Web見学を目的とした動画
オフィスや工場内の映像を発信し、Web上で見学している気分を味わえる動画もIR動画の1つです。オフィスや工場の雰囲気や設備を紹介し、会社の信頼性を高めることを目的としています。
オフィスや工場の設備は、今後投資をするかどうかを判断するための重要なポイントの1つです。IR動画なら現場のリアルな様子を伝えられるため、遠方に住んでいる、都合が合わないなどでなかなか見学するのが難しい方でも、オフィスや工場の様子を詳しく知ることが可能です。
カメラワークや編集によっては、実際に施設を見学しているかのような臨場感を演出できます。また、製品の製造工程や研究開発の様子を映像で紹介すれば、製品やサービスの品質や技術力のアピールにもつながります。
ブランディング動画
企業や自社製品のブランドイメージをアップさせるための動画です。ブランドイメージを向上することで、企業の信用度を高めたり、安心して商品を購入したりしてもらうことを目的としています。収益性を重視して投資するかを決める投資家も多いものの、中には企業の社会的意義や取組みに賛同できるかを基準に判断する人もいます。
そのため、ブランディング動画では、企業はもちろん、製品やサービスに対し良いイメージを持ってもらえるよう構成を工夫することが大切です。動画にストーリー性を持たせる、演出にこだわるなど視聴者からの共感を得られるような構成であることが多いです。
株主総会や説明会の配信動画
株主総会や説明会などの様子をWeb上で配信する動画です。誰でも気軽に確認できる環境を作ることで、企業の透明性を高めるとともに、株主や投資家からの信頼性を高めることを目的としています。
リアルタイムで配信すれば、遠方に住んでいるなどで現地に来るのが難しい方でも、企業の最新情報を知ることができるため、より多くの人にアピールすることが可能です。
また、過去の映像はアーカイブ動画として残しておくこともできます。後からでも視聴できるようサイト上に公開しておけば、リアルタイムで視聴できなかった人も確認できるため、満足度向上が期待できます。
IR動画を活用するメリット
続いては、IR動画を活用することで得られるメリットについてご紹介します。IR動画の活用を検討している方はぜひ参考にしてください。
事業内容が理解しやすい
IR動画のメリットは、事業内容を理解してもらいやすいことです。Iイラストやアニメーションを用いた情報は、文章や数字、画像だけの情報よりも理解しやすいと言われています。
IRの目的は、株主や投資家に対し事業内容や魅力を伝え、将来性に期待を持ってもらうことです。動画なら事業内容などの複雑な情報をわかりやすく伝えられるため、文章や数字のみの場合に比べてより深く事業内容を訴求することが可能です。
企業理念やビジョンを伝えやすい
2つ目のメリットは、企業理念やビジョンのような抽象的な情報をわかりやすくアピールできる点です。投資家が投資するかどうかを判断する際、「理念に共感できるか」「同じビジョンを描けているか」を基準にしていることがあります。
動画を活用すれば、どんな理念や価値観を持っているのか、今後についてどのように考えているのか、経営陣の熱量なども伝えることが可能です。
業績報告がわかりやすい
3つ目のメリットは、業績報告をわかりやすく伝えられる点です。投資家にとって業績報告は、非常に重要なものである一方で、情報量も多く内容も複雑なため、なかなか理解するのが難しいといった問題があります。
しかし、IR動画ならアニメーションやグラフを使って説明できます。また、テロップなどを入れることもできるため、文字や数字だけではわかりにくい内容も、直感的に理解することが可能です。
いつでも確認できる
4つ目のメリットは、場所や時間に関係なく、いつでも動画内容を確認できる点です。業績報告やオフィス・工場見学などのIR動画を制作した場合、HP上にアップロードしておけば、いつでも見返すことができます。
会場に直接足を運ぶ必要がなく、タイミングが合わず参加できなかった人にも内容を伝えることができるため、利便性が高く、投資家からの信頼性を高めることができるでしょう。
詳細が伝えやすい
5つ目のメリットは、商品やサービスに関する情報をわかりやすく伝えられる点です。製品の具体的な使い方や活用事例を盛り込めば、製品の魅力を効果的にアピールすることが可能です。
また、動画ならサービスのように形のないものでも視覚と聴覚から効果的にアプローチでき、必要な情報や詳細をわかりやすく確実に伝えられます。
効果的なIR動画制作のポイント
IR動画で期待する効果を得るには、どのようなことに注意しながら制作すれば良いのでしょうか。ここからは、効果的なIR動画を制作するためのポイントを解説します。
事業の強みや可能性をアピールする
IR動画を制作する際は、事業の強みや可能性をわかりやすく伝えることが大切です。株主や投資家から投資する価値があると思ってもらう必要があるからです。
その企業ならではの事業の強みをはじめ、今後の事業展望や将来性などをストーリー仕立てで説明しましょう。すると、文章や画像で伝えるよりもアピールしたい部分をより強調することができるため、見た人の記憶に残りやすくなります。
企業理念や熱意をアピールする
IR動画をうまく活用すれば、企業理念や熱意といった直接事業とは関係のない心情的な部分からアピールすることが可能です。ストーリーに一貫性を持たせられるよう意識しながら「何を目指しているか」「何を目的に事業を行っているのか」、企業が持つ思いを盛り込むと良いでしょう。
合理的・論理的に事業について説明することも大切ですが、「どのような思いを持っているか」を訴えかけることで、投資家の心を動かせる可能性があります。
誰が見てもわかりやすい内容を心掛ける
IR動画を制作する際は、誰が見てもわかりやすい内容を心掛けることが大切です。投資をやっている人の年齢層は幅広いです。若者から高齢者まで様々な年齢層の人がいるため、特定の年代の人にしか伝わらないような表現や言葉は避けるようにしましょう。
また、情報を盛り込みすぎると、短時間で理解するのが難しくなるほか、情報量が多すぎてしまい、結局何を伝えたかったのかが曖昧になることがあります。本当に伝えたい情報が伝わるように、内容はできるだけシンプルにすることも重要です。
企業イメージを損なわないよう注意する
IR動画を制作する際は、企業イメージを損なうことのないよう注意することが大切です。企業イメージは、株主や投資家が投資先を判断する際の重要なポイントの1つです。もしもIR動画からネガティブな印象を受けた場合、イメージダウンにつながったり、投資を取りやめたりすることも考えられます。
視聴者を飽きさせないよう工夫や演出をすることは大切ですが、だからといって不謹慎だったり、ふざけすぎたりするのはNGです。企業イメージに合った内容になるように意識しながら制作しましょう。
IR動画の配信方法
制作したIR動画の配信にあたっては、自社の公式ホームページにアップロードする以外にも、いくつか方法があるのでご紹介します
IR動画サイト
IR動画の配信に特化したサービスです。IR動画サイトでは、トップページにておすすめ動画や新着動画を確認できるほか、企業一覧や動画一覧から、気になる企業のIR動画を探すことも可能です。
また、各企業の決算情報などがまとめられており、企業の発信する多くの情報に手軽にアクセスできます。
IR Times
「個人投資家と上場企業をつなぐ」をコンセプトに、IR動画の配信や関連するリリース情報を取り扱っているサイトです。スライドショー資料の配布も行っており、動画を見ながら資料を確認することが可能です。
URL:IR Times
日興アイ・アール
SMBC日興証券グループの日興アイ・アールが運営するIR動画の配信サービスです。上場企業がインターネット上で配信している決算説明会や個人投資家向け説明会などの動画コンテンツがまとめられています。
URL:日興アイ・アール
IR動画の事例
ここでは、IR動画の事例をご紹介します。動画の種類や制作のポイントも解説するので、IR動画の制作を検討している方はぜひ参考にしてください。
伊藤忠エネクス株式会社様
動画の種類 |
アニメーション動画 |
制作のポイント |
伊藤忠エネクス様が展開するアスファルト事業の将来性や優位性をわかりやすくPRするために制作した動画です。 カジュアルなイラストアニメーションを採用することで、アスファルトの現状や最新事業、事業の優位性を誰でもわかりやすく理解できるよう工夫しています。 |
動画 |
北川工業株式会社
動画の種類 |
実写動画 |
制作のポイント |
電子機器メーカーである北川工業株式会社のイメージアップを目的とした会社紹介動画です。 実際に電子機器を製造している風景にテロップやナレーションを組み合わせ、事業内容や特徴をわかりやすく解説しています。 設備や技術の紹介など各パートで伝えたい情報を絞ることで、短時間でも全体像がしっかり伝わる構成となっているのがポイントです。 |
動画 |
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下記リンクでは、制作会社選びのポイントや費用相場などを解説していますので、ぜひ参考にしてください。
関連リンク
まとめ
今回は、IR動画について、種類やメリット、制作のポイントをご紹介しました。IR動画は、株主や投資家に対する広報活動を目的に行うものです。きちんとポイントを押さえて作れば、企業のイメージアップが期待できるほか、透明性や信頼性を高めることにもつながります。また、一度制作すれば、後からいつでも見返すことができたり、イベントなどで活用したりすることも可能です。
IR動画のニーズは今後ますます高まることが予想されます。構成や演出にこだわり、株主や投資家の心に効果的に訴えかけることのできる動画を制作しましょう。